【中学受験】人気中高一貫校の過去問から指南…読解力・作文力を身に付けるコツ

 小学生のお子さまの国語のテスト結果を見て「もう少しよく読んでから解けばよかったのに惜しい…」という気持ちになる保護者の方も多いのでは。海城中学校(第1回)2015年の出題から、作文教室「言葉の森」代表 中根克明氏が「解き方」「答え方」のコツを解説する。

教育・受験 小学生
 小学生のお子さまが持ち帰ってくる国語のテスト結果を見て「もう少しよく読んでから解けばよかったのに惜しい…」という気持ちになる保護者も多いのでは。

 作文教室「言葉の森」代表の中根克明氏は著書「小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本」(かんき出版)で以下のように述べている。

 「読解問題は、合っていそうなものを選ぶのではなく、間違っていないものを選ぶことが大事です。『こういうことを言っている』というのではなく、『こういうことは言っていない』というものを消していって、残ったものが正解です。」

「答えは文章中にある」



 「読む力のある子に見られるのが、問題に対する答えを文章全体から考えて、自分の体験に照らし合わせながら答えることです。

 たとえば、『このとき浦島太郎がカメを助けた気持ちとして適切なものを選びなさい。』という問題で、その問題文の文章から答えを探すのではなく、自分の体験から類推して、自分が浦島太郎になったつもりで答えてしまうのです。

 読む力があるのに×が多い場合は、「答えは文章中にある」ということを教えてあげると、それだけで成績が大きく変わります。迷った場合は、文章内容と選択肢の内容を比較して、合っていない度合いの大きいものから順に消していくと正解にたどり着けます。」(中根氏)

 本書から、海城中学校(第1回)2015年の出題を取り上げ、「解き方」「答え方」のコツを解説する。

物語文 登場人物の気持ちを読み取る 難易度★★☆



 次の文章を読んで、あとの問題に答えなさい。

海城中学校(第1回)2015年の出題(「小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本」20ページより)
海城中学校(第1回)2015年の出題(「小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本」21ページより)

問1



 -線部(1)「学校の中のあらゆるところに、恥を生み出す地雷は落ちていて、僕はそれを踏まないように必死だった」とあるが、それはたとえばどのようにすることか。次の中から適当なものを1つ選び、記号で答えなさい。

 ア 先生に怒られないようにするために、悪ふざけをしている生徒とつき合わないようにする。
 イ 学校ではカッコ悪いと思われないために、服装や髪形に神経をつかい、見た目を良くする。
 ウ 成績で周りからあれこれ言われないために、理科以外でもよい成績を取るようにする。
 エ 学校では目立たないようにするため、風変わりな文房などはもってこないようにする。

問1の解答と解説



 アは「×」に近い「保留」です。「悪ふざけをしている生徒とつき合わないようにする」とは書かれていません。実際にはそういうことはしているのかもしれませんが、選択問題は問題文に書かれているかどうかが基準です。推測にとどまるものは、正誤の基準になりません。

 イは「×」です。「服装や髪形に神経をつかい」とは反対の、「髪形は寝ぐせがついていなければOKだし」ということが書かれているからです。

 ウは「×」です。「理科以外でもよい成績を取るようにする」とは書かれていないからです。これも、実際にそういうことはあるのかもしれませんが、問題文には書かれていないので「×」です。

 エ「○」に近い「保留」です。「風変わりな文房具などはもってこない」というところが、問題文の「変わった文房具を持たない」と一致しています。

 以上、「×」または「×」に近いア・イ・ウを除いたエが正解になります。

◆覚えよう!言葉の意味
 ギャラリー…見物人。
 どやされる…失敗や態度を、人からひどく叱られること。

小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本

発行:かんき出版

<著者プロフィール:中根克明(なかねかつあき)>
 作文教室「言葉の森」代表。1952年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、25歳のとき、マスコミ志望の大学生を対象にした作文教室を開く。1981年、作文教室の草分け的存在である「言葉の森」を横浜で開講。通信教育を始める。2005年、作文評価の客観化を目的とした小論文自動採点ソフトを作成し、特許を取得する。小学生から社会人まで約1万2,000人が学んだ。卒業生には東大・京大・早稲田大・慶應大などの難関大、難関中・高に進学する生徒が多数。教育熱心な親の間で注目を集めている。毎週の作文の指導だけでなく、国語力の土台である読解、読書、暗唱にも力を入れる。オンラインを利用した少人数の発表型の学習で思考力、創造力を伸ばす「寺子屋オンライン」を開催する。著書に『小学校最初の3年間で本当にさせたい「勉強」』(すばる舎)がある。

《リセマム》

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