日能研の指導の特徴
「未来への学び」をコンセプトに小学生の6年間を大きく3つに分けている。3年生までは豊かな学びの時間を大事にする「低学年の学び」、4年生から6年生前期は知識や知恵を系統立てて学んでいく「系統学習」、6年生後期は合格力を鍛える「合格力育成」。6年間の学びから、高等教育へつながる学びを身に付け、私学進学や未来へつなげていく。
日能研の学びは授業から始まる。そのため、予習ではなく復習を大切にしている。子どもたちの成長段階によって、学習のあり方も変わり、4年生(ステージII)からは「授業~家での学び直し(家庭学習)~テスト~見直しと振り返り」が1つのサイクルになっている。
授業では対話型授業を積極的に取り入れ、子ども同士が対話しながら、自らが主体的に学ぶ力を育てることに力を入れている。
入塾の時期
子どもが学びたいと思ったときが、スタートする最適な時期ということを保護者には伝えている。4年生から始めるケースが多い。スタートに関しては、一度、日能研のテストを受験し、その結果から学習プロセスのお話しをすることで、家庭の状況や子どもの状況を踏まえ提案している。
入塾前のテストの有無
4・5・6年生は、必ずテストを受験して入会資格を得る必要がある。3年生以下の低学年は申込制で入塾前テストの受験は不要。
年間にかかる費用とカリキュラム
4科(Wコース)の場合、4年生は約45万円、5年生は約65万円、6年生は約108万円。費用には、季節講習会の受講料、テスト費用、教材費、冷暖房費などがすべて含まれる。別途、入会時に入会金2万1,600円がかかる。
クラス分け
1クラスあたりの人数は、25名前後。クラス分けは、子どもの学びの状況を踏まえて、4・5年生は2か月に1回、6年生は1か月に1回行う。
通塾の頻度と時間帯
・4年生:(4科)週2回(16:50~19:20)
・5年生:(4科)週3回(16:50~19:20)
・6年生:(4科・2~7月)週4回(平日16:50~20:45、土曜14:50~18:40)
※教室によって異なる場合あり
授業以外のサポート
授業以外にも、子ども会を実施して、子どもが自分で学習計画をたてられるような場を設け、自分で学ぶことを促進できる場を設定している。また、質問はいつでも可能。大切なことは、子どもが自分で問いをつくり、何がわかって、何がわからないのかなど、自分で学習のつまずきの原因をさぐり解決できること。そのサポートを最大限行っている。
塾選びと活用のポイント
(名門指導会 原章浩先生)
サピックスや早稲田アカデミーに比べると、中堅校受験に強い傾向にあるのが日能研だ。 難関校の合格実績がやや減少傾向にはあるものの、全国最大規模の中学受験塾。指導の特徴は「復習型」と呼ばれるもので、その点はサピックスなどと共通している。塾で習ったことを家庭学習(宿題)で定着させ、週例の「カリキュラムテスト」(4・5年生は隔週)でチェック、長期的な学力の定着は月1回の「公開模試」で測る。カリキュラムテストの結果で教室内の席順が変わる(前から順に、成績の良い生徒が座る)のが日能研の伝統で、これを励みに頑張るという子も多い。他塾よりもやや進度が遅いため、少しゆったりした学習ペースで受験に臨みたいという子に向いている。
入塾の時期は、4年生前期からの「ステージII」が本格的な受験カリキュラムとなるため、新4年生の2月からの通塾がお勧め。
先入観のない「まっさら」な状態で塾に行き、新しいことを習う「復習型」のスタイルは、今や中学受験塾ではスタンダードともいえるもの。そのぶん塾の授業をどのくらい理解できているかは重要だ。
日能研のテキストはとても真面目なつくりで、丁寧に「なぜそうなるのか」を考えながら読み進めると効果が高いが、黒一色の体裁や説明的な内容など、子どもが一人で読み進めるのに適したものではない。理科や社会などは四谷大塚の「予習シリーズ」のように太字がなく、重要語句の判断が子どもには難しい面もある。特に通いはじめの4年生のうちは復習に親のサポートが必要となる。
カリキュラムは、週によって学習内容が目まぐるしく変わるサピックスなどとは対称的に、一定期間、関連事項を扱い続けるようなつくりになっている。5年生の算数を例にあげると、2月スタートから9週にわたって数や計算に関する単元が続く。
じっくり取り組めるという利点がある一方、苦手意識をもつ子にとっては、モチベーションの維持のためのサポートが必要かもしれない。
6年生7月までで、受験までの内容がすべて終了するというカリキュラムは、他塾にくらべるとゆっくりで、そのぶん過去問演習に取り組むタイミングが遅れがちなことも留意点の一つといえる。