【高校野球2020春】無観客のセンバツで失われる経済効果は約233億円

 第92回選抜高校野球大会が無観客試合になったときに失われる経済効果が、約233億にのぼることが2020年3月9日、関西大学の試算結果から明らかになった。無観客での開催が可能かどうかは、3月11日の臨時大会運営委員会の協議で決まる見通し。

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 第92回選抜高校野球大会が無観客試合になったときに失われる経済効果が、約233億にのぼることが2020年3月9日、関西大学の試算結果から明らかになった。無観客での開催が可能かどうかは、3月11日の臨時大会運営委員会の協議で決まる見通し。

 2020年3月19日から3月31日まで延べ13日間(休養日2日を含む)の日程で開催予定の第92回選抜高校野球大会については、新型コロナウイルスによる影響で無観客試合を前提に準備が進められている。3月11日の臨時大会運営委員会で、無観客での開催が可能か協議される。

 関西大学の宮本勝浩名誉教授は、第92回選抜高校野球大会が無観客試合になったときに失われる経済効果を試算・分析した。なお、従来通りに観客を入れて開催したときの経済効果は、約289億7,005万円と推定されるという。

 無観客試合になったときに失われる直接効果額については、出場校が2020年と同じ32校の大会であった2016年、2017年、2019年の総観客数から推定観客総数を51万4,000人と仮定した。

 過去の分析データをもとに日帰り客(団体バスや深夜バスなどを含む)を約9割、宿泊客を約1割として、国土交通省観光庁の旅行・観光消費動向(2019年4月発表)から、交通費や入場料、飲食費、グッズ代などを含む日帰り旅行の経費(1人あたり1万7,285円)と宿泊旅行の経費(1人あたり5万4,300円)を設定。甲子園球場に応援・観戦に行く予定であった51万4,000人の消費額を約107億8,706万円と算出した。

 この直接効果から、2016年総務省作成の「全国産業連関表」を用いて計算すると、直接効果と一次波及効果は約176億9,078万円、二次波及効果は約56億927万円、合計した経済波及効果は約233億5万円になったという。

 ただし、無観客試合になった場合、観客の消費額が失われるが、主催者の大会開催費用、出場する高校の選手や監督などの交通費・飲食費・宿泊費用など、マスコミ関係者の交通費・飲食費・宿泊費用、そのほか大会開催に関する費用はかかることになる。そのため、宮本教授は「大会が無観客試合になってもかなりの消費が行われ、ある程度の経済効果があることが推定される」としている。

 宮本教授は、「多くの選手、家族、関係者にとっては一生に一度の晴れの舞台であるので、たとえ無観客であっても開催されることが望ましい」と私見を述べたうえで、無観客になることによって失われる約233億円の経済効果を「関係者にはつらいことになると想定される」とまとめている。
《奥山直美》

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