新型コロナ、ロックダウンの経済的損失は約63兆円

 新型コロナウイルスの影響でロックダウン(都市封鎖)が実施された場合、日本全体の損失額は2年間で約63兆円にのぼることが2020年4月3日、関西大学の分析結果より明らかになった。東京・大阪・愛知における損失額は、約20兆1,000億円と試算されている。

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 新型コロナウイルスの影響でロックダウン(都市封鎖)が実施された場合、日本全体の損失額は2年間で約63兆円にのぼることが2020年4月3日、関西大学の分析結果より明らかになった。東京・大阪・愛知における損失額は、約20兆1,000億円と試算されている。

 新型コロナウイルスの病原菌が世界中で猛威をふるい、日本でもさらなる感染防止強化策として「緊急事態宣言」や「ロックダウン」の可否が議論されている。

 関西大学の宮本勝浩名誉教授は、安倍晋三首相が「緊急事態」を宣言し、東京都の小池百合子知事が発言した「ロックダウン」が実施されたとき、日本全体および主要都市圏でどのような経済的損失が発生するかを推計した。

 宮本名誉教授の解説によると、日本における「ロックダウン」とは、中国や欧米のように違反すると罰則や拘束を伴う「命令」ではなく、「要請・支持」と非常に弱いもの。強制力がないため、欧米ほど効力があるかは不明だという。

 ロックダウンされると、観光業・飲食業・小売業・イベント業などはほとんど閉店か開店休業状態になると考えられるほか、オフィスや生産現場でも営業休止するところが出てくる可能性がある。学校は休校になり、映画館・パチンコ・スポーツイベント・コンサートなども運営できなくなる恐れがある。

 ロックダウンによる経済的損失の試算には、2008年9月に発生したリーマンショックによる当時の日本の経済的損失を参考にした。日本の名目国内総生産は、2007年度の約513兆円に対し、リーマンショック後の2008年度は約489兆5,000億円、2009年度は約473兆9,000億円と、2年間で39兆1,000億円、約7.6%の経済的損失となった。

 新型コロナウイルスのロックダウンによる経済的損失は、リーマンショック時を上回ると考えられることから、仮に新型コロナ騒ぎの影響が日本経済に1~2年間残ると仮定すると、リーマンショック時の約1.5倍と予想。現在の日本のGDP(国内総生産)をもとに算出した結果、ロックダウンによる経済的損失は2年間で約63兆円と推定した。これは、1964年の東京オリンピック開催時の日本のGDP(約30兆円)の2倍に匹敵し、スウェーデンやベルギーの1年間のGDPとほぼ同額となる。

 東京都のみロックダウンが実施されると、東京都の域内GDPは日本全体の約18%であるため、2年間で約11兆3,000億円の経済的損失。大阪府や愛知県でロックダウンが実施されると、域内GDPは日本全体の各約7%にあたるため、経済的損失はそれぞれ約4兆4,000円。東京都と大阪府の2都市圏でロックダウンが実施された場合の経済的損失は約15兆7,000億円、日本3大都市圏である東京都・大阪府・愛知県でロックダウンが実施されたときの経済的損失は、約20兆1,000億円と予想している。

 宮本勝浩名誉教授は「日本でロックダウンが実施されたときは、欧米ほど強制力はないものの、多くの国民はその要請、支持に従うと予想されるので、日本経済には大きな影響を与えると考えられる」と分析。「それでは、いつ、この新型コロナウイルス騒ぎが治まるのかを考えてみると、それは効果のある新薬が発明されたときであろう。1 日も早い新薬の発明を期待したい」と述べている。
《奥山直美》

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