日本福祉大とMOPが高等教育におけるデータ活用で協業、その狙いとは

 日本福祉大学とメディアオーパスプラス(MOP)は、2020年3月5日より学生の学修成果をより包括的に把握することにより、学生の学修達成を支援するためのデータ分析を共同で進めていくことを発表した。

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日本福祉大学の全学教育センター長 中村信次氏、講師 村川弘城氏、IR推進室 専任研究員 笹川修氏(左から)
  • 日本福祉大学の全学教育センター長 中村信次氏、講師 村川弘城氏、IR推進室 専任研究員 笹川修氏(左から)
  • MOPの石居ディレクター、福井チーフ(左から)
 日本福祉大学とメディアオーパスプラス(MOP)は、2020年3月5日より学生の学修成果をより包括的に把握することにより、学生の学修達成を支援するためのデータ分析を共同で進めていくことを発表した。この取組の背景と狙いについて聞いた。

--まず、協業の背景として大学教育全体の変化について教えてください。

日本福祉大学:大学教育を取り巻く状況はここ数年大きく変化してきています。大学が教育プログラムを提供し、その中で学生が自主的に学びを重ねることで学生の成長が実現されるわけですが、これまでは、最低限卒業要件を満たして学生を卒業させることが大学の責務でした。現在では、個々の学生がどのような学修活動を行い、どのような力を身に付けて卒業したのかを、大学が社会に向けて責任をもって説明することが必要とされています。学生の学修達成の質保証と大学の教育内容の質保証が同時に求められる時代になっています。

--日本福祉大学ではこれまで、どのようにデータ活用されてきましたでしょうか。

日本福祉大学:本学では、正課外(ボランティアやサークル活動など)を含め、学生の自主的な学修を重視してきました。保護者や就職先などのさまざまなステークホルダーとのコミュニケーションを図ることを企図して、その活動をポートフォリオに集約し、可視化することに取り組んでいます。学生の履修、成績データや、大規模な学生アンケートの結果なども取り込み、学生の学修実態を把握し、それを個別の授業の成績評価を超えた学生の学修達成の可視化、さらには教育プログラムの改善につなげる活動を、他大学に先駆けて取り組んでいます。

--日本福祉大学とMOPが共同で取り組む狙いは何でしょうか。

日本福祉大学:これまでの教学IR活動(Institutional Research;大学教育におけるデータ活用の取組み)では、年度ごとに蓄積される膨大なデータに対し、基礎的な分析によるその概要の把握しかできてきませんでした。今回、MOPとの連携により、大規模データからの有益なナレッジ抽出を可能とし、たとえば中途離学の可能性がある学生の早期把握や、学業不振に陥る可能性の高い学生への効果的な支援策の立案につなげることができるのではないかと期待しています。

MOP:MOPは、学習塾、プログラミング教育、出版、通信教育、FCチェーン、研修、自動車といった幅広い業界で、学びをテーマにした多様な分析を提供し、ノウハウを蓄積してきました。特に、教育現場における統計学、確率論、AI(機械学習等)の活用は、MOPがもっとも技術を磨いている領域のひとつです。今回、日本福祉大学のみなさまとともに分析を進めていくことで、大学教育、修学継続支援という観点で今までにない貢献ができればと強く願っております。

--パートナーとしてMOPを選んだ理由を教えてください。

日本福祉大学:大学には、業務改善に適用可能なデータの蓄積が豊富にありますが、特に中小規模大学においては、それに対し適切な分析を行うノウハウが欠けています。目覚ましい速度で進むデータサイエンスの最先端の知見を活用するためにも、適切なパートナーとの連携が必須となります。その中でも、教育現場でのビッグデータ分析に関し豊富な実績をもつMOPが、本学にとっては最適なパートナーになります。また、今回のプロジェクトは、多様な可能性の中から最適なものを探索するフィージビリティスタディ的要素を多くもち、細かな要求にも迅速に対応していただけるMOPとの連携に大きなメリットを感じています。

MOPの石居ディレクター、福井チーフ(左から)
MOPの石居ディレクター、福井チーフ(左から)

--ありがとうございました。

 両者は、共同分析の成果である修学継続支援のためのデータ分析について、2020年6月6日より九州大学において開催される大学教育学会での発表を予定している。

(提供:メディアオーパスプラス)
《編集部》

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