世界への関心と英語学習意欲を育む昭和女子大学附属昭和小学校のグローバル教育

 グローバル化を見据えた昭和女子大学附属昭和小学校の英語教育と、TOEFL Primaryへの取組みについて、同校副校長を務める中山光子先生に伺った。

教育・受験 小学生
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小学校の外観
  • 小学校の外観
  • 同校で行われているボストン・フレンドシップ・ツアーのようす。一番奥の左から3番目が今回お話をうかがった副校長の中山光子先生
  • バディ制度を取り入れてアクティビティは行われる
  • ボストン・フレンドシップ・ツアーのようす
  • ミニ運動会のようす
  • インターンシップでテンプル大の学生に来てもらうことも
  • アーティストをゲストティーチャーに迎えて行われた「英語でアート」の授業
  • 昭和女子大学では、付属のこども園から大学院まで一貫して教育のグローバル化を目指して、「スーパーグローバルキャンパス」を構築している
 こども園から小学校、大学院まで、園児・児童・生徒・学生が、ひとつのキャンパスで学ぶ昭和学園。グローバル化を見据えた昭和女子大学附属昭和小学校の英語教育と、TOEFL Primaryへの取組みについて、同校副校長を務める中山光子先生に伺った。

多様性を認め他者理解を深める教育を



--まずは昭和女子大学附属昭和小学校の教育の特徴と、育てたい人材像についてお聞かせください。

中山先生:私たちの学園が目指す教育は、建学の精神である「世の光となろう」という言葉に込められています。「自分だけが光り輝くのではなく、まわりにも光を灯し、ともに成長していこう」という、他人を思いやる気持ち。それらを具現化するために、小学校では「目あてをさして進む人」「まごころを尽くす人」「からだを丈夫にする人」という3つの目標を掲げ、心と体を健やかに育み、知識や机上の勉強だけではなく全人的な学びを大切にしています。

--英語教育で目指すところを教えてください。

中山先生:英語で考え、英語を使いこなすことは、これからのグローバルな世界では必須です。学園全体で「スーパーグローバル構想」を掲げていることもあり、現在キャンパス内には海外からの教師や留学生などさまざまな立場の人がいます。多種多様な考え方や異文化を理解するためのツールとして、英語は欠かせません。だからこそ、コミュニケーションツールとしての英語を身に付けることに重きを置いています。

同校で行われているボストン・フレンドシップ・ツアーのようす。一番奥の左から3番目が今回お話をうかがった副校長の中山光子先生
同校で行われているボストン・フレンドシップ・ツアーのようす。一番奥の左から3番目が今回お話をうかがった副校長の中山光子先生

発達段階で異なるアプローチ



--具体的な英語の取組みについて、まずは低学年について教えてください。

中山先生:2020年度より公立小学校でも文科省の定めで3、4年生から「外国語活動」が開始、5、6年生では英語が「教科化」されました。本校ではそれに先立ち、以前から英語教育を導入しており、1994年から10年かけて、まずは高学年を中心とした英語教育を、2004年以降は1年生から英語のカリキュラムを取り入れてきました。

 現在1、2年生は週1回、3年生以上は週2回の英語の時間があります。英語専科の先生とネイティブの先生が受け持ち、1年生からAll Englishで授業を進めます。

 小学校の英語教育で重視しているのは「聞いて、理解しようとする力」。それが発信力にもつながります。特に低学年のうちは、単語の意味はわからなくても聞いて理解しようとする気持ちや態度を育てることに主眼を置いています。初めのうちは知らない単語のオンパレードだと思いますが、何を話しているのかわからなくても、言葉の意味を想像し、相手の気持ちや周りのことを考える気持ちを培うことが大切だと思うのです。

 また、小さいうちは音やリズムに合わせて英語を吸収することが効果的です。歌やジェスチャーを使い、英語の音と体感が一体となった授業を行っていて、「楽しさ」の延長にある英語を意識しています。たくさんの英語に触れ慣れておくことで、英語の力を何気なく身に付けることができ、次第に考える力が培われていくのです。

--高学年ではどのように取り組んでいるのでしょうか。

中山先生:高学年では、英語を他教科の授業に取り入れています。たとえば、理科の授業で蒔いたトウモロコシの種を育てて収穫し、家庭科の授業でポップコーンにして食べるところまでを英語でやってみるというように、他教科とのコラボレーションで英語表現を学びます。「英語を使って学ぶ」ということを重視しているのが大きな特徴です。

 学ぶ内容そのものを重視しているため、英語の習熟度の違いがネックになることはありません。1クラス35人には習熟度のばらつきはありますが、英語が得意な子も友だちに教えたり、一緒に考えたりする中で「お互い様」の気持ちが芽生えていきます。相手の立場に立って思いやる、他者理解ができるような子どもになってほしいという教育理念は、こうした英語教育の場面にも反映されているのです。

ボストン・フレンドシップ・ツアーで生きた英語を学ぶ



--ボストンにある学習施設「昭和ボストン」で、ボストン・フレンドシップ・ツアーを行っているそうですね。詳細をお聞かせください。

中山先生:昭和ボストンは、学園が設立した海外キャンパスです。ツアーが実施されるのは夏休みの11日間。対象は5、6年生で、定員30名という枠に毎年多くの応募があり、抽選に抽選を重ねているという人気ぶりです。昭和女子大学附属昭和小学校に入ったのはこのツアーに参加させるためという保護者もいるほどです。

ボストン・フレンドシップ・ツアーのようす
ボストン・フレンドシップ・ツアーのようす

--ツアーではどのような学びが提供されるのでしょうか。

中山先生:ツアーの目的は、アメリカでの生活に慣れ、文化の違いを見るということです。毎日、午前と午後にアクティビティがあり、現地校で学ぶ子どもたちと交流します。

 一昨年からは、現地の子どもたちと1対1のグループになり、行動を共にする「バディ制度」を取り入れました。学校に着いた初日の移動からバディを組むので、英語で話さざるを得ない状況になります。初めは緊張しつつも、すぐに打ち解けて、お互いの国の歌や遊びを教え合うなど、たとえ片言の英語しか話せなくても楽しそうに盛り上がっています。

 「フレンドシップ・ツアー」の名のとおり、友達と一生懸命コミュニケーションをとり、相手のことを聞き自分のことを話す。その経験がステップとなって、もっと英語の力をつけたいという大きなモチベーションにつながります。さらに深いコミュニケーションをとるには外国のことはもちろん、日本の文化や伝統、そして自分のことをもっとよく知る必要があるという気付きにもなります。

バディ制度を取り入れてアクティビティは行われる
バディ制度を取り入れてアクティビティは行われる

ブリティッシュ・スクールの仲間と交流



--同じキャンパスにあるブリティッシュ・スクール・イン・トウキョウ昭和と貴校の児童との交流があるとのことですが、その交流によって子どもたちはどのような学びを得られるのでしょうか。

中山先生:ブリティッシュ・スクールの子どもたちとは、イベントなどを通じて頻繁に交流しています。今年度はコロナ禍でなかなか時間がとれませんでしたが、一昨年は、同じ学年の子どもたちと一緒にミニ運動会を開きました。お互いに声を掛け合いながら競技を楽しんでいます。日本人も外国人も関係なく手を取り合ってやっていくという経験を、肌で感じることができます。

 イベント以外でも、同じキャンパスに通っているため仲良くなって一緒に登下校したり、校内で会ったら「Hello」と手を振って挨拶したり。そういった日常のコミュニケーションができることも貴重です。

ミニ運動会のようす
ミニ運動会のようす

 身近にブリティッシュ・スクールの友達がいることで、異文化を知ることへの前向きな姿勢につながります。意識せずとも身近にある環境というのが、スーパーグローバルキャンパスの良いところです。

 同じ敷地内にテンプル大学ジャパンキャンパスがあるのも、本学園ならではの良さです。インターンシップでテンプル大の学生に来てもらい、一緒に学んだり、授業に入ってもらったりして、海外の大学生とのアカデミックな交流の機会にも恵まれています。

 また本校では、帰国生の受け入れにも力を入れています。帰国生歓迎という方針を海外に向けて発信していることもあり、今後数年で本校のグローバル化がますます進むのではないかと期待しています。

インターンシップでテンプル大の学生に来てもらうことも
インターンシップでテンプル大の学生に来てもらうことも

英語学習の目標に



--毎年、特定の学年の全児童がTOEFL Primary®を受験するとのことですが、貴校の英語教育においてTOEFL Primary®をどのように活用されているかをお聞かせください。

中山先生:小学生から英語に慣れ親しみ、意欲をもって学ぼうとするなかで、子どもたちのモチベーションを上げて努力目標を決めることが大事だと考えています。

 いろいろな形式の試験や検定がありますが、TOEFLは本校が大事にしている「聞く力」をはかる内容であること、具体的にはリスニングとリーディングに重きを置いているところ、英語でインプットし英語でアウトプットするという検定方法に魅力を感じています。

 先に英語で他教科を学ぶという本校の英語教育を紹介しましたが、TOEFL Primaryのリーディングには、理科や歴史をテーマにした内容が組み込まれている点も「英語を使ってアカデミックな知識を伸ばしてほしい」という、本校の英語教育の方向性と一致していて、そこが導入の決め手となりました。

 また、点数や評価ではなく「どれだけ英語が使えるか」という部分を大事にしているので、努力目標を決めて自分のモチベーションを上げていけるという点もTOEFL Primaryの良さですね。

アーティストをゲストティーチャーに迎えて行われた「英語でアート」の授業
アーティストをゲストティーチャーとして迎えて行われた「英語でアート」の授業

--どのくらいの児童が受験しているのでしょうか。また、受けた児童の感想はいかがでしょうか。

中山先生:無理に勧めるのではなく、あくまで「チャレンジしたい」という本人の気持ちを大切にし、昨年度は5、6年生、英語クラブの4年生にも声をかけて、60名以上の児童がTOEFL Primaryを受験しました。受ける前は不安に思っていても、いざ受けてみたら「これだけできたんだ」と本人の自信になるケースがほとんどのようです。保護者からも「ぜひ受けさせてほしい」という声が多く集まっています。

 授業の一環として受験させているわけではないので、TOEFL Primaryのために学校で何か対策をするということはしていません。あくまで、ふだんの英語の取組みで培った英語力を試すという位置付けです。

 小学生のうちは身構えずに、「楽しんでみよう」という気持ちでチャレンジできるのも良いところです。合否を判定されるのではなく、リーディング、リスニング、といったスキルごとの到達点がスコアとして目に見えるので、次はもうちょっと上を目指して頑張ろうなど、子どもの学びの励みになると思います。

--昭和女子大学附属昭和中学校のグローバル留学コースではTOEFL Junior®の受験をされているとうかがっています。TOEFL®活用による中学との連携の事例についてお聞かせください。

中山先生:附属中学への進学後は、1年生からグローバル留学コースを選択できるなど、学習レベルや英語学習へのモチベーションも高くなっていき、生徒自身でより明確な目標を立てるようになります。

 海外大学への進学はもちろん、国内でも大学受験で求められる英語という点で、TOEFLの点数も意識して獲得していく必要があります。TOEFL Juniorはよりアカデミックな出題内容になるため、あらかじめTOEFL Primaryから始めて、慣れておくことでよりテーマ性のある内容にスムーズに移行していけるというメリットもあると考えています。

幼少期からの英語学習が当たり前の時代に



--今後の貴校の英語教育の展望をお聞かせください。

中山先生:海外に行かなくても外国人とやりとりができるようになった今、多種多様な価値観や新しい情報がいろいろな方向から入ってくる時代になりました。異文化そして他者を理解するために言葉が必要だからこそ、高い英語力を身に付けてほしいと考えています。日本語の習得と同様に英語も、幼いころから聞きながら覚えていく時代だと思います。

 これまでの日本における英語教育は、文法や発音のルールなどを学んでから会話に進むという流れがありましたが、そうではなく、聞いて慣れて進んでいくのが一番であると感じています。幼少期に培った「聞く力」は、成長してからの「発信力」にもつながると実感しています。スーパーグローバルキャンパス構想が進み学園全体がグローバル化に向けて進む中で、低学齢における英語教育ももっと充実させていきたいと思っています。英語を聞いて慣れ親しむという環境が当たり前の世の中になってほしいと考えています。

昭和女子大学では、付属のこども園から大学院まで一貫して教育のグローバル化を目指して、「スーパーグローバルキャンパス」を構築している
附属のこども園から大学院まで一貫し教育のグローバル化を目指した「スーパーグローバルキャンパス」を構築している

--ありがとうございました。

 小さいうちは無心で英語に触れ、年齢が上がるにつれて徐々にアカデミックな学びへ、英語を使ったさらなる学習を積み重ねていく昭和女子大学附属昭和小学校の英語教育。グローバルキャンパスで生きた英語を学ぶ子どもたちにとって、TOEFL Primaryは大きなモチベーションとなると同時に、いつか世界に羽ばたいていくための最初のステップであると強く感じる取材となった。

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《吉野清美》

吉野清美

出版社、編集プロダクション勤務を経て、子育てとの両立を目指しフリーに。リセマムほかペット雑誌、不動産会報誌など幅広いジャンルで執筆中。受験や育児を通じて得る経験を記事に還元している。

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