プロから世界へ、ゴルフ部主将・三浦隆治さんを支えるルネサンス高校の環境とは

 中高生の進路選択に通信制高校の存在感が高まっている。スポーツと学業を両立できるルネサンス高校の3年生でゴルフ部主将の三浦隆治さん、顧問の高木剛先生に、高校生活、活動のようすや今後の目標などを聞いた。

教育・受験 その他
PR
「目指すはマスターズ」ルネサンス高校ゴルフ部主将の三浦隆治選手
  • 「目指すはマスターズ」ルネサンス高校ゴルフ部主将の三浦隆治選手
  • ルネサンス高校ゴルフ部顧問 高木剛先生
  • ルネサンス高校ゴルフ部主将の三浦隆治選手
  • ルネサンス高校ゴルフ部主将の三浦隆治選手
  • 「主将は精神的な柱」ルネサンス高校ゴルフ部顧問 高木剛先生が、三浦隆治選手を主将に決めた
  • ルネサンス高校ゴルフ部顧問 高木剛先生とルネサンス高校ゴルフ部主将の三浦隆治選手。ロックヒルゴルフクラブ(茨城県常陸大宮市)にて
 オンライン授業やデジタル教材などが急速に普及し、中高生の進路選択に通信制高校の存在感が高まっている。全国どこからでも入学できる広域通信制・単位制のルネサンス高校は、スポーツと学業を両立できることから多くのスポーツ選手を輩出してきた。現在3年生でゴルフ部主将の三浦隆治さん、顧問の高木剛先生に、高校生活、活動のようすや今後の目標を聞いた。

 インタビューは、関東高等学校ゴルフ夏季大会選手権、東関東予選が予定されているロックヒルゴルフクラブ(茨城県常陸大宮市)で2021年4月26日に行われた。

コミュニケーションの機会でもある合宿



--今回のゴルフ部合宿の目的を教えてください。

高木先生:5月17日に予定されている関東高校ゴルフ選手権の東関東予選の開催場所が、このロックヒルゴルフクラブなので、その練習ラウンドが目的のひとつです。男子は団体戦があるので、そのメンバー選考も兼ねています。またゴルフ部として今年度初めての顔合わせです。試合に出場しない生徒もいるので、年度始めのこの時期、一度は一同に会する場を設けるという意味があります。コロナの状況によって少し変わってくるかもしれませんが、ゴルフ部の合宿は通常、年に2回か3回あります。

--どのようなスケジュールで行われるのでしょうか。

高木先生:今回は2泊3日です。初日は宇都宮駅に集合して、こちらに来てからは練習場で練習。食事後は、試合のルール説明をはじめとして、方針や教養的な内容を講義形式で話します。およそ20時には終えて22時までは自由時間です。翌日は朝7時に朝食なので、多少余裕をもたせながら過ごしています。しっかりと練習をしているので、疲れて夜はぐっすり眠れると思います。最終日はラウンドをして帰るという流れです。

ルネサンス高校ゴルフ部顧問 高木剛先生
ルネサンス高校ゴルフ部顧問 高木剛先生

 ゴルフ部の生徒たちはルネサンス高校入学前の新入生と他の試合などで会っている可能性もあります。試合だと雑談する時間もなく、コロナの影響で昨年から試合が終わればすぐに帰ることになっていますので、ルネサンス高校のゴルフバッグを持っている先輩を見かけても、なかなかコミュニケーションが取れなかったと思います。大会に向けた練習だけではなく、ゴルフ部全体のコミュニケーションの場として、年度の始めに合宿を行うことにしました。

4歳でゴルフに興味を持ち、父とともに歩む



--三浦さんは現在3年生で、ゴルフ部主将ということですが、ゴルフをはじめたきっかけを教えてください。

三浦さん:興味をもったのは4歳くらいです。兄がゴルフを始めて、その練習についていったのがきっかけです。父と兄がゴルフをやっていて母以外はみんなやっていました。

ルネサンス高校ゴルフ部主将の三浦隆治選手
ルネサンス高校ゴルフ部主将の三浦隆治選手

 子どものころから今までずっと、父が私のスイングを教えてくれています。自分の周囲では、あまり父親から教わっているとは聞かないですね。やはり皆どこかのプロに教わっています。ただ中嶋常幸プロが世界に通用する選手を育成するために立ち上げた「トミーアカデミー」には3回ほど行きました。

高木先生:トミーアカデミーはルネサンス高校を卒業した畑岡奈紗選手も参加していたよね。

三浦さん:そうですね。自分はそこの第3期生でしたが、それ以降はプロからは教わっていません。私の周りにはゴルフをやっている同年代の人もあまりいなくて、試合でしか会いませんので、トミーアカデミーの合宿で競い合えたことは、とても良い刺激になっていると思います。

学校と練習場を行き来した小中学生時代



--小中学生時代はどのように過ごしていたのでしょうか。

三浦さん:小学5年生から中学生時代は午前中だけ授業を受けて半日で帰って練習に行っていました。車で30分ほどの神奈川カントリー倶楽部の練習場に父が送り迎えをしてくれていました。

--プロになることをいつから意識しましたか。

三浦さん:小学6年生のときに県ジュニアに勝った時にプロになりたいと思いました。表彰されてとても嬉しかったのもありますね。

 オーストラリアの選手でマスターズも勝っているアダム・スコット選手が憧れなのですが、神奈川県での日本オープンの開催前、神奈川県のジュニアに話をしてくれる機会がありました。たどたどしい英語でもしっかりと返答してもらえて、人柄や優しさを感じました。彼のスイングもすごく好きです。ブレがなくて綺麗なんです。プロを目指している自分のプレイの参考にしています。

--今回、松山選手がマスターズに勝ちましたね。

三浦さん:本当にすごいですよね。でも、いつか彼を超えたいと思います。神奈川カントリー倶楽部で今、アルバイトをしているのですが、最近、若い方が増えていることを実感しています。男子ゴルフ界も盛り上がって嬉しいです。

ゴルフを優先できる環境を求める



--高校の志望校選びはどのように進めましたか。

三浦さん:ルネサンス高校以外に3つ候補がありました。そのうちの2つは寮のある学校でした。

 最終的にルネサンス高校に決めた理由は、プロゴルファーを目指すために、自分のペースでいつでもどこでも学ぶことができる環境です。寮のある全日制高校は勉強時間はあまり自分の自由になりません。そうなるとゴルフの練習時間も減ってしまいますし、勉強時間が夜遅くまで延びてしまえば睡眠も減ってしまうので、成長期なのに身長が伸びなくなるのではと心配になりました。

ルネサンス高校ゴルフ部主将の三浦隆治選手
「ルネサンス高校に決めた理由は、プロゴルファーを目指すために、自分のペースでいつでもどこでも学ぶことができる環境」
ルネサンス高校ゴルフ部主将 三浦隆治選手

--普段の睡眠時間はどの程度ですか。

三浦さん:22時前に就寝、6時起床で最低8時間は確保しています。小学校のころは21時には寝ていました。今、身長は181cmほど、足のサイズは29cmですので、規則正しい生活は自分の身体づくりに良い影響があったと思っています。

--大きいですね。トップ選手はどのくらいでしょうか。

三浦さん:アメリカのPGAツアーでは190cmを超えますね。今もまだ少しだけ伸びているので185cmまではほしいですね。やはり身長が高いと有利さが変わります。

高木先生:身長が高いと比例して腕も長く、スイングの円が大きくなるんですね。まっすぐ飛びやすくなるんです。試合で活躍する年齢ゾーンからみても、男子は少なくとも22歳くらいまでは、しっかりと身体をつくることが必要です。トレーニングの時間の確保と同時に、体のケアも大切なのです。

 試合に出場できなかった経験をしたり、何かのタイミングでゴルフに対するモチベーションのスイッチが今以上にガツンと入ったりする時があります。そうしたときに、気持ちはあがるものの体がついていかないことがあります。いつそんなスイッチが入っても良いように、体の準備もしておくと良いですね。

--そうした身体づくりについても部活の中で指導してもらえると心強いですね。三浦さんは身体づくりや食事などで気をつけていることはありますか。

三浦さん:身長の伸びが落ち着きはじめてから筋力トレーニングを始めようと父と話していたので、今年の1月から筋トレをはじめて、周囲からかなり身体つきが変わったねと言われるようになりました。食事については野菜を多く摂るようにしています。筋トレをはじめて飛距離も少しずつ伸びています。家のトレーニングルームで1日に30分から1時間ほど筋トレをして、スイングは、最近は父から指摘されることも減ってきたので週1回ほど庭で練習しています。

--お父さまと二人三脚ですね。意見が対立することはありませんか。

三浦さん:かなりあります。でも、そこでメンタルが強くなったのかもしれません(笑)。

--ご家族みなさんは、志望校選びにどう関わっていましたか。

三浦さん:父は、「寮はだめ。遊んでしまう」と考えていました。周りに友達がいると切磋琢磨するか遊ぶかに分かれると。また自分のスイングを作ってきたのは父なので、その根本が変わると修正が効かなくなる恐れもあります。

 母は、自由にしたら良いよと。高校選びに意見を言われたことは特にありませんでした。兄が通信制高校で学んでいましたので、いつでも好きな時に勉強ができるという良さは聞いていました。

入学前からひとりひとりをサポート



--ルネサンス高校では入学までどのようなサポートをされていますか。

高木先生:私たちはスカウティングを一切していませんので、基本的には保護者やご本人からのお問合せ、在校生の紹介という形でご連絡をいただいています。その際に、学校生活や部活動について、私か入学担当者が説明させていただき、そのうえで入学をご判断いただいています。

 コロナで昨年からできていませんが、ゴルフ部では、入学を検討する中学3年生を交えて秋にルネサンス3校で合宿をして、入学前にどういう先輩がいるのか、どういう感じでラウンドするのかなどを中学生向けに伝えていました。今は難しい状況ですが、通常はそうした場を設けて入学を判断していただいています。

--高木先生は、三浦さんが1年生で入学してきたとき、どのような印象をもちましたか。

高木先生:三浦くんはあまり喋らないな、というのが第一印象でした。

三浦さん:基本はあまり喋らないです(笑)。

高木先生:何か聞くと「そうですね」という感じで、黙々と練習していました。コミュニケーションがとれないわけではなく、良い意味での寡黙という印象です。ただ寡黙というのは最初の1年で、2年から3年にかけては良く話すようになりましたね。私とはLINEでコミュニケーションをとることが多いのですが、合宿や試合の連絡事項で何か抜けている場合も、きちんと確認をしてくれるので助かります。

「主将は精神的な柱」ルネサンス高校ゴルフ部顧問 高木剛先生が、三浦隆治選手を主将に決めた
「主将は精神的な柱」ルネサンス高校ゴルフ部顧問 高木剛先生が、三浦隆治選手を主将に決めた

 団体戦に出場するにあたって主将を決める必要があり、私が三浦くんに決めました。やはりゴルフが一番上手いし、寡黙とはいえ、皆としっかりコミュニケーションが取れる。団体戦は4人または3人で行いますが、主将は精神的な柱です。

--団体戦と個人戦の違いはありますか。

三浦さん:個人だとすべて自己責任ですが、団体ではチームに迷惑がかかる可能性を感じながらプレイをしています。また個人ではコースの攻め方などはすべて自分で考えますが、団体戦ではチーム内で話し合うのでコミュニケーションの大切さを感じます。

時間管理が容易になるオンライン学習



--ルネサンス高校に入学後、どのような高校生活を送っているのでしょうか。

三浦さん:午前中から神奈川カントリー倶楽部の練習場に行くか、そこでアルバイトをしてから練習ラウンドに行くかです。アルバイトは7時半から14時半まで、終われば練習して良いことになっています。勉強は寝る前にスマートフォンなどを使ってオンラインで映像授業を視聴したりして取り組んでいます。

 入学してからはゴルフ部での合宿や大会の活動が一番印象に残っています。部活のチームメイトとはすぐに会える距離にいないので、どこかに遊びに行くとかいったことはなかなかできませんが、LINEで交流しています。

--ゴルフと学業を両立するために心がけているはありますか。

三浦さん:1か月分の課題には月々の締切りがありますので、その提出日の近くに大会や試合が入る場合は、課題をなるべく月の中旬までにやり切るよう学習計画を立てています。授業はオンラインで配信されている動画を視聴できるので、スマートフォンやタブレット端末などで移動の車の中でも勉強できます。授業時間を自分でコントロールできるところが大きなメリットです。ルネサンス高校に入って一番良かったのは、やはりゴルフに集中できる環境ができたことだと感じています。

夢はプロになって日本人最年少のマスターズ優勝



--将来の夢や目標を教えてください。

三浦さん:松山選手を超えるような日本人プロになることです。今回、松山選手は29歳でマスターズを制覇しました。その前の28歳までにはマスターズを取りたいと思います。

 今年の目標は、日本アマに出場して上位を狙うこと。直近では5月に神奈川県ジュニアがあるので優勝を目指しています。

 今のところは大学進学の希望はなく、高卒で研修生をやりながらプロを目指したいと考えています。いずれは海外に行きたいと思っていますが、まずは日本で結果を出さなければなりません。アメリカに行っても試合に出られないと意味がありません。ですので、とにかくまずはプロになる。そしていずれはアメリカに行きたいです。

高木先生:大学へ進学するかしないか、どちらが良いとは一概に言えませんが、ゴルフは、特に男子が高卒で結果を出すことはまだ難しいようです。選手生命も長く、ベテランが多くいるので、以前より若い人も出てはいますが、まだまだ若手が上位となって話題になることは少ないですね。

ルネサンス高校ゴルフ部顧問 高木剛先生とルネサンス高校ゴルフ部主将の三浦隆治選手。ロックヒルゴルフクラブ(茨城県常陸大宮市)にて
ロックヒルゴルフクラブ(茨城県常陸大宮市)にて

 大学のゴルフ部で顧問をされている先生がおっしゃるには、アマチュアでしっかりと経験してからプロの世界に行くのが良いと。大学はプロになれない時の保険の意味もあると思います。一般企業に就職する際にはやはり大学を出ているメリットはありますし、ゴルフ界もプレイヤーだけでなく多くの職種が存在していますので、進路選択は生徒ひとりひとりの希望と個性に合わせて慎重にサポートしていきたいです。

--スポーツと学業を両立したい中高生やその保護者へメッセージをお願いします。

三浦さん:ルネサンス高校ならば、担任の先生のサポートも受けながら自分の好きなときに勉強もできて、ゴルフに集中できる環境も整えられると思います。

高木先生:ルネサンス高校を選んでくれる生徒も多くなっています。ゴルファーの裾野を増やすことにも貢献したいですし、トップ選手を日本の宝となるよう伸ばしたい。10代の大切な時間、成長期を有効活用してほしいと考えていますので、ルネサンス高校では多種多様な生き方を尊重して、より良いサポートを継続していきたいと考えています。

--ありがとうございました。

 三浦さんを支える家族と顧問の高木先生の温かさが伝わるインタビューだった。プロを目指す人たちはもちろん、プロを目指さなくともトップ選手を間近に見るゴルフ部での活動を契機として、スポーツを産業として捉えてキャリアの幅を広げることもできる。近未来のスポーツ界を担う若者たちを育むルネサンス高校。通信制高校の良さを生かした今後の展開に期待したい。

ルネサンス高等学校
《佐久間武》

佐久間武

早稲田大学教育学部卒。金融・公共マーケティングやEdTech、電子書籍のプロデュースなどを経て、2016年より「ReseMom」で教育ライターとして取材、執筆。中学から大学までの学習相談をはじめ社会人向け教育研修等の教育関連企画のコンサルやコーディネーターとしても活動中。

+ 続きを読む

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top