幼少期における運動経験、後年の認知機能の維持・増進に関与

 玉川大学は2021年6月2日、幼少期における運動経験が後年の認知機能の維持・増進に関与する脳の神経ネットワークと皮質構造の変化を解明したことを発表した。この研究成果は科学雑誌「NeuroImage」に5月23日(オランダ時間)に論文掲載された。

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幼少期の運動経験とGo/No-Go課題の誤答率の関係
  • 幼少期の運動経験とGo/No-Go課題の誤答率の関係
  • 児童期の運動経験を有する人特有に認められるGo/No-Go課題の誤答率と関わる構造的領域間結合
  • 児童期の運動経験を有する人特有に認められるGo/No-Go課題の誤答率と関わる機能的領域間結合
 玉川大学は2021年6月2日、幼少期における運動経験が後年の認知機能の維持・増進に関与する脳の神経ネットワークと皮質構造の変化を解明したことを発表した。この研究成果は科学雑誌「NeuroImage」に5月23日(オランダ時間)に論文掲載された。

 玉川大学脳科学研究所の松田哲也教授、神戸大学大学院人間発達環境学研究科の石原暢助教らは、若年成人から高齢者(26歳から69歳)214名を対象に、幼少期の運動経験と後年の認知機能の関係とその背景にある脳の機能的・構造的変化を詳しく調査した。

 まず、幼少期の運動経験の有無と、認知機能の1つである反応抑制(不適切な行動を抑止する機能)を測定する「Go/No-Go課題」の誤答率の関係を分析。その結果、児童期(12歳まで)に運動経験を有していた対象者は運動経験を有していなかった対象者と比較して、誤答率が低いことがわかった。一方、思春期以降の運動経験は課題成績と関係が認められなかった。

 磁気共鳴画像法(MRI)を用いた調査結果では、児童期に運動経験を有している人は、ネットワークのモジュール分離と左右半球間の構造的結合の強化によってGo/No-Go課題の誤答率を減らしていることを示唆した。これらの調査結果から、玉川大学脳科学研究所は環境や経験に依存した脳内ネットワークの形成に敏感な児童期に運動を行うことで、脳内ネットワークの最適化が促され、後年の認知機能の維持・増進につながると分析している。
《桑田あや》

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