RSウイルス流行…東京都で過去最多の患者報告数

 東京都は2021年6月24日、乳幼児を中心に流行するRSウイルス感染症の報告が都内で急増し、2003年の調査開始以来、もっとも高い値になったとして、注意喚起した。1歳未満の乳児等は重症化する恐れがあるため、早めの受診や感染予防を心掛けるよう呼びかけている。

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RSウイルス感染症の患者報告数の推移(2017年から2021年)
  • RSウイルス感染症の患者報告数の推移(2017年から2021年)
  • 都内流行マップ(保健所別)
  • RSウイルス感染症の患者報告数の年齢階層別内訳(2021年第1週から第24週分)
 東京都は2021年6月24日、乳幼児を中心に流行するRSウイルス感染症の報告が都内で急増し、2003年の調査開始以来、もっとも高い値になったとして、注意喚起した。1歳未満の乳児等は重症化する恐れがあるため、早めの受診や感染予防を心掛けるよう呼びかけている。

 RSウイルス感染症とは、RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)を原因とする病気。おもな症状は発熱、咳、鼻水、咽頭痛、頭痛、倦怠感等、風邪に似ている。多くの場合は軽症で治まるが、感染力が強く、特に生後6か月未満の乳児や低出生体重児、先天性心疾患や慢性肺疾患等をもつ小児の場合、重症化しやすいとされている。

 また、感染力の強さから、2歳までに多くの子供がRSウイルスに感染すると言われている。どの年代でも再感染は起こるが、一般には年長児以降は重症化することは少ない。

 東京都では、都内264か所の定点医療機関である小児科から報告された患者数が急増。2021年第24週(6月14日~20日)に850人、1定点あたり3.28人となり、2003年の調査開始以来、もっとも高い値となった。第1週~第24週の患者報告数を年齢階層別にみると、2歳以下の小児が75%を占めている。保育所等での複数感染事例も報告されている。

 RSウイルス感染症は、ウイルスを含むしぶき(飛沫)が患者のくしゃみや咳によって空気中に放出され、それを吸い込む、あるいは手指を介して接触することで感染する。潜伏期間は2~7日(通常4~5日)。特効薬はなく、治療には対症療法が用いられる。

 「呼吸が速い」「息苦しそうにしている」「肩や全身を使って息をしている」「顔色が悪い」「元気がない」等のようすが見られた場合は、早めに医療機関を受診すること。特に生後6か月未満の子供には注意が必要。先天性心疾患や慢性肺疾患等の基礎疾患のある小児の場合等は、重症化のリスクを考慮し主治医の判断で予防的な投薬を行う場合がある。東京都では、日ごろからかかりつけ医とよく相談し、助言を受けるようにしてほしいとしている。

 感染拡大防止のためには、保育所・幼稚園等での職員や保護者を含めた手指衛生の徹底等の感染防止、咳等の症状がある場合は無理をさせない配慮等が重要になる。熱等の症状が消失しても、発症から1週間程度はウイルスが排出され、咳等により感染を広げるため、注意が必要だ。
《奥山直美》

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