【大学受験】初年度納入金、私大は入学金ダウン・授業料アップの傾向

 旺文社教育情報センターは「2021年度学費平均額」を公表した。私立大は入学金ダウン、授業料アップの傾向にあることが明らかになった。

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2021年度 大学の学費([国立大学]標準額と[公立大学・私立大学]平均額)
  • 2021年度 大学の学費([国立大学]標準額と[公立大学・私立大学]平均額)
  • 2021年度 大学の学費 (公立大学・私立大学 中央値)
 旺文社は全国の大学を対象に学費を調査。「螢雪時代8月臨時増刊 全国大学内容案内号」にて、「2021年度大学学費平均額」を掲載。旺文社教育情報センター「2021年度学費平均額」では、調査結果をもとに、学部系統別の初年度納入金平均額を算出した。私立大は入学金ダウン、授業料アップの傾向にあることが明らかになった。

 初年度納入金とは、入学金や授業料、施設設備費、諸会費等の1年次に支払う学費全体を指す。国立大学の学費として、入学金と授業料は、文部科学省による標準額の20%増を限度に各大学が定めている。2021年度の標準額は、昼間部で入学金28万2,000円、授業料53万5,800円となっており、初年度納入金は81万7,800円。現状、ほとんどの国立大学は一部を除いてほとんどの大学・学部も文系・理系を問わず、標準額の通り設定されている。

 公立大学の学費において、授業料は国立大学の標準額と同じ大学が大半なのに対し、入学金は入学者・保護者の居住地等によって異なる。旺文社のデータによると、大学指定の地域出身者とそれ以外の差は1.25倍~3.0倍の間でさまざま見られ、地元出身者には低く設定している大学が多い。

 私立大学の学費は、大学・学部によって異なり、特に医学部や歯学部等が学費の平均額を押し上げている。旺文社によると、初年度納入金の平均額は高い順に「医→歯→薬→看護・医療・栄養→農・獣医畜産・水産→芸術→工→理→体育・健康科学→家政・生活科学→教育・教員養成→文系学部」となっており、平均額のもっとも低い法学部と、もっとも高い医学部では約609万円の差がある。高い学費が必要な学部の背景には、実験や実習、少人数指導が行われている点や、専用の施設・設備が必要である点があげられる。

 公立大学、私立大学各々の初年度納入金平均額を前年度(2020年度)と比較すると、公立大学は指定地域内の学生の学費が上昇した一方で、指定地域外の学費は減少していることがわかった。また、私立大学は全体的に上昇傾向にあるものの、入学金が減少している。いずれも増減は小幅である。

 旺文社によると、大学を検討する際には学費にとらわれず、他大学には見られない学びの機会や、施設や設備の充実度等、教育内容の特色を見出すことが重要だという。コロナ禍において、先行き不明な状況に一層不安はつきまとうが、奨学金等の制度を理解したうえで、同データを活用することも必要だとアドバイスしている。

 旺文社教育情報センターは、公立・私立大学の分野別初年度納入金平均額をWebサイトにて公開中。また、「螢雪時代8月臨時増刊 全国大学内容案内号」にて、「2021年度大学学費平均額」を掲載している。
《高垣愛》

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