富山県の小学生、ゲーム依存5.6%…1クラスに2-3人存在

 富山大学地域連携推進機構の山田正明副部門長と関根道和教授等は2021年11月11日、富山県内の小学生を対象としたゲーム利用についての研究結果を公表。ゲーム依存(が疑われる児童)は全体の5.6%で、40人学級の場合、ゲーム依存の児童は2~3人存在することがわかった。

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ゲーム依存(障害)の3項目とネット利用時間
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 富山大学地域連携推進機構地域医療保健支援部門の山田正明副部門長と関根道和教授等は2021年11月11日、富山県内の小学生を対象としたゲーム利用についての研究結果を公表。ゲーム依存(が疑われる児童)は全体の5.6%で、40人学級の場合、ゲーム依存の児童は2~3人存在することがわかった。

 研究は、2018年7~9月に富山県教育委員会が実施した「とやま安心ネット・ワークショップ事業」の一環として実施。富山県内の4~6年生の小学生1万3,092人を対象に、質問紙を用いた調査を行った。全体の回収率は97.6%、最終分析数は1万1,826人(88.2%)。個人の生活習慣、学校、家庭での生活に加えて、ネットの利用時間やゲーム依存(国際疾病分類:ICD-11での診断項目)について調査した。

 ゲーム依存は、世界中の青少年において喫緊の課題とされており、世界保健機関(WHO)は2022年からゲーム依存を正式な精神疾患と認定すると発表している。今回は大規模な疫学調査のため、具体的な診断項目である「ゲームを使用する時間をコントロールできない」「生活の中でゲームを優先してしまう」「生活上(学業、家庭、仕事等)において、ゲームのせいで重大な問題を起こしている。それでもゲームをやめられない」の3つを質問。3項目すべてに「はい」と回答した児童を「ゲーム依存」とした。

 調査の結果、ゲーム依存(が疑われる児童)は全体で5.6%(男子7.8%、女子3.2%)。40人学級の場合、ゲーム依存の児童は2~3人存在することになる。平日のネット時間(ゲーム以外のSNSや動画閲覧を含む)は、「ゲーム時間のコントロールが不能」と回答したのは全体の37.5%。ネット時間が2時間を超える児童では50.1%がコントロールできないと回答している。

 「生活の中でゲームが優先」としている児童は全体の19.1%。「生活上で重大な問題を起こしている。それでもやめられない」は全体の14.3%にみられ、ネット時間が4時間を超える児童では34.8%だった。ネット時間が長いほど、ゲーム依存への危険性が高まることがわかる。

 さらに、ゲーム依存と生活習慣、学校、家庭環境との関連について、ロジスティック回帰分析を用いてゲーム依存の危険度(オッズ比:OR)を算出。ゲーム依存は、男子(女子に比べてOR=2.6倍)、不健康な生活習慣(起床が7時以降OR=1.35倍、運動不足OR=2.23倍、遅い就寝OR=1.60~2.52倍)、いらいらが頻回(OR=1.40~1.89倍)、学校での環境(登校拒否感情が頻回OR=1.75~1.92、授業理解度が低いOR=1.41~1.53)、家庭での環境(親子であまり会話がないOR=1.34、ネット利用に関するルールがないOR=1.21)の項目が有意に高い危険度(関連)を示した。

 これらの結果から、ゲーム依存の対策には、「児童が規則正しい生活習慣をもつこと」「親は家庭で子供との会話を増やし、家庭でのルールを作ること」が対策として重要と考察。インターネットは学習上でも欠かせないものとなっているが、家庭内で依存症の危険性や使用時間について、子供と話しあう必要があるとまとめている。なお、研究結果は、疫学の国際誌「Journal of Epidemiology」に早期オンライン掲載された。
《田中志実》

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