情報に踊らされない…わが子のタイプを見極めて安心できる塾選びを

 小学校では3学期を迎え、高学年への進級や中学校受験に向けて学習塾探しをするご家庭が増えている時期ではないだろうか。「塾シル」を運営するユナイトプロジェクトの古岡秀士氏に小学生の塾選びについて聞いた。

教育・受験 小学生
情報に踊らされない…わが子のタイプを見極めて安心できる塾選びを
  • 情報に踊らされない…わが子のタイプを見極めて安心できる塾選びを
  • 「費用」に関するキーワードで塾検索をする人が圧倒的に多い
  • 情報に踊らされない…わが子のタイプを見極めて安心できる塾選びを
  • 学習指導以外の付加価値のある塾が増えている

 3学期を迎え、高学年への進級や中学校受験に向けて学習塾探しをするご家庭が増えている時期ではないだろうか。塾は小学生の子供たちにとって、勉強だけではなく放課後という貴重な時間を過ごす場である。子供に合った「良き伴走者」としての塾はどのようにして探すのがよいか、小・中・高校生の国内最大級の塾選びのサイト「塾シル」を運営するユナイトプロジェクト代表取締役の古岡秀士氏に話を聞いた。

ますます低年齢化する塾選びのスタート時期

--小学生の場合、中学受験の有無によっても変わると思いますが、学習塾選びの始めどきというのはありますか。

 地元の公立中学校への進学を予定しているご家庭では、小学4年生~5年生あたりから探し始めるのが一般的で、小学校での英語の必修化や、来たるべき中学校の授業で置いていかれないようにと探す方が多いですね。塾でどんどん勉強を進めるというより、まずは学習習慣を身に付けさせたいというのも大きな目的としてあると思います。お子さまが中学生になってからは「現状の成績をどうにかしたい」と、焦って塾を探す保護者の方が多いです。 

 一方、昨今加熱する中学受験をきっかけに塾探しを始めるご家庭も増えています。年々難しくなっていく算数の授業で、割り算や分数が始まるのが小学3年生。これまで大手塾では小学3年生から中学受験に向けたコースをスタートするところが多かったのですが、2021年度は先取り学習や基盤固めを目的に、さらに早く小学2年生から入塾を検討する方がかなり増えた印象です。先取り授業として小学2年生から入塾した場合は、その後小学3年生の後半や小学4年生に進級するタイミングで大手の中学受験塾へ転塾するケースも多いですね。

塾選びで重視される項目とは

--小学生の保護者は、塾探しに際して、どのようなことに関心を寄せているのでしょうか。

 「塾シル」にアクセスする際の検索ワードでは、「小学生 塾 費用」といった、費用についての検索ワードが圧倒的に多いです。これは中高生の塾選びにおいても一貫して関心の高いワードです。検索のアクションとしては、まず費用を調べ、そこからアクセスや雰囲気の順に調べようとする傾向が強いです。

「費用」に関するキーワードで塾情報を検索する方が多い

 また「塾 いつから」「塾 おすすめ」「塾 何時まで」といった検索ワードも多く、「冬期講習 小学生」など季節講習に関するワードとともに上位を占めています。他サイトの調査でも、塾選びで重視する項目として「雰囲気・アクセスの良さ・費用」の3項目がランクインしていますね。

--「塾シル」内には塾探しに関するお役立ち情報の記事がたくさんありますが、どんなコンテンツが特に読まれていますか。

 たとえば、小学生の保護者に圧倒的に読まれているのは、やはり塾の費用や開始時期に関する次のような記事です。

小学生はいつから塾に通わせればいいの?塾に通うおすすめの時期を解説

小学生の塾の費用とは?平均の学習塾費と月謝の相場



 塾の費用は、検討している塾が平均より高いのか安いかを調べる方が多いですね。少し前までは月2~3万といった費用が平均的でしたが、「個別教室のトライ」を展開する「トライグループ」がオンライン夏期講習や冬期講習を完全無料で公開した一方で、他の学習塾ではマンツーマンのフルサポートを少し高価格帯で打ち出す学習塾が出てくる等、だいぶ幅が出てきたと感じています。

--塾選びの基本的な流れはどのようなものでしょうか。

 最近の塾選びの流れは、おもに2パターンあります。1つめは「塾っていつから入るのが良いだろう?どれくらいの費用がかかるんだろう?」と漠然と探している層の方がインターネット検索をして比較サイトにたどり着くパターンです。「塾シル」では、パソコンやスマホのGPS機能を活用して現在地の近くにある塾を検索できるので、自宅周辺の塾を絞り込んでから、費用や雰囲気に関する口コミ等を確認し、資料請求や体験授業を申し込んだり、電話で直接相談したりして入塾検討をしているようです。

 もう1つ、デジタル社会の今となっても根強いのは、ポストに投函されるチラシを見て興味を持ち、塾の公式サイトで確認するパターンです。この場合も、第三者による口コミを知りたいと一度は比較サイトを訪れ、その後、資料請求や体験授業に進まれる方がほとんどです。特に、季節講習や学年が切り替わる春先はチラシ配布を活用される塾が多いですね。地域に根ざした塾を希望される場合は、チラシを参考にすると良いかもしれません。

--最近の小学生向けの人気塾の特徴を教えてください。

 共働き世帯が大きな割合を占める社会の流れの中で、ここ数年増加しているのが、学童サービスも兼ねた学習塾です。保護者の帰宅まで面倒を見てくれるのは、働く保護者にとって大きなメリットですし、小さいころから通っていた教室であれば、保護者も安心して預けられますよね。そのほか、小学校低学年から始められるような空手やプログラミング、ロボット教室や体操教室、英語等の習い事サービスと連携して、その後の入塾につなげるパターンも増えてきています。たとえば「スクールIE」を展開する「やる気スイッチグループ」は、スポーツ教室や英会話教室も展開しています。

 また「学研」には、自社で運営する福祉施設に入所しているお年寄りと塾に通う子供たちが交流できる包括的な事業があります。社会における塾の役割が変化してきていることを感じます。

 少子化の影響で、より顧客単価を高くしたいという思惑も塾側にはあると思いますが、保護者にとっても、習い事から学童、学習塾まで多様なサービスが1つの契約で完結でき、送迎の手間も省けるためメリットは多いと考えます。

「学習指導」だけでない付加価値のある塾が増えている

情報収集とコミュニケーションの上手なバランスを

--納得のいく塾選びのために、親子ですべきことはなんでしょうか。

 子供の年齢的にも、子供自ら「塾に行きたい」と言い出すよりも「こんな勉強をしてほしい」「こういう学校に進んでほしい」という保護者の意向が先立つのが一般的です。そのときに偏差値の高さや合格率といった理由で志望校や塾を決めるのではなく、子供の適性にマッチする場が選べるよう、まずは比較サイトを入口としてしっかりと情報収集をしていただきたいですね。

 たとえば、子供にとって、塾の雰囲気は非常に重要な項目です。のんびりした性格の子をいきなり集団で切磋琢磨させるタイプの塾に入れると萎縮してしまいます。一方、競争心が高く、友達とのコミュニケーションが好きな子にとって、個別指導塾ではパワーを持て余してしまうかもしれません。そもそも個別指導塾と集団指導塾ではカリキュラムや指導のスタンスも違いますので、1つの大きな選択指標になります。低学年の間は個別指導で苦手なところに特化して取り組むことで成功体験を積み、高学年の本格的な受験期で集団指導に移る方が効率的に伸びる子もいます。

 自分の子供に合う塾はどのタイプか、子供をよく観察し、「偏差値いくつを切ったら転塾を検討する」「雰囲気が合わなければ転塾する」といった具体的な基準を家庭で決めておくのも方法です。転塾は決してネガティブなことではありません

家族で「塾に求めるもの」「わが家が目指す教育」について話し合って

 また、情報収集だけではなく、親子間や塾の先生とのコミュニケーションも大事にしてほしいです。子供を思うあまり、最近の保護者の方は情報に過敏になりすぎているような気がします。手軽に情報にアクセスできることもあって、軸がないまま情報に溺れてしまう保護者が多い印象を受けます。保護者が自ら調べることと、学習指導のプロである塾の先生に実際の話を聞きにいくことのバランスが大切です。親子や夫婦で目指すべき子供の姿をすり合わせ、大切にしたいことや費用の範囲等、各家庭の教育方針や基準をまず良く話し合ってください。入塾した後は、その基準を満たしている限り細かい指導については口出しせず、ひとまず塾にお任せするのが、情報に踊らされない賢い方法だと思います。

 中学受験を目指し、小学校低学年から塾へ通い出した場合、受験本番までは長期戦になります。本来なら小学校の低学年や中学年は遊びたい盛りの年齢です。塾に上手に相談しながら子供に合ったフォローの方法を見定めて、どんなときでも「家庭は子供の味方」だというスタンスでお子さんを見守っていただきたいですね。

--今日は貴重なお話をありがとうございました。

 塾選びは、多くの家庭にとって豊富な経験があるものではなく、費用の安さや合格率のような目につきやすい結果に惹かれたり、周囲の子が多く通う塾を「とりあえず」と選んでしまうこともあるだろう。しかし、本来、子供の性格や現状の学習状況はさまざまで、塾側の指導方針も千差万別であるため、子供に合う塾はそれぞれ異なるはずである。「塾シル」のような比較サイトを上手に活用し、俯瞰的に各学習塾の立ち位置を把握することで、親子で長期的な関わり合いを持つことになる、塾という「教育のパートナー」探しを効率的に進められるのではないだろうか。

塾を詳しく知れるサイト「塾シル」


<「塾シル」とは>
 株式会社ユナイトプロジェクトが運営する学習塾の比較・口コミサイト。塾業界の関係者や保護者様・生徒様にヒアリングを重ね、起業から1年後の2017年12月にリリース。「地域から探す」「現在地から探す」のほか、「コース・料金」や「オンライン授業」といった各家庭のニーズに合わせた塾を検索しやすい。日本全国の小学生から高校生までの学習塾を掲載している。掲載教室数は7,560教室(20221月19日現在)。

《土取真以子》

土取真以子

関西在住の編集・ライター。教育、子育て、ライフスタイル、お出かけのジャンルを中心に、インタビュー記事やイベントレポートなどの執筆を手がける。教育への関心が強く、自身の出産後に保育士資格を取得。趣味が旅行とハイキングで、目標は親子で四国お遍路&スペイン巡礼。

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