世界TOP50名門大学への内部推薦?知る人ぞ知る「裏ルート」とは

 UCLA出身で、世界トップ大学への進学・留学サポートプログラムを運営するU-LABO代表の小泉涼輔氏にご寄稿いただく本シリーズ。第3弾となる今回は、日本と海外における3年次編入制度とそのメリットについて紹介する。

教育・受験 高校生
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 海外大学を目指す学生やその保護者であれば「IB(国際バカロレア)」「A-Level」といった教育カリキュラムの受講、「TOEFL」「SAT」などの英語試験の受験を検討している方も多いのではないだろうか。早期英語教育のために、小学校からインターナショナルスクールを選択する家庭もあるほど、海外大学進学を目指すには早くからの対策が必要だと考えられている。

 しかし、世界大学ランキング50位のアメリカ名門大学に、これらの英語プログラム・テストが必要ない「内部推薦」があるとしたら? 学費を通常の1/3まで減らせる方法があったとしたら?

 UCLA出身で、世界トップ大学への進学・留学サポートプログラムを運営するU-LABO代表の小泉涼輔氏にご寄稿いただく本シリーズ。今回は、日本ではまだあまり知られていない、海外大学進学における「裏ルート」を紹介してもらう。

多様な入学の機会を余すことなく活用する

 入試改革を経て、日本の大学でもさまざまな入試形態が登場している。一昔前は「一芸入試」などと揶揄されたAO入試も、2021年度から総合型選抜に名称を変え、市民権を得るようになった。指定校推薦を含む学校推薦型選抜も受験生にとっては馴染み深いものだろう。特に私立大学では半数以上の入学者が、一般入試を受けずに、何らかの推薦制度を使って入学しているというデータもある。

 とは言え、これは学部1年次での入学が暗黙の了解となっている。一方、世界の大学には、日本に存在する以上にさまざまな入学方法がある。最高の学びを得るために進むべき、多様な道が用意されているのだ。

海外大学の編入制度とは?

 その中で今回紹介したいのは、3年次編入制度。日本にも制度自体存在するものの、もちろんメジャーではない。途中退学者の欠員時補充の意味合いもあるため、どの大学でも募集人数を少数に設定していることがほとんどだ。

 3年次編入学の対象となるのは、専門学校・高等専門学校卒業(見込み)者、短大卒業(見込み)者、4年制大学の2年次修了者および卒業者のいずれか。日本の場合、大学在籍者数に対し、編入制度を利用して入学した生徒はわずか約1%にとどまる。

 一方、世界において編入学はメジャーな進学方法として地位が確立されている。とりわけ今回詳しく紹介する、カリフォルニア大学バークレー校(以下、UCバークレー)やロサンゼルス校(以下、UCLA)では、入学者全体の約3割が編入学者と言われている。言わずもがな、UCバークレー、UCLAは、ともにタイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)が発表した「世界大学ランキング2022」でそれぞれ世界8位と世界20位を獲得した人気校だ。

 カリフォルニア大学における編入制度には、日本人留学生にとって多くのメリットがあることをご存知だろうか。まさに「裏ルート」とも言える編入制度について、そのメリットの中から3つを紹介しよう。

メリット1:学費

 3年次編入制度を利用することで、学費を節約することができる。驚くなかれ、その節約金額は約730万円。そもそもアメリカの4年制大学は、学費が非常に高い。ましてレベルの高い大学ほど学費が高い傾向にあり、年間500~700万円が相場だ。一般家庭から海外大学進学を志望する場合、早くのうちからの備えが必要になってくるだろう。貯蓄額によっては、海外大学進学自体を諦めざるを得ない可能性も出てくる。

 また、返済不要の給付型奨学金はそう簡単にオファーされるものではなく、頼みの綱としては心許ない。せっかく合格しても、進学ができずに悔しい思いをする学生もたくさんいるのが実情だ。

 一方で、3年次編入を想定して、1・2年次をコミュニティカレッジ(短期大学、以下、コミカレ)で過ごす場合、コミカレの学費は年間140万円程度。4年制大学の1/5程度に収まるのだ。しかも短期大学で取得した単位は、すべて4年制大学での単位として認められるため、無駄になることはない。

メリット2:英語スコアのハードル

 言わずもがなアメリカ名門大学への一般入学には、高い学力が求められる。それゆえ最近では、IBや「A-Level」といった教育カリキュラムを早期から検討する家庭も多い。さらに大学から受験を課される「TOEFL」や「SAT」などの英語能力テストでは非常に高いスコアを提出する必要がある。これらを見越してインターナショナルスクールに通わせる家庭も多い。

世界大学ランキング

大学名(例)

英語力(目安)

~25位

スタンフォード大学
ハーバード大学
プリンストン大学
カリフォルニア大学バークレー校
カリフォルニア大学ロサンゼルス校

TOEFL iBT 100~

~50位

ワシントン大学
イリノイ大学
テキサス大学

TOEFL iBT 80~

その他

ニューヨーク州立大学
カリフォルニア州立大学
オレゴン大学

TOEFL iBT 60~

 しかし、現地コミカレから4年制大学に編入する際には、これらの英語スコアの提出を求められないことが多い。少なくともカリフォルニア大学では、コミカレで英語のクラスを2教科修了することで免除される。日本人をはじめとする英語を母国語としない留学生の場合、コミカレ入学の時点でTOEFLも必要になるが、それほど高いスコアは求められない。通常の日本の高校に通っている学生でも乗り越えられるレベルだ。

 もちろん早い段階から進学に向けて英語対策をするに越したことはないが、万が一伸び悩んでいるからといって、海外名門大学進学を諦めなくても良いことを知っておいてほしい。

メリット3:合格枠の多さ

 編入制度と聞くと、日本国内の大学のように、毎年「若干名」程度の受け入れ枠しかなく、特殊な入試方法だと思われるかもしれない。しかし、世界では編入学は極めてメジャー。カリフォルニア大学では、毎年3万人もの編入生を受け入れている。カリフォルニア大学に進学する全学生のうち、1/3は編入生というのだから驚きだ。

 さらにカリフォルニア大学の公式発表によると、1年次入学生の卒業率が91%であるのに対し、3年次編入生の卒業率も92%とほとんど差がない。卒業することが難しいと言われる海外大学にあっても、編入学だからといって学力が劣ることはない。カリフォルニア大学とカリフォルニア州コミュニティカレッジの両大学は、2018年4月に締結された「編入学の強化に係る覚書(Enhancing Student Transfer - A Memorandum of Understanding Between the California Community College and the University of California)」において、今後のさらなる編入生の受け入れ拡大を発表している。

編入生を積極的に受け入れる歴史的背景

 そもそもカリフォルニアでは、なぜここまで編入学が主流になるのか。少しアメリカの大学の歴史を振り返ろう。

 アメリカの大学の歴史は、東海岸に所在するハーバード大学やイェール大学などの私立大学から始まる。ハーバード大学は1636年、イェール大学は1701年に創設。イギリスから独立し、アメリカ合衆国が成立する1776年より前の出来事だ。建国当初のアメリカは主には東海岸を中心に発展していったが、その後、1848年1月、西海岸のカリフォルニア北東部で金が見つかり、瞬く間に世界中から多くの移民が押し寄せた。その後も多くの移民が根付き、アメリカでも最大級の都市へと発展していった背景がある。そのため西海岸での教育を支えるべく、州政府は3つの大学群を設置。それが、カリフォルニア大学、カリフォルニア州立大学、コミュニティカレッジである。

 かつて移民一世や二世や三世の世代は大学に進学することができなかった。時代を経た今、孫やひ孫の世代になってもなお、一族で初めて大学進学者が出たという家族も少なくない。そんな移民たちを支えるのが、短大であるコミカレだ。当初コミカレは、地域の住人が職を得るための職業訓練校としての役割を担っていた。

 1960年、州政府はカリフォルニア高等教育マスタープランを制定し、カリフォルニア州の経済を支えるために、より多くの人が大学学士を保有する必要があるとの見解を示した。それを機に、コミカレから4年制大学編入のルートが確立されたのである。

 このような歴史的背景を受け、カリフォルニア大学やカリフォルニア州立大学では、コミカレからの編入生を積極的に受け入れている。また、先に述べたように、州政府は編入学生の卒業率の高さを評価し、今後もコミュニティ・カレッジからの3年次編入というルートを拡大していく方針だ。

「入りやすさ」だけに止まらない、カリフォルニアの魅力

 もちろん、この3年次編入制度は、他の州でも存在しており、例えば、ワシントン州では、地元の短大からワシントン大学(先述の世界ランキング29位)への編入ルートは存在する。しかし、次の理由からカリフォルニア州での編入学をお勧めしたい。

大学=選択肢の多さ

 名門大学を目指すにあたり、1つの指針になっているのが、先述の世界大学ランキングだろう。THEに関していえばカリフォルニア大学だけでも6校が、上位100にランクインしている。カリフォルニア大学全校には1つの願書でエントリーできる。世界大学ランキング上位校の受験機会を一度に得られる大学は他にはない。

 さらに、カリフォルニア州立大学も23校と豊富に用意されているため、万が一第一志望校に合格できなかったとしても、充実した選択肢が残されているのだ。大学があまり多くない州では上位志望校を逃すと、ランキングを大きく落として進学せざるを得ないこともある。

合格優先権

 州立大学は、基本的に州の税金を収めている人たちやその家族を教育することを目的としている。そのため、たいてい州民のみで大学の受け入れ可能生徒数が埋まってしまう。他州および留学生が1年次からカリフォルニア大学群に入学するのは、至難の業なのである。

 一方で、日本人留学生であっても、カリフォルニア州のコミカレからの出願であれば、州民と同様の扱いで、合格優先件が与えられるようになる。

住みやすさとその後のキャリア

  カリフォルニア州は住みやすく、留学に適した環境だ。気候も温暖で、晴天が続くので、過ごしやすい。日本人も多く、アメリカの中では治安の良い地域であることも、日本人留学生にとっての安心材料だ。さらに、シリコンバレーやハリウッドなどには巨大産業があり、卒業後の進路という意味でも恵まれている。

知る人ぞ知る「裏ルート」で進学を目指すなら

 普通の日本の高校生が世界の名門大学を目指すには、最も良いルートだと確信できる。一方で、カリフォルニア大学への編入にはさまざまな条件や困難がある。小泉が代表を務めるU-LABOでは、より多くの方に知っていただきたいと日々活動を行っている。とりわけ「カリフォルニア大学編入プログラム完全版ガイドブック」は、より詳しく、正しい情報を伝えるべく無料カウンセリング参加者に向けて提供しているものだ。

 また、2022年7月には小泉自身が偏差値28からUCLAを飛び級で卒業したストーリーを『UCLAに留学したいと思ったら読む本~カリフォルニア大学に編入・合格する方法~』として出版した。あわせてチェックしてみてほしい。

小泉涼輔(こいずみりょうすけ)
UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)卒業。世界4大会計事務所の1つであるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)入社後、国際税務業務に従事。日本の多国籍企業へのコンサルティング経験を通じて、将来のグローバル人材育成の重要性を痛感し、U-LABOとして世界トップ大学への進学・留学サポートを開始。日本で最もカリフォルニア大学編入に精通した専門家の1人として、これまでに多くの学生を合格に導いており、2022年にはUCLAが選ぶグローバルに影響を与える事業100(「UCLA Bruin Business 100」)に選出されている。公式Webサイト

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《小泉涼輔》

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