親子の歯の健康、カギは唾液パワー…秘訣は「よく噛むこと」

 子供の歯の健康に関する悩みについて、小学生の子供をもつ保護者にお集まりいただき、歯科医の宮崎真至教授を交えた座談会が行われた。子供も大人も健康な歯を保つためのキーワードは「唾液」とのこと。日常に取り入れやすいケアについても聞いた。

生活・健康 未就学児
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子供と親の歯と口内のケアについて座談顔を実施
  • 子供と親の歯と口内のケアについて座談顔を実施
  • 宮崎真至氏 日本大学歯学部保存学教室修復学講座教授(写真中央)/斉藤由利子さん(仮名)小学6年男児と1歳女児の母(右)/松本早苗さん(仮名)小学6年生女児の母(左)
  • 「堅いものでなくてもいいので、しっかり噛んであごの成長を促すことが大切です」と宮崎氏
  • 「生えたばかりの永久歯はミネラル分が少ない状態のため、虫歯にもなりやすいんです」(宮崎氏)
  • 「世のお母さん方はお子さんが小さいと特に、世話に追われて自分のことをないがしろにしがち。もっとご自身のケアに気を配って」(宮崎氏)
  • 資料を手に、虫歯の数と子供の学力の相関関係について説明をしてくれた
  • 「リカルデントは『CPP-ACP』を配合しているため、唾液の持つ作用と相まって歯を丈夫で健康するのに役立つと思います」(宮崎氏)
  • 左からグレープミント、さっぱりミント(スティック、ボトル)、フルーツフレーバーのアソートタイプの「マスカット&グレープフルーツ」

 子供の歯が生え、乳歯が生え揃い、乳歯が抜けて永久歯になるまでに10年以上。「虫歯にさせたくない」「歯並び大丈夫かな?」「口内環境って親から子供に遺伝するの?」など、子供の歯の健康に関する悩みや疑問は尽きない。また、歯と口内のケアは、全身の健康にも大きく関わることから、親自身の歯の健康も気になるところだ。

 そこで、未就園児、小学生のお子さんをおもちの保護者にお集まりいただき座談会を実施。日本大学歯学部教授の宮崎真至(みやざきまさし)氏を交え、子供と親の歯と口内のケアについて話を聞いた。

子供の歯並びには顎と歯の大きさのバランスが重要

座談会出席者プロフィール
 宮崎真至氏 日本大学歯学部保存学教室修復学講座教授(写真中央)
 斉藤由利子さん(仮名)小学6年男児と1歳女児の母(右)
 松本早苗さん(仮名)小学6年生女児の母(左)


--本日はお集まりいただきありがとうございます。早速ですが、お子さんの歯の健康について、何か気になっていることはありますか。

松本さん:子供が小さいころ歯並びが心配でかかりつけの歯医者さんに相談したところ、成長とともに顎も発達するからと言われ、ようすを見ることになりました。その際に「よく噛むように」とも言われたのですが、硬い食べ物をあまり好まないので、よく噛めていないのではないかと心配しています。

宮崎教授:硬いものを嚙むのでなくても良く、顎をたくさん動かすことが大切です。成長とともに骨が大きくなっていく際に、顎の幅と歯の大きさのバランスが重要になります。やわらかいものを食べることが多い現代人は、大昔の人と比べると顎が小さくなっています。そうは言っても、硬いものを噛めば良いというわけではなく、食事の際に「しっかりと噛む」「たくさん噛む」ことで顎の成長を促すことができます。

 もうひとつ大事なのは、「口をしっかりと閉じる」ことです。歯は舌と唇に挟まれていますが、口を開けたままにしておくことで歯が前へ出てしまうのです。また、指しゃぶりをする子供は親指で上顎を押していることが多く、歯並びに影響を与えてしまう場合もあります。

 顎の幅と歯の大きさのバランスが悪いと、歯の大きさがバラバラになったり、生えなかったりします。歯が生えるスペースがないと内側に生えてしまうこともあります。最近のお子さんは、歯の大きさと顎のサイズのバランスが悪くなってきていることは確かです。ですので、「噛むこと」によって顎と歯の成長のバランスを保つことは非常に大事です。

 噛むことで上顎と下顎が成長し、口の中の容積が大きくなると口の中に多く空気を取り込むこともできます。そのようなことからも、たくさん噛むことは非常に大切なのです。

 6歳から7歳ごろに咬合誘導(こうごうゆうどう)という、噛み合わせをうまく誘導してあげて、成長の方向をコントロールする治療を行っている小児歯科もあります。それぞれに合った治療を適切な時期に行うためにも、かかりつけの歯医者さんをもつということは大切です。

「堅いものでなくても良いので、しっかり噛んで顎の成長を促すことが大切です」と宮崎教授

生えたばかりの歯はカルシウムなどを取り込み成長

--歯の生え方は人それぞれ違うからこそ、かかりつけの歯医者さんに知っておいてもらうことが大事なんですね。

斉藤さん:息子は乳歯が抜けて、永久歯が生え揃った段階なのですが、生えたばかりの永久歯は虫歯になりやすいと聞いたことがあります。永久歯は特に虫歯になってほしくないと思うのですが、生えたばかりの歯はなぜ虫歯になりやすいのでしょうか。

宮崎教授:歯は生える前、顎の骨の中で種のようなものが成長していき、歯の根っこができて伸びあがることで生えてきます。できあがったばかりの歯は、カルシウムなどのミネラル成分が少ない状態です。それが唾液などに含まれるカルシウムイオンやリン酸イオンといった成分を取り込んで、だんだんと結晶がしっかりしてくるという成長過程をたどります。

 なので、生えたての歯がある口の中の環境は非常に大事。歯磨きも大切ですが、歯の中にカルシウムなどのミネラル成分をしっかりと取り込むことが必要になります。

「生えたばかりの永久歯はミネラル成分が少ない状態のため、虫歯にもなりやすいんです」(宮崎教授)

1歳半~2歳半は「垂直感染」リスク高、親のお口の中も健康に

--生えたばかりの歯がある時期の口の中の環境は非常に大事なんですね。親の口の中の環境は、子供にどのくらい影響があるものなのでしょうか。

宮崎教授:歯並びは親から遺伝する場合もありますが、虫歯のなりやすさに関しては遺伝することはありません。ただし、1歳半から2歳半くらいまでの期間は親の口腔内の虫歯菌が子供へ感染する「垂直感染」のリスクが高い時期です。「感染の窓」とよばれるこの時期は、口の中の細菌の数が決まってくる時期なのです。1歳半検診では子供の歯の状態を見ますが、親に対しても口の中のケアについて指導を行う自治体も多いです。

 子供の口の中は生まれたときは無菌状態で、歯が生えるまでは虫歯菌が定着しません。歯が生えてきたら虫歯菌が住みやすい環境を作らないようにすることが大切です。

斉藤さん:親が自身の口の中の環境を整えることが、子供の歯の健康のためにも大切ということですか。

宮崎教授:そうですね。大人の場合、合っていないかぶせものをしているところにも虫歯菌が住みやすくなります。子供の歯の状態ばかりに目が行きがちですが、保護者もしっかりと治療して、きちんとブラッシング指導を受けると良いと思います。

「特にお子さんが小さいと子育て中の方は世話に追われて自分のことをないがしろにしがち。もっとご自身のケアに気を配って」(宮崎教授)

--先ほど、口の中の細菌の数は1歳半から2歳半で決まってしまうと伺いましたが、その後も変わらないものなのでしょうか。

宮崎教授:日々のブラッシングの努力で虫歯の細菌の数を抑えることもできます。また、お口の中で悪さをする細菌を減らす治療を提唱している先生もいらっしゃいます。

 虫歯のない健康な歯は、子供の学力とも関係があるという論文も発表されています。これについてはいろいろな考え方があると思いますが、きちんとした生活習慣を身に付けている子供は、しっかりと歯を磨いているので虫歯がないことが多く、学力も比較的高い場合が多いようです。

 「虫歯がないから歯医者に行かない」ではなく、かかりつけの歯医者さんに定期的に見てもらうことでお口の中の環境を整えてほしいと思います。

資料を手に、きちんとした生活習慣が身に付いていることと学力との相関関係について説明をしてくれた

ガムを噛んで「ながら」ケアを

松本さん:私はマスクを付けていると口臭が気になることがあります。マスクと口臭は関係があるのでしょうか。

宮崎教授:マスクをすると口呼吸になってしまいがちなことが関係していると思います。不織布のマスクで鼻と口を押さえてしまうと、いつもよりも苦しくなるので呼吸が大きくなってしまいます。そのために口で呼吸をするようになるのです。口で呼吸をすると、口の中の唾液が少なくなってしまい、口の中が洗浄されなくなってしまうので口の中の細菌が多くなります。そのために口臭が気になるのだと思います。

斉藤さん:唾液の力ってすごいですね。

宮崎教授:すごいんですよ! 唾液は1日に1.5リットルほど出ていると言われています。唾液は、口の中を洗い流すだけでなく、免疫グロブリンや抗菌物質を含んでいます。また、「食塊形成」という働きもあって、これによって食べたものを飲み込みやすくなるんです。歯には、カルシウムなどのミネラル成分を与えていますし、ばい菌が入ってきたら戦います。このため、噛むことによって刺激を与えて、唾液を出すことは大切です。

松本さん:唾液にそんなにたくさんの働きはあることにびっくりです。歯の健康を気にしていくことは大切ですね。

宮崎教授:それも、年齢にあった歯のケアが大切です。日本歯科医師会が昨年実施した調査によると、口の中で気になることを聞いたところ、10代・20代・30代は「歯の色」がもっとも多く、「歯にものが挟まる」は2位以下。ところが40代・50代になると「歯にものが挟まる」がもっとも多く、次が「歯の色」の順に変わっています。若い層は歯の美容に関する意識が高く、40代・50代は歯の機能面で気になるようです。

松本さん:歯科医院の定期健診で「歯周病に気を付けるように」と言われるのですが、歯にものが挟まることにも関係しているのでしょうか。

宮崎教授:歯周病や虫歯が始まるきっかけは、歯と歯の間です。ですので、歯にものが挟まった状態が続くと歯周病や虫歯になりやすいんです。

--皆さん歯の健康を気にされていらっしゃるようです。宮崎先生、大人がお口のケアを考えたとき、歯科医院での定期健診のほかに気を付けたほうが良いことは何でしょうか。

宮崎教授:歯と歯の間を歯間ブラシやフロスでケアをすることが大切です。また、薬を飲んでいる場合は、薬の中には唾液が出にくくなる成分を含むものもあるので注意が必要です。唾液が出にくくなると唾液による洗浄作用が低下して、歯周病菌や虫歯菌が定着しやすくなってしまいます。唾液が出にくいときに有効なことのひとつが、実はガムを噛むことなんです。

「ガムを噛むことも唾液を出すのに有効。リカルデントは『CPP-ACP』が配合されているのでお勧めです」(宮崎教授)

松本さん:ガムにもいろいろな成分をうたった商品がありますが、違いがよくわかりません。どのように選んだら良いでしょうか。

宮崎教授:特定保健用食品のガムの成分としても歴史のある「CPP-ACP」は、牛乳成分を応用して作られた物質で、オーストラリアの研究者が開発しました。CPP-ACP自体がカルシウムの結晶体をもっていて、それを歯質に取り込みやすいようなアミノ酸ももっています。虫歯の始まりとなる脱灰(だっかい)をさせにくくし、歯にカルシウムを取り込む再石灰化を行います。ほかにも、糖アルコールという代替の糖のようなもので、虫歯菌がそれを食べると弱ってしまうという物質や、ばれいしょ由来の再石灰化を促す成分を取り入れたガムもありますが、これまでの論文によると、CPP-ACPはカルシウムの取込み効果が高いとされています

 歯科医院ではCPP-ACPを配合した歯磨きペーストを勧めることもありますが、日常生活での取り入れやすさで考えると、CPP-ACPを配合した特定保健用食品のガムを噛むことのほうが手軽で良いのではないかと思います。「何かをしながら」というのは現代人の生活にもあっていると思うので、家事をしながらガムを噛む、テレビを見ながらガムを噛むというように「何かをしながら」お口の健康に気遣ってみてはいかがでしょうか。

松本さん:確かに、ガムならばいつでも手軽に噛めるし、「何かをしながら」であれば生活に取り入れやすいですね。少し口さみしいと思うときにも良さそう。気軽に口にでき、なおかつ効率的にお口のケアの手助けになるなら、忙しい保護者にとっての救世主的なアイテムになりそうですね。

斉藤さん:子供の歯の健康に比べて自分自身のお口のケアについてはおろそかになりがちでしたが、健康な歯でいられるように心がけていきたいと思いました。

--本日は皆さま、ありがとうございました。


 今回の座談会では、唾液のいろいろな働きや歯の健康について知ることができた。宮崎教授もおっしゃっていた「脱灰*抑制、再石灰化、耐酸性増強」の3つの働きをもつ「CPP-ACP」を配合した特定保健用食品の「リカルデント」は、歯を丈夫で健康に保つのに役立つという。 *脱灰とは歯の表面にあるエナメル質の内側から、ミネラル分が溶け出す状態のこと

 現在、特定保健用食品の「リカルデント」*にはグレープミント(スティック、ボトル、スタンドパウチの3タイプ)、さっぱりミント(スティック、ボトルの2タイプ)のほか、フルーツフレーバーのアソートタイプの「マスカット&グレープフルーツ」ボトルタイプも。好みや気分に合わせて選ぶことができるのも魅力だ。 *すべてのリカルデント製品が特定保健用食品ではない

左からグレープミント、さっぱりミント(スティック、ボトル)、フルーツフレーバーのアソートタイプの「マスカット&グレープフルーツ」

 まずは大人の歯の健康を気にかけ、日常に取り入れやすい形で口の中のケアを始めてみてはいかがだろうか。

「リカルデント」について詳しく知る
《外岡紘代》

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