男性の家事・育児実態、男女の認識に大きなズレ…東京都調査

 東京都は2023年11月21日、令和5年度男性の家事・育児実態調査結果から浮かび上がった男女の意識差やホンネなどの実態を紐解き、子育てアドバイザー・高祖常子氏と東京大学大学院経済学研究科教授・山口慎太郎氏の一言アドバイスをレポートにまとめ公表した。

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「名もなき家事」あなたと配偶者どちらが主に行っていますか
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 東京都は2023年11月21日、令和5年度男性の家事・育児実態調査結果から浮かび上がった男女の意識差やホンネなどの実態を紐解き、子育てアドバイザー・高祖常子氏と東京大学大学院経済学研究科教授・山口慎太郎氏の一言アドバイスをレポートにまとめ公表した。

 「男性の家事・育児実態調査」は、未就学児の子を持つ夫婦などの家事・育児分担に関する実態や男性の家事・育児状況について調査し、今後の施策の参考とするため実施したもの。都内在住の5,000名(男女各2,500名)を対象に、2023年7月31日から8月21日にかけてインターネットで調査した。

 約8割のパパが家事・育児分担に満足していると回答した一方で、半数以上のママは不満と回答。また、配偶者に対する不満では、約半数のパパが「特に不満はない」と回答している一方で、ママは「自分が言わないとしてくれない」という不満が第1位。パパに悪気はなくても、「ママがやるのが当たり前」な状況となっているようだ。高祖氏は「『察してほしい』は伝わらないと心得ましょう。ママも、自分から積極的に思いを伝えていきましょう。ダメだとあきらめるのではなく、やってほしいことは、口に出して言うのが一番です!」とアドバイス。

 家事・育児について、「自分と相手はどのくらいやっているか」を聞いてみると自分の時間は多く見積もり、相手の時間は少なく見積もる傾向が見られた。パートナーの家事・育児実態をしっかり把握できていない結果が明らかになった。「名もなき家事」の分担状況について、パパは「自分がやっている」「夫婦で分担している」という回答も多い中、ママは圧倒的に自分がやっていると回答し、男女の認識に大きなズレがあるようだ。「名もなき家事」具体的な名前は付いていないけれども、生活をするうえで欠かすことのできない、ちょっとした家事のこと。消耗品の購入や補充など、1つ1つの作業はささいなことに思える「名もなき家事」こそ、家庭内の「負担」や「不満」につながるとも言われている。

 育業の取得率について、0歳児パパは58%。ここ数年で男性の育業が当たり前になりつつあるようだ。職場の男性が育業することについては、「賛成」「やや賛成」を合わせると90%以上が肯定的な結果となった。山口氏は「育業すると、男性は人生が変わるくらいのインパクトがあることが、研究によってわかっています。」とアドバイスしている。

 残業せずに定時に帰る人に対して、約7割の人が「早く帰れるなら帰った方がいい」と回答し、「仕事ができる人」という意見も2割超となった。残業をしている人に対しては、頑張っていることを労いつつも「仕事が遅い人だと思う」「残業代を稼ぎたい人だと思う」といったネガティブな意見もみられた。残業は、必ずしも良い評価にはつながらないようだ。高祖氏は「子育て中は、『毎日がプレミアチケット』。日々成長していく我が子の姿を見逃すなんて、もったいないですよ!」とアドバイスしている。

 夫婦間の家事・育児分担の満足度を上げるには、パパ・ママともに「話し合って協力する」「感謝の気持ちを伝え合う」ことが重要だと回答。しかし、「夫婦で十分なコミュニケーションが取れている」と感じている人は半数にとどまる結果となった。高祖氏は「家事・育児の時間を取ることも大切ですが、夫婦のコミュニケーションの時間をきちんと確保することはもっと大事。家庭にポジティブな言葉があふれると、子供にも良い影響を与えます。とアドバイス。山口氏も「周りの人はあなたが思っているよりもずっと協力的です。計画的な育業で、同じスタートを切ることが夫婦円満の秘訣です!」とアドバイスしている。

《中川和佳》

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