【共通テスト2024】理科2の分析…東進・河合塾・データネット・代ゼミ速報まとめ

 2024年度(令和6年度)大学入学共通テスト(旧センター試験。以下、共通テスト)2日目が終了した。4予備校より提供を受け、理科2(物理/化学/生物/地学)の大学入学共通テスト分析速報「科目別分析コメント」を紹介する。

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【共通テスト2024】理科2の分析…東進・河合塾・データネット・代ゼミ速報まとめ
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 2024年1月14日、2024年度(令和6年度)大学入学共通テスト(旧センター試験。以下、共通テスト)2日目が終了した。東進、河合塾と、ベネッセコーポレーション・駿台予備校による「データネット」、代々木ゼミナールより提供を受け、理科2(物理/化学/生物/地学)の大学入学共通テスト分析速報「科目別分析コメント」を紹介する。

 なお、本記事記載の情報は1月14日午後10時時点のもの。各予備校のコメントとも詳細な分析の結果、内容に変更が生じる場合がある。

物理

東進

 昨年の共通テストと同じく大問数4題の出題。第1問は小問集合であり、力学、熱力学、波動、電磁気学、原子物理の分野から出題された。第2問の出題分野は力学、第3問は波動、第4問は電磁気であり、第1問から第4問のすべての問題が必答問題である。全体として、物理の全範囲から広く出題されている。 厳密に考えると難しい現象を題材としているが、もともとの解答選択肢の数が少ないことに加えて、明らかに誤った選択肢を消去することで救われる可能性も高い。 分量は制限時間に対してちょうどよいものであり、例年に比べればやや少ない。

 第1問の小問集合では、力のモーメントのつり合い、熱と温度の定義、屈折と全反射、一様磁場中の荷電粒子の運動、核反応と半減期、といった入試物理においては比較的典型的な問題が出題された。 第2問の力学は、ペットボトルロケットに関する応用的な大問であった。厳密に考えることは難しいが、法則を正しく適用できるかどうかの表層的な部分しか問われていないため、そこまで難しいものとはなっていない。丁寧な誘導はあれども、水の流量についての状況把握など高校生には不慣れな考察をさせる問題であり、解答するには不安が伴っただろう。 第3問の波動は、弦の固有振動に関する問題であった。問4、問5は与えられたグラフや表から法則を見つける問題であったが、弦を伝わる波の速さの式を覚えていれば解答できた。標準的な問題であった。 第4問の電磁気学は、電圧をかけた導体紙における電気力線と等電位線に関する問題であった。電場と電位、抵抗と抵抗率の定義がわかっていれば正確に解答できただろう。やや易しめの大問であった。

河合塾

 実験に関する問題が多く、実験結果の図や表を正しく分析する力が問われた。ペットボトルロケットを題材にした問題では、状況設定が把握しづらかったであろう。一方、知識から解ける問題が増えたため、全体として、分量、難易度ともに昨年並みであった。熱、原子は小問集合で出題された。物理の全範囲から出題され、偏りなく学習することが必要であった。

データネット

 ペットボトルロケットの運動、金属線を用いた弦に交流電流を流したときに生じる弦の固有振動、導体紙上に生じる電場など、探究的な問題が出された。太陽の中心部にある原子核を題材として、原子核1個あたりの運動エネルギーを問う問題は目新しい。設定の把握に時間を要する問題もみられ、昨年よりやや難化。

代々木ゼミナール

 会話形式の出題がなくなったが、昨年に引き続き、考察力を試す出題が目立った。まず、会話形式の出題がなくなったのが目を引く。原子分野からの出題は昨年と同様に第1問の小問集合の中で出題された。また、実験および実験データの分析など、探究活動を意識したと思われる出題が目立った。

化学

東進

 大問数は5題で変化はなかったが、設問数は18から19に増加、マーク数は35から31に4つ減少した。昨年と比べて出題形式に大きな変化はなかったが、全体を通して思考力を要する問題が多く出題された。 第1問の問4、第2問の問3・4、第3問の問4、第4問の問4、第5問は、図やリード文を正しく読み取ったうえで解答を導く必要があり、解答に時間を要する問題であった。

河合塾

 化学の全範囲からまんべんなく出題された。実用電池、冷却剤、医薬品、テストステロンなど日常生活や社会と関連する物質を題材とした問題が多く、アスタチン、ニッケルの製錬、質量分析などの目新しい問題もみられた。質量スペクトルをはじめとして、グラフや表からポイントとなる情報を読み取ったり、適切なグラフを判断したりする力が重視された。

データネット

 文章を読み解く問題、図やグラフを読み取る問題が数多く出題され、読解力と思考力を要した。教科書では扱わないアスタチンの性質、ニッケルの製錬法に関する問題が出題された。また、医薬品に関わる内容を題材にした問題が数多く出題された。質量分析法によるデータの読み取りを題材にした問題が目新しい。難易は昨年並。

代々木ゼミナール

 昨年と比べ読解力、思考力、計算力を問う設問が増加し、時間的に厳しい構成であった。第1問から第3問にわたって見慣れない反応や普段意識しない視点からの設問が複数出題されたほか、第5問は教科書では一般的ではない質量分析のスペクトルを考察させるなど、思考力を問う問題が目立った。それ以外の知識問題は標準的であったが、60分で解ききるのは厳しかったと思われる。

生物

東進

 2023年度と同様に大問数は6題である。分量は28ページで昨年の29ページよりも若干減少した。設問数は20問(マーク数26)であり、2023年度の23問(マーク数28)より設問数が3つ減少、マーク数は2つ減少した。2023年度に比べてリード文が短くなり、問題の多くが1問1答式になったため取り組みやすくなった。また、知識問題が増加して実験考察問題が減少したため、解く時間が短くなったことから、全体として易化した。

河合塾

 教科書の各分野から幅広く出題された。大問中に複数の分野の設問を含むものもあった。大問数は6題で変化なく、マーク数は昨年より2つ減少した。昨年と比べて、標準的な知識問題の割合が大きく増え、実験の設定が読み取りにくくデータ処理が難しい問題や、総選択肢数が減ったため、昨年より解きやすかった。第6問のシミュレーションを行う問題は目新しい。

データネット

 全6大問必答で、昨年と同様、複数の大問で分野融合問題が出題された。与えられた情報をふまえて初見の実験結果を予想したり、分析したりする問題がみられた点は昨年と同様であったが、問題を解くうえで処理する情報量は減少し、昨年より易化。

代々木ゼミナール

 特定のテーマに関する文章と複数の資料を解析させる問題が分野横断的に出題され、知識や読解力、思考力が総合的に試された。知識問題が増え、実験考察や資料解析だけでなくより総合的な理解度を試す内容であった。文字式の選択やシミュレーション実験など、さまざまな形式の出題がみられた。文章量やレイアウトが適切で読みやすく取り組みやすかった。

地学

東進

 第1問は自然の特徴を表す図やグラフをテーマに各分野の問題が出題された。 第2問は固体地球に関する問題が出題された。 第3問のAは鉱物と岩石、Bは化石、Cは地質図に関する問題が出題された。 第4問のAは地球における気圧と気温、Bは雲の形成、Cは黒潮に関する問題が出題された。 第5問のAは太陽系の惑星、Bは恒星に関する問題が出題された。

河合塾

 大問は5題、マーク数は27で昨年と同じであった。第1問では、地学の各分野における観察・実験結果をもとに、自分で記入したグラフや図を用いて考察する問題が出題された。全体的に知識のみで解答できる問題が減少し、図やグラフをもとに考察する問題が増加した。問題文の条件をよく読んで題意を把握する必要があり、解答にやや時間を要したと思われる。

データネット

 第1問ではさまざまな分野からグラフを用いた問題が出題された。表を用いて未完成のグラフを完成させ、さらに考察する問題は目新しい。第2問~第5問でも図から読み取れることがらと知識とを組み合わせて考察を行う問題が多く出題されたが、必要とされた知識は標準的であった。昨年よりやや易化。

代々木ゼミナール

 図表の読み取りと考察問題が大半を占めた。走向が東西でも南北でもない地質図問題が2題出題された。図表の読み取り問題が4分の3を占め、数値を扱う力や考察力を問う問題が多かった。図表からの数値や大小を読み取る問題が多く、正確な知識と科学的思考力が求められる。

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《川端珠紀》

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