日本人の英語スピーキング力、最多は初級「A2 High」

 66万人の受験データから、日本人の英語スピーキング力はグローバルビジネスで通用するレベルがわずか7%であることが2024年6月17日、レアジョブ法人向け事業子会社プロゴスの調査からわかった。業種・職種・役職別の分析では、どのビジネスパーソンより学生の方がレベルが高いことも明らかに。

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国際指標「CEFR」におけるビジネスで英語を使用する際に求められるレベル
  • 国際指標「CEFR」におけるビジネスで英語を使用する際に求められるレベル
  • 海外と日本の受験者のレベル比較
  • おもな職種別の受験者のB1以上・B2以上の割合
  • 役職別の受験者のB1以上・B2以上の割合
  • おもな業種別の受験者のB1以上・B2以上の割合
  • 企業全体とグローバル関連部署のB1以上・B2以上の割合
  • TOEICL&RとPROGOSの技能間の比較分析

 66万人の受験データから、日本人の英語スピーキング力はグローバルビジネスで通用するレベルがわずか7%であることが2024年6月17日、レアジョブ法人向け事業子会社プロゴスの調査からわかった。業種・職種・役職別の分析では、どのビジネスパーソンより学生の方がレベルが高いことも明らかに。

 レアジョブグループは2020年6月より、国際的な言語力指標である「CEFR」に準拠したAIビジネス英語スピーキングテスト「PROGOS」を展開。日本人の英語スピーキング力調査では、「PROGOS」に4年間蓄積した、世界77の国・地域の大学や企業など延べ66万人の大規模受験データを調査・分析した。

 受験者のうち日本人のビジネスパーソン(一部、大学生含む)は42万人。日本人のスピーキング力は、英語で業務できるレベルに満たない初級程度「A2High」がもっとも多く、グローバルビジネスで通用する「B2」以上のレベルはわずか7%にとどまった。対して、海外受験者の最多レベルは「B1High」で、「B2」以上は4分の1を超えており、日本人のスピーキング力の低さが露呈した。

 次に業務で英語を使うのに最低限必要なレベル「B1」、英語で責任ある仕事ができるレベル「B2」を、受験者の業種・職種・役職別で分析。その結果、ビジネスパーソンのどの職種よりも、学生のレベルがもっとも高いことが明らかとなった。役職別でみると、「B2」以上の割合は「取締役・役員」がもっとも高く、ついで「係長」「本部長(事務部長)」と続いた。「B1」以上の割合は、「一般社員」が47.9%でもっとも少なかったのに対し、管理職と役員は軒並み半数を超えた。

 次に、IT・インターネット、コンサルティング、メーカー(メディカルを除く)、エンターテイメント、メディカル(医薬品、医療機器)、運輸・交通に絞り、業種別でみたところ、コンサルティングがB1以上が60%を超え、もっともスピーキング力が高いことがわかった。

 また、グローバル関連部署と企業全体を比較すると、グローバル関連の部署のスピーキング力は予想通り高いものの、グローバルビジネスで通用する、責任のある仕事ができる「B2」以上は1割程度にとどまった。

 最後に、英語を学ぶビジネスパーソンの多くが受験しているTOEIC L&RとPROGOSの両方を受けた6万9,350人の受験データを分析。CEFRレベルを共通の尺度として比較した結果、リスニング力とリーディング力が「B2」以上の人でも相応のスピーキング力をもつ人はわずか18%と、リスニング・リーディング力が高くても、スピーキング力が高いとは限らないことがわかった。

 今回の調査では、日本企業のグローバル展開が活発化しているにもかかわらず、それを担うべき人材の英語力、特にスピーキング力が追い付いておらず、語学力の面でもグローバル戦略の実効性を裏付ける人材の育成・確保の必要性が浮き彫りとなった。

《川端珠紀》

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