2025年3月4日(火)、令和7年度(2025年度)北海道公立高等学校入学者選抜の学力検査が実施された。
リセマムは、練成会の協力を得て、学力検査「社会」の講評を速報する。このほかの教科(全5教科)についても同様に掲載する。
<社会>講評(練成会 提供)
出題形式は例年同様、大問4題、小問数33問、配点は地理33点、歴史33点、公民34点となっています。完全解答の問題は昨年より3問少ない9問。昨年度に続き2年連続で漢字指定の問題がありませんでした。また、記述問題は昨年より2問多い11問でした。配点は小問集合の大問1が34点(2点と3点の問題)、大問2~4は各22点(3点~5点の問題)となっています。また、3つ以上の解答をセットとする完全解答の問題は3問でした。表やグラフ、写真など複数の資料から読み取れることをもとに答えを導く問題が多く出題されています。ただし、記述問題は、ここ数年のトレンドである、初見の資料から読み取れることを知識と結び付けて答える形式も出題されていますが、覚えていることをもとに文章を組み立てる問題が例年と比べて多く出題されている印象があります。
大問1は、地理・歴史・公民からバランスよく出題されている小問集合でした。本初子午線を地図中から選ぶ、国事行為、文明開化、政府開発援助などの語句を答える、モノカルチャー経済、違憲審査権の内容を書く記述問題など、暗記をベースとした基本的な問題中心でした。その中で、問6資料から読み取れる、サンフランシスコ平和条約の締結からある年までの沖縄の状況を答える問題は、思考力・判断力・表現力を必要とする問題でした。
大問2は、古代から現代までの歴史総合問題でした。問1各時代の船舶の写真や資料からなるカードA~Dが、古代、中世、近世などの時代区分と、争いと交流・交易の内容区分をまとめた表のどこに当てはまるかをそれぞれ答える問題、問4元寇について、このとき兵を送った朝鮮半島の国として高麗を選び、元寇後の東アジアの状況を説明した文を選ぶ問題は難度が高いものでした。また、問2日清・日露戦争について、日露戦争後の講和条約締結後に日比谷焼き打ち事件が起こった理由を、資料1~3から読み取れることをふまえて説明する記述問題、問3田沼意次の政策について、資料4、5をふまえ、政策の背景と目的にふれて説明する問題では、資料を活用しきれていない、設問条件に合っていないことにより減点となる解答が多くなったかもしれません。
大問3は、略地図やグラフなどを題材にした、世界や日本のさまざまな地域に関する問題でした。□A問1アメリカで見られるセンターピボットとフィードロットがどの国にあるのかを、気候や農業の特色から判断して答える問題は良問です。□B問3(1)京都市内の建築物に高さやデザインなどの制限が設けられている理由は解答しやすい問題でした。(2)は近年問題となっているオーバーツーリズムに関する問題でした。
大問4は、表やグラフなどを題材にした、政治や経済、国際社会に関する問題でした。比較的解きやすい問題が多くなりました。問5衆議院の優越が認められている理由を書く記述問題は正答率が高くなることが予想されます。問6経済のグローバル化について、産業の空洞化を答え、空洞化が進む理由として、円高を背景として海外で安価な労働力を求めやすくなったことを答える記述問題は、為替レートや貿易について正しく理解している必要がありました。
大問1の小問集合問題は基本事項が多いですが、難度の高い記述問題が出題される年もあります。教科書の知識を正確に覚え、内容などを説明できるようにする必要があります。大問2から4の問題に対応するには、できごとの時代背景を深く理解したり、統計資料から国や都道府県を判断できるようにしたりすることが大切です。地理は、地図帳や参考書を活用して、国や都道府県の特色やデータを覚えること。また、覚えた知識を使って、できごとの内容や原因、理由などを正確に書く表現力も必要です。初見の資料や統計から読み取れることをどう知識と結び付けて答えを導き出すかを素早く判断し、設問に即した文章を組み立てる表現力を鍛えることが必要です。最後に、北方領土に関する問題は必出なので、地理と歴史の2つの観点から知識を整理しておきましょう。
このレポートは2025年3月4日(火)に速報として練成会により作成されたもの。
協力:練成会