不登校の親、配偶者と価値観の擦りあわせが鍵…保護者調査

 サイボウズの「ソーシャルデザインラボ」は2025年3月12日、不登校や行き渋りの子供がいる親を対象に実施したインタビュー調査の結果を発表した。配偶者との価値観の擦りあわせが、親の葛藤を乗り越えるきっかけとなることがわかった。

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不登校の初期段階 親には「3タイプの葛藤」
  • 不登校の初期段階 親には「3タイプの葛藤」
  • 子供が不登校・行き渋り傾向となった際の親の検討フェーズ
  • フェーズ1:3つのパターン
  • 配偶者(パートナー)との価値観の擦りあわせが葛藤を乗り越えるきっかけに
  • 習い事や部活動、スポーツチームなど外の世界へつなげるきっかけに
  • 最初の相談先は学校 早めの適切な対話が状況好転の鍵に

 サイボウズの「ソーシャルデザインラボ」は2025年3月12日、不登校や行き渋りの子供がいる親を対象に実施したインタビュー調査の結果を発表した。不登校には3つのフェーズがあり、親の葛藤には3つのタイプがあることが明らかになった。配偶者との価値観の擦りあわせが葛藤を乗り越えるきっかけとなるという。

 サイボウズは、2024年秋に不登校や行き渋りの子供がいる親1,000人を対象にアンケート調査を実施。今回は、前回の結果を踏まえ、子供の不登校や行き渋りを経験した親6人にインタビュー調査を実施した。今回の調査期間は2025年2月4日~12日。対象となったのは小中学生の親計6人。

 不登校について、以前(2024年12月)公表した調査結果によれば、不登校や行き渋りが始まった後、親の行動や心情は大きく3つの経過を辿ることがわかった。最初の「フェーズ1」は、親が不登校や行き渋りに困惑し、子供の状況把握や家庭内のコミュニケーションに葛藤する期間。次に「フェーズ2」として、学校の先生と話しあったり、新たな居場所を検討したりする情報収集の期間。最後は新たな居場所に通い始める「フェーズ3」である。

 特にフェーズ1で親が抱える葛藤には、3つの傾向があるという。Aは「なぜ不登校や行き渋りになったのか」理由を知りたいが、子供の心情に寄り添った選択肢を見つけられない葛藤。Bは、子供の意思を尊重したいが、「学校に行くべきだ」という考えをもち、対応を模索する中で生じる葛藤。Cは配偶者や身内との意見の対立に悩み、支援不足で孤立を感じる葛藤である。

 前回の調査の結果では、もっとも頼りたい人として半数以上が「配偶者(パートナー)」と回答。今回のインタビューの結果からも、配偶者(パートナー)との価値観の擦りあわせが、葛藤を乗り越えるきっかけになることもわかった。特に配偶者との考えが異なる場合、方向性が定まらず、次のステップに進むまでに時間を要することがある。家庭内の不和が生じると、子供が学校に行きたがらなくなったり、気持ちを話すことに躊躇したりするケースもみられた。一方で、配偶者と話しあいができ、足並みを揃えて対応できたケースでは、親自身の精神的負担が軽減され、子供に向きあえる環境が整うという。

 また、習い事や部活動、スポーツチームなどが子供を外の世界へつなげるきっかけとなることが判明。半数以上のケースで、「学校には行かなかったが、習い事には通い続けていた」「部活動のある日は学校に行く」などの経験が寄せられた。習い事でできた交友関係がきっかけで学校に通い出したという例もみられた。

 不登校や行き渋りに直面した親がまず相談する先は「学校」が多いが、学校の対応については評価が分かれた。迅速で適切な対話ができた場合、状況が好転しやすいが、学校での相談がうまくいかない場合、地域や民間の相談機関に助けを求める例もあった。

 特に中学生においては、進学への影響を心配する親が多く、「通信制高校」が選択肢としてあがることが多い。通信制高校は毎日登校する必要がないため、学校に行きにくい子供たちには現実的な選択肢となっている。

 不登校や行き渋りの理由や親子間の関係性はさまざまであり、一括りにして対応策を考えることは難しいことがわかる。しかし、多くの親や子供に共通する傾向も浮かびあがっており、たとえば学校に通わなくなったきっかけでは「体調不良」が多く、6人中5人が「人間関係(特に友達関係)」を理由にあげていた。

 インタビュー調査の結果は、サイボウズ「ソーシャルデザインラボ」のWebサイトにて公開されている。

《吹野准》

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