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「学校保護宣言」署名キャンペーン…日本政府に働きかけへ

 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは2025年4月8日、「学校保護宣言キャンペーン」を開始した。紛争下における学校や大学への攻撃や軍事利用禁止などを規定する国際的な指針「学校保護宣言(Safe Schools Declaration)」への日本政府の賛同を求め、子供・学生や学校・教育関係者ら一般市民に署名を呼びかける。

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「学校保護宣言」への賛同を日本政府に求める署名キャンペーン
  • 「学校保護宣言」への賛同を日本政府に求める署名キャンペーン
  • 攻撃を受けたウクライナの首都キーウ近郊の学校/学校保護宣言の賛同国マップ(GCPEA提供)

 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは2025年4月8日、「学校保護宣言キャンペーン」を開始した。紛争下における学校や大学への攻撃や軍事利用禁止などを規定する国際的な指針「学校保護宣言(Safe Schools Declaration)」への日本政府の賛同を求め、子供・学生や学校・教育関係者ら一般市民に署名を呼びかける。

 現在、世界では4億7,300万人の子供たち(世界の子供人口の約5人に1人)が紛争地に暮らしている。紛争の発生・長期化にともない、教育への攻撃も多発している。学校や大学など教育施設への攻撃、その軍事利用、生徒・学生・教員の拉致や殺害といった教育への攻撃の結果、世界では2億3,400万人もの子供・若者たちが教育を阻まれている状況にある。

 2015年に策定された「学校保護宣言」は、学校の軍事利用をなくし、教育を攻撃から守るための国際的な指針である。これまで紛争当事国含む世界121か国が賛同しているが、宣言策定から10年となる2025年現在、日本政府はいまだ賛同しておらず、G7各国の中で賛同していない唯一の国となっている。

  キャンペーンでは、学校保護宣言の内容や紛争下の教育の現状などを発信するとともに、オンライン署名サイト「Change.org」やセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンWebサイト「あすのコンパス」にて、子供・ユース世代、学生・教員を中心に、一般市民へ広く署名協力を呼びかける。

 日本政府に対し、寄せられた署名を届けるとともに、宣言への賛同を働きかける予定だ。キャンペーン期間は2025年4月から最長で12月までの予定。状況に応じ第3期まで延長する。

 署名の呼びかけ対象者は、子供、学生、教員、学校・教育関係者、支援関係者などを中心とした一般市民。国外からも署名賛同を募るため、日本語に加え、英語でも情報発信する。

 両ページに寄せられた署名をあわせて、キャンペーン期間中に適時、日本政府関係者へ提出する。提出先は外務省、防衛省、人道支援・国際政策に関わる議員連盟・国会議員などを予定している。

 学校が攻撃される理由の1つに、「学校が軍事上の目的で利用されているから」ということがある。多くの校舎は、広く頑丈で複数の部屋や校庭があり、水道・調理設備などもあることから、学校施設が軍事基地や兵舎、武器などの保管庫や射撃の訓練場などの軍事目的で利用されることがある。本来は民間施設として保護される学校・大学などが軍事利用された結果、武装組織の攻撃対象にされてしまうことが起きている。

 「学校保護宣言」に賛同した国は、軍事利用の目的で開校中の学校を使用することの禁止や、武装紛争下における学校の意図的破壊の禁止などが求められる。

 キャンペーンを通じて、紛争下にある子供たちの教育を守るための国際的な取組みへの日本の参加を促し、世界の子供たちの学ぶ権利を守ることにつながることが期待される。

《吹野准》

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