【大学受験2027】「AI時代の文系教育の価値」とは…甲南女子大学が国際学部と文学部をアップデート

 「生き抜く力を持つ自律した女性の育成」を目標に掲げ、2025年の心理学部開設からはじまり、2026年には社会学部、教育学部を開設した甲南女子大学。2027年4月には、国際学部国際学科の開設と文学部のアップデートというさらなる改革に踏み出す。AI時代を見据え、新たな学びに込めた思いとその真価を両学部長に聞いた。

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【大学受験2027】「文系女子の強み」を最大化…甲南女子大学が国際学部と文学部をアップデート
  • 【大学受験2027】「文系女子の強み」を最大化…甲南女子大学が国際学部と文学部をアップデート
  • 甲南女子大学 国際学部 学部長 ウォント盛香織教授
  • 英語や韓国語でグローバル社会や文化を学べる国際学部。世界を知り他者を理解するための3専攻共通の4つの学び
  • ANA総合研究所のスタッフやキャリアコンサルタントが常駐している「ANAルーム」
  • 「e-space」の共通語は英語。常駐の専任アドバイザー教員への相談、英語学習のサポートが受けられる
  • 甲南女子大学 文学部 学部長 馬場伸彦教授
  • 約52万冊を所蔵する図書館は、建築家・村野藤吾氏が設計した吹き抜けの開放的な空間が特徴。落ち着いた環境の中で学びに向き合うことができる
  • 日本文化学科では、文化や歴史を学ぶだけでなく、その学びを社会へ発信するところまでを重視した実践的な教育を行う

 甲南女子大学が、学びのアップデートを続けている。次に仕掛けるのは国際学部と文学部の同時アップデートだ。学生が主体的に「話す」「伝える」「創る」力を養い、社会に直結する実践的なスキルを身に付けるカリキュラムへと刷新する。

 AIが既存の「正解」を塗り替えつつある今、文系の学びの新しい価値とは何か。国際学部長のウォント盛香織教授と文学部長の馬場伸彦教授に、新たな学びの真価を聞いた。

【話を聞いた人】

ウォント盛香織教授:甲南女子大学 国際学部 学部長

馬場伸彦教授:甲南女子大学 文学部 学部長


国際学科3専攻…149科目から「自分だけの武器」をカスタマイズ

--2027年4月、既存の国際英語学科と多文化コミュニケーション学科を統合し、新たに「国際学科」が誕生します。この統合にはどのようなねらいがあるのでしょうか。

ウォント盛教授:現代のグローバル社会が抱える課題は非常に複雑で、1つの言語や1つの地域の知識だけでは解決できません。かねてより学生からも「学科の枠を超えて幅広く学びたい」という声が多く寄せられていました。今回の統合により、学生が自身の興味や将来の目標に応じて149科目(学科共通科目54・各専攻科目95)の中から、学びを自由に組み合わせられる環境を整えます。世界を知り他者を理解するために英語や韓国語等でグローバル社会や文化を学び、幅広い知識と専門性を横断的に身に付けながら、「自分らしい強み」を学生ひとりひとりが主体的に深化・進化させていく。それこそが新しい国際学科の大きなねらいです。

英語や韓国語でグローバル社会や文化を学べる国際学部。世界を知り他者を理解するための3専攻共通の4つの学び

--新学科では3専攻「グローバル共生専攻」「英語キャリア専攻」「韓国語・韓国文化専攻」に再編されます。それぞれの特色について教えてください。

ウォント盛教授:まず「グローバル共生専攻」は、グローバル社会、地域社会、個人という3つの視点から、特定の地域や言語圏に限定せずに、世界の文化や社会問題を横断的に学ぶ専攻です。世界各地の文化や歴史、社会問題、政治・経済、ビジネスを横断的に理解できることが特徴です。

 さらにPBL(課題解決型学習)に力を入れます。多文化共生コミュニティやJICA等と連携した活動、自然環境保全や子育て支援、災害復興支援をテーマとする「ESDスタディツアー」などを通じて、現場で実践的に学びます。多様な価値観をもつ人々と協働しながら、柔軟な視点やコミュニケーション力を養い、新たな価値や場を創り出す力を育てます。

 「英語キャリア専攻」は、4年間を通じて英語を使う環境に身を置き、自分が目指すキャリアで役立つ英語発信力を身に付けます。授業は毎学期レベル別のクラス分けを行う少人数制で、ひとりひとりの進度にあわせて目標を設定し、英語力を着実にステップアップさせていきます。

 企業と連携した実践的なビジネスプロジェクトや、インターナショナルスクールでの教育支援などのPBLを通じて「使える英語」を「仕事で勝てる武器」へと昇華させます。

甲南女子大学 国際学部 学部長 ウォント盛香織教授

 そして「韓国語・韓国文化専攻」という、K-POPや韓国コスメなどの人気、学生たちの熱いニーズに応え独立した専攻を設置しました。少人数制で「読む・書く・聞く・話す」の4技能をネイティブやバイリンガルの教員から学ぶので、知識ゼロからのスタートでも、韓国語能力検定(TOPIK)や、ハングル能力検定の最上級の取得を目指せるレベルまで伸びます。

 また、言語だけでなく、韓国の文化や歴史を多角的に理解することも重視します。現地のメディアや日韓交流の現場を訪ねる「韓国丸ごと体験プログラム」やコリアンタウン訪問など、韓国社会の「今」を肌で感じる機会を豊富に用意しています。

留学と経済的支援「挑戦」を後押しする圧倒的なサポート

--留学制度や奨学金についても手厚く刷新されると伺いました。

ウォント盛教授:本学部では、「希望者全員留学」を掲げています。個々の状況に配慮しつつ、カナダやオーストラリア、韓国など約10の国と地域に数か月から1年間の留学が可能です。2027年度からは提携大学の学生と学部教育を一緒に受講する「学部留学」も準備中です。現地で取得した単位は本学の単位に認定されます。

 また、2027年度から奨学金を大幅に拡充します。留学期間中の授業料を全額免除するだけでなく、成績優秀者には最大176万円という給付型奨学金を用意しました。安全面でも危機管理専門会社や現地エージェントと連携しており、保護者の方々が安心して背中を押せる環境を整えています。

--留学以外の海外経験のプログラムはありますか。

ウォント盛教授:ご家庭や学生の状況に合わせ、多様なメニューを用意しています。海外インターンシップでは約1か月間、オーストラリア、フィリピン、ベトナム、アイルランドなど現地の企業や空港、学校で多彩な職種の職業体験ができます。1週間程度で気軽に行けるスタディツアーとして、韓国語・韓国文化専攻の韓国ツアーのほか、マルタ共和国へのツアーも準備中です。

「グローバルキャリア」を支える特別な環境

--国際学部ならではのキャリア支援や学習環境について教えてください。

ウォント盛教授:航空・ホスピタリティ業界への強さは、本学の伝統です。ANA総合研究所との連携による「エアラインプログラム」で、航空業界の最前線を体験できます。さらに学内の専用施設「ANAルーム」で経験豊富なスタッフからきめ細やかなキャリアサポートを受けることができます。

ANA総合研究所のスタッフやキャリアコンサルタントが常駐している「ANAルーム」

 さらに、パソナ・グローバル事業本部との連携授業も展開し、グローバルビジネスシーンで活躍できる力をもつ女性を育成しています。企業だけでなく、国際機関、NGOなどの組織、公務員等でグローバルリーダーシップを発揮するための授業科目も充実しています。資格取得では、小中高の教員免許や司書、学芸員のほか、貿易実務検定や通関士試験といった資格や語学検定まで幅広いチャレンジをバックアップしています。

 学習環境については、校内に設置している英語学習の拠点「e-space」や、新たに設置する韓国語学習の拠点「K-space(マダン)」を大いに活用してほしいです。どちらのスペースも専門教員やスタッフと気軽に交流し、授業外でも語学力を磨ける環境です。こうした機会や場を生かして自発的に学習する学生は見違えるように成長します。

「e-space」の共通語は英語。常駐の専任アドバイザー教員への相談、英語学習のサポートが受けられる

AI時代にこそ光る、実践的な人文学

-- 文学部も「日本文化学科」と「メディア表現学科」の2学科体制へとアップデートされます。どのような学びを得られるのでしょうか。

馬場教授:新しい文学部の核心は、知識を身に付ける人文学から、文化の力で未来の課題を解決する「実践的な人文学」にリニューアルし、学生自身が未来を切り開く力を育成することです。

 現代社会において「答えらしいもの」は生成AIを使えば容易に得られます。しかし、これからの社会で大切なのは、すぐに答えを出すこと自体ではなく、「その答えに対して、自分はどう考えるのか」という独自の視点をもつことです。文学部で扱う文化や歴史には、そもそも明確な正解がありません。多様な考え方やものの見方を知り、自分なりの視点を構築していくプロセスこそが、AIに代替できない力となります。

甲南女子大学 文学部 学部長 馬場伸彦教授

-- 「実践」というキーワードが文学部で強調されているのは新鮮です。

 知識だけでは思考は深まりません。自分なりの視点をもつには、学生自身のリアルな経験が欠かせません。だからこそ新しい文学部では、地域や企業と連携した実践的な学びを重視し、教室の外で得た実感と人文学の知を結びつけるカリキュラムを設計しています。

 これまでの文学部には、「学んだことが社会で役に立つのか」という声がつきまとってきました。しかし、人文学には人間や社会の本質を多角的に捉える力があります。その視点を実社会での経験と結びつけることで、学生は「知っている」を「自分で考え、動ける」に変えていける。正解のない不透明な時代だからこそ、文学部の学びはもっとも実用的な力になると確信しています。

約52万冊を所蔵する図書館は、建築家・村野藤吾氏が設計した吹き抜けの開放的な空間が特徴。落ち着いた環境の中で学びに向き合うことができる

「好き」から「問い」を立て、スキルへと昇華させる

--馬場先生は漫画やアニメ、若者言葉やカルチャーについても研究されています。

馬場教授:たとえば「エモい」「チルい」という若者の表現も、フィルムカメラや古いデジカメの流行も単なるブームではありません。一見すると個人の趣味ですが、背景には時代特有の心理や社会構造が必ず隠れています。「なぜ流行るのか」と問いを立て、分析し、言語化していく。このアプローチは古典を読むことと地続きであり、ビジネスにおける新しい発想の源泉にもなります。

--リニューアルする日本文化学科(現:日本語日本文化学科)の特徴について詳しく教えてください。

馬場教授:新しい日本文化学科は、3つの学びの分野を設けています。まず、現代日本に影響を及ぼしてきた言語や作品を学ぶ「日本語日本文学分野」。そして、歴史や地理、民俗学的な背景から観光・地域資源としての文化を再発見する「歴史・地域分野」。そして、観光やおもてなしの学びに加え、広報のあり方や情報コミュニケーションの手法を実践的に学ぶ「コミュニケーション分野」です。3分野とも、文化の背景まで学ぶことに力を入れており、日本文化の本質と魅力を理解することでグローバルな感覚を身に付け、自分なりの視点や考え方を他者へ届ける「伝える力」を磨きます。

日本文化学科では、文化や歴史を学ぶだけでなく、その学びを社会へ発信するところまでを重視した実践的な教育を行う

--メディア表現学科の進化についても教えてください。

馬場教授:メディア表現学科では「デザイン思考」を軸に、生成AIを含む最新テクノロジーを自らの表現に生かすカリキュラムを導入します。あわせて、既存の領域を、写真やマンガ、アニメ、絵本、コスプレなど多様なメディア表現を探究する「ヴィジュアルカルチャー分野」、AIなどの最新テクノロジーを理解し、自らの表現に主体的に生かす「クリエイション/AI分野」。そして、メディア表現によるコミュニケーションの提案・実施を通じて解決を図る「ソーシャルデザイン分野」の3つの分野に再編します。

メディア表現学科では、デザイン思考とクリエイティブなアプローチを身に付け、メディア表現を横断的に学ぶ

 出発点は「創作することが好き」という熱量が大切ですが、自己完結な表現で終わらせず、創作物が相手に与える影響まで考える。実社会のリアルな課題の解決法を提案できるクリエイティブな人材の育成を目指します。

メディア表現学科コモンルームのMEDIA LABでは、パソコンや3Dプリンタ、レーザーカッターなど最新の設備を自由に使用できる

--資格取得に関する特色はありますか。

馬場教授:メディア表現学科では、学芸員資格の取得に注力しており、自らの作品を展示してフィードバックを得る実践的なプロセスを重視しています。

 日本文化学科は教職課程や司書などの資格取得を手厚くサポートしています。教員が学生ひとりひとりに寄り添って親身に伴走する体制を整えています。また、日本語教員の養成にも長年力を入れており、韓国での日本語教員研修など充実したカリキュラムを設けています。

なぜ今、「文系・女子大」が最強の武器になるのか

--学部は違うものの、改革の根底に共通するものはありますか。

馬場教授:分野横断である点ですね。ひとつの専門知識だけでは、変化の激しい社会にすぐ対応できなくなります。文学部では、一見異なる学問領域を横断して学ぶことで、物事を多角的に捉え、主体的に考える力を養います。それは就職後にどんな環境に置かれても応用が利く、一生ものの力になると考えています。

ウォント盛教授:馬場先生がおっしゃるとおり、今の社会課題はひとつの学問だけでは理解できません。たとえばオーバーツーリズムやジェンダーなど、国際学部でも点と点を行き来しながらこうした複雑な課題に向き合い、自ら動ける女性を育てていきたいと考えています。

「課題解決に向けて知性と行動力を発揮できる、グローバルな女性を育てていきたい」

--女子大だからこそ提供できる女性教育の強みについて、実感されていることはありますか。

ウォント盛教授:本学は秋元典子学長が「生き抜く力を持つ自律した女性の育成」を本学の存在意義として掲げ、全教員が授業の中で必ず1度は女性・ジェンダーの視点を取り入れるという独自の行動目標を設けています。日常的にこの視点に触れることで、女性であることから生じるさまざまな社会問題を批判的に思考し、それを乗り越え、より強くしなやかに生きる力が身に付いていると感じています。

甲南女子大学の女性教育のコンセプト

馬場教授:今や社会のトレンドを動かしているのは女性であり、成熟した社会で求められるのは「共感の共有」です。女子大という環境は、女性が得意とするネットワーク思考や共感力を存分に磨ける場所です。権威で人を動かす時代から、共感で人を繋ぐ時代へ。女性本来の思考こそが、今、社会でもっとも必要とされているのではないでしょうか。

--最後に、受験生と保護者に向けてメッセージをお願いします。

馬場教授:皆さんが好きなものや気になることは、決して個人的な趣味で終わるものではありません。それは社会を知るための入り口です。当たり前を疑い物事を批評的に見ることで、自ら考える出発点に立つことができ、人生が豊かになっていくのです。個人の感情や印象を出発点に、その背景を考えていくことが社会を知ることにつながり、人生で応用可能な価値ある知恵が獲得できると思います。

「好きなものや気になることは、個人的な趣味で終わるものではなく社会を知るための入り口」

ウォント盛教授:「海外に興味がある」「新しい自分に出会いたい」という気持ちがあれば、ぜひ国際学部の扉を開いてください。保護者の皆さま、本学はひとりひとりの学生に徹底的に寄り添います。お子さまが自信をもって人生を歩んでいけるようグローバルな感性を育みますので、安心して選んでいただければと願っています。ぜひオープンキャンパスで、この環境を体感してみてください。


 激変する時代だからこそ、物事を自分なりに考え、言語化していく力が未来を切り開く。社会につながる実践的な学びを拡充する両学部なら、専門的なスキルに加え、変化を恐れずしなやかに生き抜く思考力という一生の武器を手にできるはずだ。甲南女子大学には、本気で女性を応援する温かな教育環境があることを確信できた。ぜひ一度、キャンパスに足を運び、親子でその環境を確かめてほしい。

未来の私と話をしよう
甲南女子大学 オープンキャンパス
2027年4月 国際学部 国際学科 開設2027年4月 文学部 アップデート
《土取真以子》

土取真以子

関西在住の編集・ライター。教育、子育て、ライフスタイル、お出かけのジャンルを中心に、インタビュー記事やイベントレポートなどの執筆を手がける。教育への関心が強く、自身の出産後に保育士資格を取得。趣味が旅行とハイキングで、目標は親子で四国お遍路&スペイン巡礼。

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