私は1996年に「ポスドク」という身分で渡米した。アメリカの大学は「Post Doctoral Research Fellow:ポスドク」と呼ばれる、博士号を取り立ての、いわゆる「低賃金でこき使うことが出来る」研究者の労働力によって成り立っているといっても過言ではない。世界各国から来るポスドクの給料は医者でさえキャンパスの清掃員より安かったりするのが現実で「独身ならばそこそこアメリカ留学を楽しめる」「子どものいない夫婦なら何とかなる」「子どもが出来たら日本の貯金を崩し」「2児が出来たら飢え死に覚悟」と言われている。
≪プロフィール≫ Grace(Hiroko) YAMAZAKI 東京都出身。医学博士(東京大学)。横浜市立大学カリフォルニアオフィス所長。横浜市立大学医学部客員教授(解剖学)。1996年にオハイオ州シンシナティ大学医学部へ留学(感染免疫)。1998年にミシガン大学医学部(内科学)に入局。2001年にシリコンバレー(カリフォルニア)に移り、BD Biosciences主任研究員、Kinetech Inc. CEO、丸紅アメリカ(バイオ・メディカル)技術顧問を経て2007年より現職。Japanese University Network in the Bay Area(JUNBA)副会長。専門は感染防御および自己免疫疾患。現在は子宮頸癌予防のプロジェクトに参画し、発展途上国におけるHPV感染の早期発見、検診の啓蒙を行っている。独身。2児の母。
《Grace(Hiroko) YAMAZAKI》