【中学受験の塾選び-1】首都圏の人気塾をチェック

 中学受験を考えているお子さん、特に新4年生をお持ちのご家庭は、2月の入塾シーズンに向けて「そろそろ塾を選び始めないと」とお考えではないだろうか。

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写真はイメージです。本文とは関係ありません
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 中学受験を考えているお子さん、特に新4年生をお持ちのご家庭は、2月の入塾シーズンに向けて「そろそろ塾を選び始めないと」とお考えではないだろうか。

 そこで本企画では、首都圏の6つの進学塾「日能研、SAPIX、四谷大塚、早稲田アカデミー、栄光ゼミナール、希学園」をピックアップし、各塾の概要、合格力などを紹介していく。それぞれ規模や教育方針、学習システムなどが異なるが、いずれも多くの受験生が集まる人気塾である。

 第1回となる今回は、塾別の概要を学習システムやクラス編成、安全対策などから比較し、さらに進学塾が主催している模擬試験の偏差値一覧についても紹介する。ここに掲載している情報は、それぞれのWebサイト(一部電話取材)から得た2010年12月時点の情報であり、最新の情報については各塾に直接ご確認いただきたい。

■学習システム・クラス編成・通塾日数・安全対策

○日能研
 中学受験専門の進学塾で、全国に135校舎を持ち、その過半数が首都圏に集中している。
 日能研では、小3から小6までの4年間を5つのステージに分け、小3(ステージI)、小4前期(ステージII)、小4後期・小5前期(ステージIII)、小5後期・小6前期(ステージIV)、小6後期(ステージVI)と進み、各ステージの間に夏期講習が設けられている。
 ステージII以降は「授業~家庭学習~テスト~ふり返り」を1つのサイクルとして学習が進められる。“学びが授業から始まる”日能研では、予習は奨励されず、復習が重視されているという。
 1クラスの人数は20~30人で、これは仲間と学ぶことの相乗効果が得られる理想的な人数という考え方に基づくもの。また、各クラスは学力別に編成され、小4~5は2か月に1回、小6は毎月のクラス分けが行われる。
 講師は、1教科専任の「授業担当者」と「クラス担当者」が置かれ、各担当者が連携して生徒をサポートする。
 1週間の通塾日数は、小3が2科目で1~2日、小4が4科目で2~3日/2科目で1~2日、小5が4科目で3日/2科目で2日、小6が4科目で3~4日/2科目で2~3日(ただし、校舎によって開講クラスが異なる)。
 日能研は安全対策に力を入れており、警察OBで構成される防犯のプロ集団「Nセキュリティ」による通室サポートのほか、「光るNバッグ」および「防犯Nブザー」の配布、また首都圏では、PASMOを利用した入退室見守りシステム「キッズセキュリティ」も導入されている。

○SAPIX(サピックス)小学部
 中学受験専門の進学塾で、首都圏に41校舎を展開している。
 SAPIXでは、小1から小6まで学年別にカリキュラムが分けられている。
 授業は、講師の板書を生徒が書き写す「黒板授業」を基本とし、討論形式で進められる。学習は「授業~復習~小テスト」を1つのサイクルとして学習が進められ、徹底した「復習主義」により、教材は授業開始時に配布される。
 1クラスの人数は15~20人程度で、学力別に編成され、小1~3は約2か月に1回、小4~6は約1か月に1回のクラス分けが行われる。また、小6になると志望校別のクラス編成も取り入れられる。
 1週間の通塾日数は、小1が2科目で1日、小2が2科目で1日、小3が4科目で1日、小4が4科目で2日、小5が4科目で3日、小6が4科目で2日+志望校別4科目で1日、また6年生の9月からは「難関校SS(サンデーサピックス)特訓」が加わる。
 SAPIXの安全対策としては、職員による駅までの誘導、校舎周りに警備員の配置、SAPIX負担による保険加入などがある。

○四谷大塚
 中学受験専門の進学塾で、首都圏に20校舎を展開している。直営校のほかに、提携塾(YTnet)の運営も行っており、カリキュラムを提供している。
 四谷大塚では、小4~6まで学年別にカリキュラムが分けられている。
 学習内容は「学習予定表」に週単位で組まれ、「予習~授業~復習(テスト)~確認」を1週間でこなしていく。授業は、中学受験用テキストの定番となっている「予習シリーズ」に沿って進められ、週例テストで間違った個所について土日にVOD(ビデオ・オン・デマンド)で復習できるようになっている。
 1クラスの人数は20~30人で、学力別に編成され、年に数回(学年により異なる)クラス分けが行われる。また、小6の9月からは志望校別のコースも設置される。
 講師は、1教科専任制をとっている。
 1週間の通塾日数は、小4が4科目で3日/2科目で3日、小5が4科目で4日/2科目で3日、小6が4科目で3日/2科目で3日。校舎によっては理科実験教室が設置されており、全学年を対象に月1日受講できる。
 安全対策としては、校舎から駅までの引率を行っている。

○早稲田アカデミー
 中学受験から高校・大学受験までを対象とした進学塾で、首都圏に104校舎を展開している(個別指導MYSTA(マイスタ)含む)。四谷大塚のYTnet提携塾でもある。
 小1~6まで学年別にカリキュラムが用意されており、中学入試対策は小4から始まる。授業の最後に確認テストで理解度を確認し、わからない個所がある生徒は講師から随時個別フォローを受けられる。早稲田アカデミーでは、グループ授業のほかに、「MYSTA」と呼ばれる個別指導のカリキュラムも提供しており、これを併用することも可能。また、四谷大塚との提携により、カリキュラムの一部に「予習シリーズ」を取り入れたり、理科実験教室受講のオプションも用意されている。
 クラスの人数は13~14人で、これは「講師が生徒1人ひとりの実力や様子を把握できる」という考え方に基づくもの。また、各クラスは学力別に編成され、年3回のクラス分けが行われる。6年生からは志望校別のコースも設置される。
 授業の開始/終了時の挨拶など、活気のある雰囲気づくりを重視している。また、授業の担当講師が個別面談を行ったり、欠席時は授業内容や宿題について電話連絡するなど、保護者との情報共有にも力を入れている。
 1週間の通塾日数は、小4が4科目で2日/2科目で1日、小5が4科目で3日/2科目で1日、小6が4科目で3日、2科目で1日。
 安全対策としては、塾の前で通塾してくる生徒の完全管理を行う“立ち番”や、校舎責任者による各教室の巡回のほか、事前連絡なく授業を欠席(遅刻)した生徒の家庭に電話で様子を尋ねるなどを行っている。

○栄光ゼミナール
 中学受験から高校・大学受験までを対象とした学習塾で、首都圏に約350校舎を展開している(個別指導専門塾ビザビ含む)。高校受験を目指すコースもあるが、以降では中学受験コースに限定して紹介する。
 小4で入試対策コースと公立中進学コースに分かれ、小5の秋からさらに難私国立・私国立・公立中高一貫校・公立中にコースが分かれる。学習は「予習プリント~授業~復習プリント~確認テスト・個別復習確認プリント」を1つのサイクルとして進められる。栄光ゼミナールでは単科受講制を採用しており、週1回・1科目からの受講や、教科ごとに個別指導と組み合わせることも可能。またグループ企業の「栄光サイエンスラボ」による理科実験教室も受講できる。
 1クラスの人数は12人で、これは「1人の講師が1人ひとりの生徒に対して責任を持ち切るには10人前後が限界」という考え方に基づくもの。クラス分けは随時面談等により実施される。
 1週間の通塾日数は、1科目1日からの受講も可能だが、小4が4科目で2日/2科目で2日、小5が4科目で3日/2科目で2日、小6が4科目で3日/2科目で2日(ただし、教室の時間割等により異なる)。
 栄光ゼミナールの安全対策は、校舎を人通りの多い駅のそばに設置しているほか、ICカードによる入退室管理や、防火管理責任者の有資格者を教室責任者に配置。また、個人情報を保護する企業として認められた「プライバシーマーク」を取得している。

○希学園(のぞみがくえん)
 中学受験専門の進学塾で、関西に11校、首都圏では2004年に1校目を開校し、現在4校舎を展開している。
 小3から受験対策が始まり、授業は年間の学習計画表に基づいて進められる。復習中心の学習で、「授業~宿題プリント~復習テスト」を1サイクルとして進めていく。テキスト・テストの内容は全クラス同じ。ベーシックコースのほか、科目別の補強講座や、基礎・実戦・最高レベル演習などの応用講座、小6途中からは志望校別の特訓も用意されている。
 1クラスの人数は、15~30人で、学力別に編成され、毎月クラス分けが行われる。
 1週間の通塾日数は、ベーシックコースのみの場合、小3が2科目で1日、小4が4科目で3日、小5が4科目で3日、小6が4科目で4日。
 小3は教室ごとの教科責任者、小4~5はクラス担任が置かれ、小6になるとチューター制度により塾生1人ひとりの勉強方針を指導する。
 安全対策として、最寄り駅までの引率を行っている。

■Webサイトで見られる模擬試験の偏差値について

 中学校を選ぶ際の判断材料となる模擬試験の偏差値についても触れておく。首都圏で多くの中学受験生が受ける模試のうち、「三大模試」と呼ばれるのが、四谷大塚の「合不合判定テスト」、首都圏模試センターの「統一合判」、日能研の「全国中学入試センター模擬試験」である。

 「合不合判定テスト」は、受験者数が約2万2,000人(昨年11月の実績)と国内最大の公開模擬試験で、男女御三家といわれる有名中学の志望者の70%が受験している。「統一合判」は、受験者数が毎回1万6,000人以上(小6対象の9月以降)。「全国中学入試センター模擬試験」は、首都圏を中心に全国で約1万8,000人の受験生が参加している。

 これら三大模試のほかにも、塾の内部で実施する模試など、多数の模試が開催されているが、たとえば、難関校を目指す生徒が多い模試と、中堅校を目指す生徒が多い模試では、それぞれ母集団の学力レベルが違うことなどから、同じ中学校であっても模試によって偏差値が異なってくる点に注意が必要である。

 第2回は、進学塾の合格力について、首都圏人気校の合格実績を比較する。
《柏木由美子》

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