【中学受験の塾選び-2】首都圏人気塾の合格力(1/2)

 今回は、中学受験の6つの進学塾「日能研、SAPIX、四谷大塚、早稲田アカデミー、栄光ゼミナール、希学園」について、首都圏の難関・上位校の合格実績を比較する。

教育・受験 学校・塾・予備校
表1:学校別・塾別合格人数(2010年度)
  • 表1:学校別・塾別合格人数(2010年度)
  • 表2:学校別・塾別合格率(2010年度)
  • 表3:難関上位校別・塾別合格率(2010年度)
  • 表4:過去3年間の学校別・塾別合格人数の推移
 第2回となる今回は、第1回で取り上げた中学受験の6つの進学塾「日能研、SAPIX(サピックス)、四谷大塚、早稲田アカデミー、栄光ゼミナール、希学園」について、首都圏の難関・上位校の合格実績を比較。それぞれの合格力とともに、難関・上位校向けの特別クラスの開設状況についても見ていく。

 合格実績の比較に取り上げる中学校は次のとおり。難関校として、男子校の「開成・麻布・武蔵・慶應義塾普通部・栄光学園・聖光学院・筑波大学附属駒場」、女子校の「桜蔭学園・女子学院・雙葉・豊島岡女子学園・フェリス女学院」、共学校の「慶應義塾中等部・早稲田実業・渋谷教育学園幕張」、そして上位校として、男子校の「攻玉社・巣鴨学園・城北・世田谷学園・逗子開成・鎌倉学園・明大中野」、女子高の「鴎友学園・学習院女子・光塩女子学院・横浜雙葉学園・横浜共立学園」、共学校の「法政大中・中央大附属・森村学園」の計30校だ(※)。

 今回の調査では、対象塾が必ずしも首都圏全域で展開している塾ばかりでないため、広い地域から受験生が集まる人気校という条件で、リセマムが独自にピックアップした。

■合格実績から見る合格力

 まず30校の2010年度の合格実数は、表1のようになる(※)。定員は、東京・神奈川・千葉の各自治体の発表資料、および学校の募集要項を参考にした。また、各塾の合格人数の定義は、塾生をどの範囲まで含めるか、また重複合格者をどうカウントするか等によって異なる場合があるが、ここでは各塾が公表している数値をそのまま使用している。

 表1のそれぞれの合格人数を各学校の定員数で割り、学校別・塾別の合格率として計算した結果を表2に示す(合格者数が定員より多い学校もあるため100を超える場合もある)。塾別の傾向としては、SAPIX(サピックス)が15校で最高値となっている。特に、開成や慶應義塾普通部、筑駒等、他塾を大きく引き離している学校も多いようだ。次いで日能研が10校で、四谷大塚の4校と続く。早稲田アカデミーは、早稲田実業で最高値を取っている。

 表2の30校を、難関校と上位校に分類して計算したものが表3だ。この表から、日能研は上位校の総数が最多で難関校もSAPIXに次いでいる、SAPIXは難関校の総数が男子・女子・共学のすべてにおいて最多だが上位校になると日能研と四谷大塚に次ぐ、四谷大塚は上位校の総数では日能研に次いでいる、早稲田アカデミーは難関・上位の総数がほぼ同じ、栄光ゼミナールは上記4校に比べると数値は全体的に低いが難関・上位ともに共学が高め、そして希学園は難関の男子・共学で高めになっていると見られる。

 ただし、各塾の生徒数は大きく異なるため、この表は生徒数の少ない塾には不利な比較になっている。たとえば、SAPIXの塾生数は4,496人で、希学園は155人。したがって、開成の場合、「塾全体に占める各学校の合格者の割合」は4.2%、希学園のそれは4.5%となり、実は塾生数に対する合格率はほぼ同等だ。塾によっては、塾生数を公表していなかったり、早稲田アカデミーや栄光ゼミナールのように個別指導や高校進学コース、公立中高一貫コースを設置していると塾生全員が私国立を目指しているわけではなく、塾生数から単純に6つの塾を比較することができない。塾選びの判断材料の1つに合格人数を考慮される方は、この点に注意したほうがいいだろう。

 表4では、SAPIX、早稲田アカデミー、栄光ゼミナール、希学園の過去3年間の合格実績をまとめた(日能研と四谷大塚についてはデータを得られなかった)。過去3年間で安定している学校、右肩上がりの学校、V字回復している学校など、さまざまであるが、難関校別および上位校別の2008年から2010年にかけての増減は、SAPIXが+204と+137、早稲田アカデミーが+110と+117、栄光ゼミナールが+14と-1、希学園が+14と+16となる。ちなみに、定員の増減は+7と+150である。この4塾の中では、SAPIXの難関校の合格者数の増加が最も大きいが、どの塾も難関校の合格数は増えている。少なくとも、難関校に合格する子どもに占めるこれらの進学塾への通塾率は高まりつつあるようだ。

 続いて、各塾の難関校・上位校対策から見る合格力を紹介する。

※学校の定員について:2010年度の募集人数をもとに算出しています。また、発表されている帰国生の数を含みます。詳しい内訳および2011年度の募集人員等については各学校にお問合せください。
※学校の選択について:難関校・上位校は比較のためにリセマムが独自にピックアップしたものであり、公式に定義されているものではありません。
《柏木由美子》

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