「非出会い系サイト」の児童被害、93.8%が「フィルタリングなし」

 警察庁は5月19日、サイバー犯罪対策のホームページに「平成22年下半期コミュニティサイトに起因する児童被害の事犯に係る調査分析について」と題した資料を公開した。

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犯行動機
  • 犯行動機
  • 当該サイトを選んだ理由
  • 被害児童を選んだ理由
  • 直接メールアドレス等の連絡方法
  • 当該サイトを利用した理由
  • 被疑者と会った理由
  • 使用携帯電話の名義
  • 保護者による指導状況
 警察庁は5月19日、サイバー犯罪対策のホームページに「平成22年下半期コミュニティサイトに起因する児童被害の事犯に係る調査分析について」と題した資料を公開した。

 公開資料によれば、出会い系サイトに起因する被害児童は113人(前期比−75人、−39.9%)と減少する一方、コミュニティサイト(出会い系サイトを除く)に起因する事犯の被害児童は638人(前期比+47人、+7.9%)と増加している。同庁では、サイト事業者の自主的な取組み強化や保護者等による被害防止対策に役立てることを目的に、平成22年下半期の事犯の詳細を調査分析している。

 調査分析の対象は、平成22年下半期に検挙したコミュニティサイトに起因する児童被害の福祉事犯等811件(被疑者631人、被害児童638人)。捜査の過程で判明した事実を基に、調査分析の項目ごとに集計(調査項目に係る事実が判明した検挙事犯のみの件数の集計)。被疑者の犯行動機、被疑者のミニメール利用状況、被害児童に対する保護者等の指導状況・フィルタリング加入状況等についての分析結果を公開している。

 被疑者についての調査分析によれば、犯行動機は「児童との性交目的」(70.7%)が大半を占め、以下、「児童と遊ぶため」(13.4%)、「児童のわいせつ画像収集目的」(8.4%)、「金銭目的」(3.3%)などが続いている。

 当該サイトを選んだ理由は、「多数の児童が登録」(34.3%)、「ゲームができるまたは無料だから」(27.9%)、「児童とメールアドレスの交換ができるから」(13.4%)、「プロフィール検索で児童を選べるから」(12.8%)、「児童の顔写真が掲載されているから」(4.6%)などとなっている。

 被害児童を選んだ理由については、「性交できそうだったから」(24.6%)、「メールの返信が来たから」(23.2%)、「児童だったから」(15.4%)、「すぐに会えそうだったから」(10.5%)などが上位に挙げられている。

 サイト上で被害児童と知り合ってから犯行に及ぶまでの日数は、「2週間〜1ヶ月」(20.7%)、「2日〜1週間」(18.6%)、「当日又は翌日」(17.2%)、「1〜2週間」(18.6%)、「1〜2ヶ月」(12.3%)などとなっている。

 ミニメールの利用状況は「利用有り」が61.7%となっている。また、ミニメールから直接メールへの移行状況は「移行あり」が92.5%となっており、直接メールアドレス等の連絡方法は「ミニメールに記載」が90.8%となっている。

 サイトにおける隠語の使用状況(携帯電話番号やメールアドレス等をひらがなで記載するなど)は「有り」が24.8%で、上半期(6.4%)よりも増加しており、事業者がサイト監視を始めたこと等が要因として考えられるとしている。

 登録プロフィールの「詐称あり」は42.0%。詐称内容は「年齢のみ」(42.4%)、「年齢+職業」(26.5%)、「職業のみ」(16.6%)、「年齢+職業+性別」(11.3%)などとなり、上半期よりも詐称の巧妙化が窺えるとしている。

 一方、被害児童に関する調査分析によれば、当該サイトを利用した理由は「無料だから」(39.9%)、「友達のすすめ」(23.2%)、「援助交際できるから」(15.0%)、「ゲームができるから」(9.9%)などとなっている。

 被疑者と会った理由については、「お金・品物を得るため」(25.9%)、「遊ぶため」(23.6%)、「相談に乗ってくれる人・優しい人だから」(15.6%)、「性交目的」(6.3%)などとなっている。

 当該サイトへのアクセス手段は、「携帯電話」が92.6%を占めており、使用携帯電話の名義は「母親」(38.2%)、「本人」(28.2%)、「父親」(26.2%)などとなっている。また、プロフィールの詐称については「詐称有り」が22.9%となっている。

 保護者による指導状況について「注意を受けたことはない」(38.6%)、「サイト利用を親に話していないので、注意を受けたことはない」(21.6%)、「一般的な注意を受けていた」(19.2%)「注意を受けていたが無視していた」(9.3%)などとなっている。また、学校による指導状況は、「教えてもらった」(39.9%)、「教えてもらったが、自分は大丈夫と思っていた」(15.8%)、「教えてもらっていない」(14.3%)、「教えてもらったが、よくわからなかった」(9.9%)などとなっている。

 フィルタリングの加入状況は93.8%が「無し」だった。携帯電話購入時の来店状況は76.3%が「保護者と被害児童が一緒に来店」している。

 なお、平成22年下半期に検挙した児童被害事件811件のうち、57.0%にあたる462件については、一般社団法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)による認定を受けた「EMA認定」サイトに起因するものであったという。
《前田 有香》

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