東大×MS×レノボ×豊島教委が教育ICTで連携…中学校で実証実験

 10月5日、東京大学、日本マイクロソフト、レノボ・ジャパン、豊島区教育委員会の4者による、「21世紀型スキルを育成するための実証研究」についての記者発表が行われた。

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東京大学 大学院総合文化研究科長・教養学部長 長谷川尋一氏
  • 東京大学 大学院総合文化研究科長・教養学部長 長谷川尋一氏
  • 東京大学 教養学部 副学部長 吉見俊哉氏
  • 東京大学 准教授 山内祐平氏
  • 豊島区教育委員会 教育長 三田一則氏
  • 日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 文京ソリューション本部長 中川哲氏
  • レノボ・ジャパン株式会社 常務執行役員 エグゼクティブ・ディレクター Lenovo/NECプロジェクト担当 留目真伸氏
  • 21KOMCEE。通称理想の教育棟
  • e-Journal Plusのデモンストレーションを行う学生。課題のレポートを書くときにとても役立つ、と留学生の呉重恩さん
 10月5日、東京大学駒場キャンパス内の「21 KOMCEE」(21 Komaba Center for Educational Excellence)において、東京大学、日本マイクロソフト、レノボ・ジャパン、豊島区教育委員会の4者による、「21世紀型スキルを育成するための実証研究」についての記者発表が行われた。

 東京大学からは、大学院総合文化研究科長・教養学部長の長谷川尋一氏、吉見俊哉副学部長、豊島区教育委員会から三田一則教育長、日本マイクロソフトから業務執行役員 文教ソリューション本部長の中川哲氏、レノボ・ジャパンから常務執行役員 エグゼクティブ・ディレクター Lenovo/NECプロジェクト担当の留目真伸氏が挨拶に立ち、その後、東京大学の山内祐平准教授が本実験の概要を説明した。

 「21世紀型スキル」とは、世界の教育科学者やUNESCO、OECDなどの国際機関が連携して育成に取り組んでいる、21世紀の国際社会で必要な、子どもたちが身につけていくべき能力のこと。コミュニケーションやコラボレーションの能力、課題発見解決力、自律的学習能力、ICTを確実に扱うことのできる能力・スキルなど、10の項目が規定されている。

 本実証実験は、豊島区立千川中学校を実験の場とし、Windows 7を搭載したタブレットPC40台と教育向けソフトウェアおよびクラウドサービスを備えた最新のICT環境を構築。生徒1人1台のPCを活用した授業や、クラウド環境を活かした学校と家庭の連携などの実証実験を行う。これにより、21世紀型スキルの育成に有効なICT環境とはどのようなものかを検証する。さらに、その結果をマイクロソフトのPartners in Learning スクールリサーチというプログラムを使って、客観的に評価することで精度をあげていく考えだ。

 実証研究は、東京大学では10月上旬、豊島区立千川中学校では10月下旬にスタートする。

 記者発表の会場となった「21 KOMCEE」は、自ら考えて判断したり、仲間や教員と議論しながら互いに切磋琢磨し合う主体的・能動的な学び=アクティブラーニングを支援するために2011年5月に完成した施設。ここで実践されているアクティブラーニングの考え方は「21世紀型スキル」の考え方とほぼ等しい語るのは、副学長の吉見俊哉氏。

 2007年より山内祐平准教授が中心となって研究してきたアクティブラーニングの成果を小中高等学校の教育の場につなげたい、と今回の連携の発端を語る。

 本プロジェクトの目標について、山内准教授はこう語る。「近い将来、小中高等学校でもOne to One Computing(1人1台パソコン)の時代が訪れることは必至。そのモデルとなるベストプラクティスを導き出し、全国に波及させたい」。

 記者発表後、東京大学が開発した、読解支援ソフトウエア「e-Journal Plus」のデモンストレーションも行われた。資料となる文献に、タッチペンで触れて別のシートにドラッグするだけで引用できたり、チャート図やマップを作ることができるもので、頭の中で情報を整理したり、理路整然とした文章を構成する力を身につけるのに役立つ。また、画面を学生間で共有し、資料に互いに書き込みながらディスカッションやディベートをすることもできる。

 21世紀型スキル育成のために、「e-Journal Plus」をどのように活用すればいいかについても教員を指導し、その結果を検証していく。

 本プロジェクトに参加した4者のおおまかな役割分担は次のとおりである。

◆東京大学
 21世紀型スキル育成のためのICT活用に関する助言、教職員研修の講師や教材の提供。駒場キャンパスの「21 KOMCEE」での講義で最新のICT環境を利用し、そこで収集した経験やノウハウを実証実験に活用。

◆日本マイクロソフト
 マイクロソフトが世界で展開している教育支援プログラムの「Inovative School Prgram」(マイクロソフトが、企業市民活動の一環で全世界で展開している教育機関向けプログラム)の一環として、教育専門家の手配や、教育改革を進めるためのWebツール「スクールリサーチ」の提供。海外で実績のある教材および教育向けICTツールの提供、豊島区立千川中学校の教職員への技術研修、海外との情報共有の場の提供など。

◆レノボ・ジャパン
 若者の夢の実現を支援する「U.dream」プロジェクト(レノボ・ジャパンが、志を持つ若者の夢と実現と、若者の未来を支援する弾劾をサポートするプロジェク)の一環として、東京大学の21KOMCEEへタブレットPC60台、豊島区立千川中学校へタブレットPC40台の寄贈。実証研究に際してのテクニカルサポートの提供。

◆豊島区立千川中学校
 実証研究への教職員の参加・協力、教育委員会や学校が実施する教職員研修との連携、実証研究に伴うICT環境の整備。
《石井栄子》

石井栄子

子育てから、健康、食、教育、留学、政治まで幅広いジャンルで執筆・編集活動を行うフリーライター兼編集者。趣味は登山とヒップホップダンス、英語の勉強。「いつか英語がペラペラに!」を夢に、オンライン英会話で細々と勉強を続けている。最近編集を手掛けた本:『10歳からの図解でわかるSDGs「17の目標」と「自分にできること」』(平本督太郎著 メイツ出版)、『10代から知っておきたいメンタルケア しんどい時の自分の守り方』(増田史著 ナツメ社)『13歳からの著作権 正しく使う・作る・発信するための 「権利」とのつきあい方がわかる本』(久保田裕監修 メイツ出版)ほか多数

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