塾・予備校、2.6%増収で倒産は20件にとどまる…帝国データバンク

 帝国データバンクは3月22日、学習塾・予備校の主要110社の経営実態調査結果を発表した。同調査は、2012年2月時点の企業概要データベースから、2010年度の収入高が判明した学習塾等110社を対象に、収入高総額推移、収入高前期比較、損益状況等を分析したもの。

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収入高総額の推移
  • 収入高総額の推移
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 帝国データバンクは3月22日、学習塾・予備校の主要110社の経営実態調査結果を発表した。

 同調査は、2012年2月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(141万社収録)から、2010年度(2010年4月期~2011年3月期)の収入高が判明した学習塾・予備校110社(収入高10億円以上、通信教育、語学・資格教育を除く)を対象に、収入高総額推移、収入高前期比較、損益状況、地域別、収入高上位20社、倒産動向を分析したもの。前回調査は2010年3月に実施している。

 主要110社のうち、2008~2010年度収入高の比較が可能な102社の2010年度収入高総額は5,644億2,900万円で、前年度の5,499億6,400万円と比べ2.6%増となった。2009年度から新学習指導要領が段階的に実施され、学習量の増加が進んだことが収入増に影響したと考えられるとしている。

 2010年度の「増収」企業は57社(構成比55.9%)となり、「2期連続増収」企業は36社(同35.3%)となった。一方、「減収」企業は36社(同35.3%)で、このうち「2期連続減収」は25社(同24.5%)。

 2010年度の損益が判明した88社のうち、「2期連続黒字」企業は71社(構成比80.7%)で、収入高だけでなく収益状況も堅調な企業が多いようだ。反対に「赤字」企業は13社(同14.8%)となっている。

 主要110社を地域別でみると、「関東」が55社(構成比50.0%)、3,075億7,200万円(同51.0%)で、社数・収入高ともにトップとなった。これは全国展開している大手企業の本店所在地が「関東」に集中していることが考えられる。次いで、「近畿」が22社(構成比20.0%)、「中部」が13社(同11.8%)、「九州」が8社(同7.3%)と続いている。

 収入高上位20社の2010年度収入高合計は3,330億2,300万円で、主要110社の収入高合計の半分以上を占めていることになる。

 また、2010年度増収企業数(10社)が2009年度(7社)よりも増加し業績回復が目立つ一方、2期連続減収企業(7社)もあり、難関校向けカリキュラムの拡大や個別指導への積極的な取り組みなどにより明暗が別れたと、帝国データバンクでは分析している。

 2010年度の収入高1位は、河合塾で471億2,000万円。2位は、公文式で知られる「KUMON」の日本公文教育研究会で420億8,900万円。3位は、東証2部上場で「栄光ゼミナール」の栄光で299億7,200万円。4位は、JASDAQ上場で「東進ハイスクール」のナガセで210億2,500万円。5位は、「市進学院」の市進で160億9,100万円となった。

 2011年の学習塾・予備校の倒産は、前年比44.4%減の20件にとどまった。負債総額も7億5,700万円と、過去5年で最小であった。1社あたりの平均負債額は約3,800万円で、大手との競合等により、小規模業者が淘汰されたとしている。

 帝国データバンクでは今回の調査結果について、学習塾・予備校業界は、少子化問題に加え、不景気による通塾開始時期の遅れ、「大学全入時代」による学習塾離れ、大手塾の低価格化などにより、大半の小規模業者は厳しい経営環境を強いられている。このような状況の中、各社ともに新たな顧客層の獲得に向け、対象生徒の年齢層拡大、個別指導の導入、語学学校などの他の教育関連企業との業務提携等、サービスや品質の向上による生徒の囲い込みが強まり、小規模業者の淘汰が進むことが見込まれるとまとめている。
《前田 有香》

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