不登校防止には魅力的な学校づくりが大切…国立教育政策研究所が調査

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中1不登校生の小学校時の欠席状況
  • 中1不登校生の小学校時の欠席状況
  • 小学校時の状況別、欠席日数30 日以上の生徒の割合の推移
  • 不登校に取り組む際の3つのステップとその流れ
 国立教育政策研究所は6月19日、「不登校・長期欠席を減らそうとしている教育委員会に役立つ施策に関するQ&A」を公開した。

 本冊子は、Part1とPart2の2部構成になっている。Part1では、教育委員会として各学校にどのような取組みを求めていく必要があるのかを「初期対応」と「未然防止」というキーワードで解説し、Part2では、その「初期対応」や「未然防止」を行う際に注意すべきことを解説している。

 同研究所は、本冊子の作成にあたり、平成23年2月から12月にかけて、各地の教育委員会や小中学校を訪問し、生徒指導に関する国や都道府県の施策がどのように役立っているのか、インタビュー調査を行った。

 不登校を減らすには、これまでの不登校児童生徒を対象としたケアの施策とは切り離した、「新たな不登校を生まない」施策を考えていく必要がある。それは、大きく分けると「未然防止」と「初期対応」に分けられる。

 未然防止として、「魅力的な学校づくり」を進めるということが大切という。魅力ある学校づくりとは、「学級や学校をどの児童生徒にも落ち着ける場所にしていくこと」と「日々の授業や行事等において、すべての児童生徒が活躍できる場面を実現すること」の2つであるという。

 また、対人関係と学習面の改善が提案されており、対人関係についての苦手意識が強い生徒には、同級生との関わりの方が負担になることが少なくないため、学級という単位にこだわることなく、異学年交流の機会や、小学生との交流、職場体験活動などをうまく利用すべきである。学習面の改善には、「分かる授業」を実施したり、補充指導の充実を図ったりするなど、きめ細かな指導を推進していくことが重要であるとしている。

 初期対応として、前年度に不登校・長期欠席(30日以上の欠席)があった児童生徒の場合には、今年度も休む可能性は高いと考えられるため、休み始めたらすぐに対応を開始すべきだという。欠席数だけでなく、遅刻や早退の数や、教室に入れずに保健室登校したなどの数も考慮し、「不登校経験あり」群や「不登校経験なし」群のように分類する。「経験あり」群に分類された児童生徒については、1日か2日休んだだけでも教職員が対応できるように準備をするといった取組みだ。

 小学校時の欠席日数30日以上の生徒の割合の推移グラフを見ると、「経験あり」群の場合には中1の7月までに欠席日数が30日を超える生徒が50%を占めているのに対し、「経験なし」群の場合には10%に満たない。しかも、この傾向は、不登校になった「きっかけ」や「継続している理由」とは関係がない。「経験あり」群に対する初期対応を取り組むよう勧めているのは、こうした結果を踏まえてのことであるという。

 上記の「未然防止」「初期対応」を行ってもなお、欠席が30日を超える児童生徒はいる。その先は、彼らが学校復帰・社会復帰できるよう、事後の対応やケアで「自立支援」を行うことになる。

 大切なことは、「未然防止」「初期対応」「自立支援」の順番を間違えないことだという。ややもすれば学校は目の前で起きている問題への対応に目を奪われ、事後対応(自立支援)中心の取組みに陥りがちだ。だからこそ、教育委員会には、各学校に対して、まずは「1.未然防止」、ついで「2.初期対応」、そして「3.自立支援」の順に取り組むべきであることをはっきりと伝え、そうした取組みの着実な実施を促すことが求められる。
《工藤めぐみ》

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