【e絵本】これぞ鳶職人の目線「鳶目線~天空のファインダー~」

 今回ご紹介するのは、iPhone/iPad対応アプリ「鳶目線~天空のファインダー~」。プライマル・スウィッチより、170円にて配信中。

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鳶目線~天空のファインダー~
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 建設現場の高所で働く「鳶職人」。彼らが毎日何を見ているのか、ちょっとのぞいてみたくはないだろうか?

 今回ご紹介するのは、iPhone/iPad/Android対応アプリ「鳶目線~天空のファインダー~」。プライマル・スウィッチより、170円にて配信中。

 現役の鳶職人・多湖弘明氏が、日々の作業の合間に撮りためた写真の数々に、文章をつけた作品だ。多湖氏は東京スカイツリー建設に携わるため、2003年に上京。昨年3月の東日本大震災に、地上400メートルの作業現場で遭遇した経験をも持つ。

 アプリでは、建設中の鉄骨をさらしたスカイツリーと、そこから眺める東京の姿が。高層ビルのガラス越しに見るのとはまったく違う、張りつめた“宙空”での作業…。8キロにもなるという工具を腰に下げ、いとも軽々と現場をとびまわる写真の中の職人たちが、頼もしく映る。

 筆者にとってもっとも印象的だったのは、エピローグで多湖氏が語るエピソードだ。かつて同じ現場で働いた仲間の、至近距離での壮絶な事故死。華々しい写真の数々を見た後だからこそ、読者にはショッキングである。

 しかし、常にそれを心の隅に持ち続けることが、多湖氏が写真を撮り続ける根っこになっているように感じる。安全を第一に考え、鳶の仕事を世に知らせ、黙々と街を作り続ける…。ものを作る、人間の出発点とも言える姿が、彼を通して見えるようだ。

 ビルやタワーという、無機質にも思える建造物だって、一人一人の人間の手から生み出される。そんな感覚を、天空のファインダーを通して感じ取ってみるのも悪くない。
《てらしまちはる》

てらしまちはる

ワークショッププランナー/コラムニスト/絵本ワークショップ研究者。東京学芸大学個人研究員。2022年3月に単行本『非認知能力をはぐくむ絵本ガイド180』(秀和システム)を刊行。絵本とワークショップをライフワークとしている。アトリエ游主宰。

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