新学習指導要領の全面実施で9割の教員が「多忙化の加速を感じる」

 新学習指導要領の全面実施により、「教員の多忙化の加速」を課題と感じている教員が9割に上ることが、ベネッセ教育研究開発センターの「中学校の学習指導に関する実態調査報告書2012」から明らかになった。

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  • 日々の指導の中で感じること(理科教員)
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 新学習指導要領の全面実施により、「教員の多忙化の加速」を課題と感じている教員が9割に上ることが、ベネッセ教育研究開発センターの「中学校の学習指導に関する実態調査報告書2012」から明らかになった。

 2012年4~7月、全国の国公私立中学校の主幹教諭・教務主任(3,483名)、理科教員(8,676名)、社会科教員(4,475名)を対象にアンケート調査を実施した。調査は毎年行っており、報告書には経年比較の結果も掲載している。

 新学習指導要領が完全実施された今年度、もっとも顕著な変化が見られたのは公立校の年間授業時数だった。新教育課程への移行期間だった昨年度は、旧標準授業時数(980時間)を順守した学校が6割あり、残りの学校は新標準授業時数(1015時間)または多少プラスする形で行っていた。すべての中学校が新標準授業時数へ移行した今年度は、「1015時間」とした公立校は8割で、残りの2割は新標準授業時数よりも多く授業を実施していた。私立校は、公立校に比べて年間授業時数が多く、昨年度の調査でも「1121時間以上」の学校が5割、今年度はさらに6割に増加していた。

  新学習指導要領の全面実施に伴う課題では、「教員の多忙化の加速」という回答がもっとも多く、「とても課題と感じる」が54.9%、「やや課題と感じる」も含めると90.3%を占めた。次に、「授業時数の確保」「人員の不足」「担当教科による教員間の負担のアンバランス」と、教員の負担に関する項目が続き、いずれも「とても課題と感じる」「やや課題と感じる」を含めて8割以上が課題と認識していた。

 生徒指導上の課題では、「学習意欲の向上や学習習慣の確立」が82.2%、「生徒間の学力格差の拡大」が78.5%、「授業についていけない生徒の増加」が73.6%あり、昨年度の調査より課題認識が高まる傾向にあった。教師の指導面についても、「各教科における言語活動の充実方法」80.6%、「新しい学力観に対応した評価のあり方」71.2%などが指摘された。

 また、「指導の準備にかけられる時間が足りない」と感じている割合は、理科教員が89.7%、社会科教員が88.8%と高く、2008年度からほとんど変化がないまま、依然として高い傾向が続いていた。
《奥山直美》

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