顧客満足度で決定する「イード・アワード2013 英語教材」のスピーキング部門において、「スピークナチュラル」が留学経験者の満足度No.1を受賞した。教材の特徴、留学経験者の満足度が高い理由、教材の今後の展開などについて、教材開発に携わったIseaU株式会社(アイ・シー・ユー)の代表取締役岩崎貴之氏に聞いた。--このたびはご受賞おめでとうございます。受賞の感想をお聞かせください。 2011年7月に「スピークナチュラル」をリリースして2年足らずでこのような賞をいただけたのは大変光栄に思っています。とくに、「話すこと」に力をいれて開発してきましたので、スピーキングの部門で賞を貰えたことはとても嬉しいですし、やはりこの学習方法は間違っていなかったと納得できました。これからもさらに皆さんに満足してもらえるよう、改良を進めていきたいです。--開発のきっかけについて教えてください。 以前アメリカに住んでいた時のことですが、日本以外のアジア圏からの留学生はそれなりに英語を話せる人が多かったのに対して、日本人留学生はほとんど話せない人が多かったという印象を受けました。 帰国後には、大阪大学のある教授が日本に来る外国人は半年もすれば流暢に日本語を話すようになるのに、日本人は英語を学習して半年経っても1年経っても話せるようにならない。この違いは「なぜなんだろう」「日本人にあった学習方法はないだろうか」と提案されたのが教材開発の最初のきっかけです。 帰国後自分で英語教室を開き、さまざまな教育メソッドを試しました。ある程度の成果も出せたのですが、言語学習について理論的な裏付けがほしいと考えるようになりました。そんなとき、「英単語が面白いほど記憶できる法」などのベストセラーで知られている池田先生と出会い、日本にいながらにして6か月で英語で会話できるようになるメソッドを商品化することに至りました。池田先生の2年間の研究の成果が「スピークナチュラル」の原案になっています。--教材の概要を教えていただけますか? 「A:May I help you?」「B:I'd like to buy a coat.」といった、一対の最小単位の会話(マイクロ会話)を口から自然に出るようになるまで徹底的に学習するということがあります。マイクロ会話は、「初対面の挨拶」「海外で買い物をするとき」「海外で食事をするとき」など、4つのトピックごとに40前後用意しており、それらを完全にマスターすれば、組み合わせを変えることによって、さまざまな会話に対応できるようになります。--教材を拝見すると、とても簡単なフレーズばかりで、簡単すぎるような印象を受けます。 確かに、簡単すぎると感じる方もいらっしゃると思います。ただ、そのような方々が実際にその簡単なフレーズを会話の中で使えるかというと案外使えないものなのです。TOEICのスコアが800点以上ある人でも会話ができないというケースはめずらしくありません。 実は、難しい言葉やフレーズをたくさん覚えても脳が瞬時にそれを検索して引き出すことができなければ話すことはできません。「スピークナチュラル」では、シンプルなマイクロ会話を徹底的に繰り返すことで、瞬時に脳が適切なフレーズを選択し、自然に英語出てくるようトレーニングする教材なのです。--教材セットの内容はどのようなものですか。教材を使った勉強法についてもお聞かせください。 教材は、テキスト1冊、インプット練習用のCD6枚、パターン演習用CD4枚、テスト用CDが4枚です。勉強法は、(1)マイクロ会話をインプットする、(2)マイクロ会話を日本語の音声で聞いて、瞬時に英語に言い換える(=瞬間通訳練習)、(3)マイクロ会話の英語の音声を聞いてそれに英語で答える(=バーチャル会話練習)というサイクルを繰り返します。週1回のテストも含め、1日30分、約1か月半で、1つのトピックが終了するように構成されています。6か月で4つのトピックが終了する計算です。--特徴はどのようなところでしょうか。 主だったものだけ紹介すると、1つ目は、話すことに特化していることです。言い換えると、文法的な要素はほとんどありません。2つ目は、ユーザーの母国語である日本語でまず考え、それを英語に言い換えるという学習方法をベースにしていること。これに慣れると、言いたいことが瞬時に英語で出てくるようになります。3つ目は、7語以下のごくシンプルなフレーズのみを収録していること。実際の会話でも、7語以上の長い文を話すことはめったにありません。むやみに長い英文をネイティブ並みに話そうとしていたのではいつまでたっても話せるようになりません。4つ目は、スロースピードの英語の音声を収録していることです。単語と単語の間には、一定秒数のポーズをおいていますが、それは脳が耳から聴いた音声を記憶するのに一番よい間隔なのです。スローで聞き取りやすい音声を正確にマネをすることで、発音もよくなります。5つ目は、日本語の音声も英語の音声も、同じ話者が読んでいることです。よく、日本語は日本人が、英語はネイティブが読む教材がありますが、同じ人が日本語から英語に言い換えることで、自分も日本語を英語に言い換えることができると脳が錯覚し、使える会話として記憶されるのです。--留学生にとくに評価が高いのはなぜだと思いますか。 英語が使えるようになることを一番の目標としていますから、トピックやマイクロ会話は海外に行くとすぐに使えるような内容を厳選しています。ですから、留学先ですぐに役立ったとおっしゃる方は多いのではないでしょうか。 また、留学先で伝わらなかった英語、すなわち今まで学習してきた英語ではなく、留学経験者がより効果的な学習教材を選ぶ上で「スピークナチュラル」が理にかなっていると実感していただけたのではないでしょうか、--スピークナチュラルでネイティブなみに話せるようになるのでしょうか。 1人で海外旅行をしたり、留学したその日からある程度生活に困らないだけの会話力は確実に身につくと思います。その一方で、これだけで、ネイティブなみにというのは難しいでしょう。 日常会話に必要な単語数は数万、大学受験レベルでも1万語は覚える必要があると言われています。それだけの単語をこの教材だけで吸収することは難しいですし、この教材の目的でもありません。「スピークナチュラル」は、シンプルで適切なフレーズを瞬時に出せるようトレーニングする教材であり、単語は自分で語彙を増やしていく必要があります。ただ、新たに覚えた単語をすでに学んだフレーズの中に入れることで会話が広がっていきますので、この教材で学習できる内容は有意義なものでしょう。--今後予定されている新サービスや企画がありましたら教えてください。 現在教材を利用していただいている方々から、親が学習する姿を横で見ていた子どもが親よりも上手になったという声をよくいただいています。しかし、子どもには子どもにあったトピックがあると思いますので、同じメソッドを用いて、子ども向けの教材の開発を検討しているところです。--ありがとうございました。 スピークナチュラルは、米国滞在時に岩崎氏が問題視した日本人の英会話能力の低さを学術的理論に基づいたメソッドにおいて改善を図る教材。受験英語だけでなく、TOEFLやTOEICまでもが英語のインプット(読解力・リスニング)能力のみを評価基準とする中、スピーキング(アウトプット)に特化した教材は特徴的だ。 幅広いフレーズをインプットすれば、単語の差し替えで多くの会話は成り立つ。あくまでも会話のための基礎をつくる教材「スピークナチュラル」は、今までの教材では覚えられなかった会話のフレーズが覚えられたり、フレーズが自然に口からでることを特徴としている。今後は、子どもを対象とした教材だけでなく、多言語への応用にも期待したい。◆イード・アワード2012 英語教材 >>> http://resemom.jp/feature/english_teaching_material-award2013/《聞き手:湯浅 大資》