下村博文文部科学大臣は10月29日の定例記者会見で留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」、財務省の教職員定数削減について発言。小中学校の教員定数削減案は「木を見て森を見ず」、未来への先行投資に対する国家ビジョンや理念が欠けていると批判した。◆10月29日のテーマ 留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」(0:09~) 教職員定数削減発言に「国家ビジョンや理念がない」と批判(2:43~)※()内に動画の再生時間を記した・留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」 日本人の海外留学を2020年までに倍増することを目指し、多くの若者が海外留学への関心を高めることができるよう、留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」を展開すると発表。 社会・経済・文化とあらゆる分野でグローバル化が急速に進む今日、教育を含め社会全体が改革を進める必要があり、また日本の在り方を大胆に変革するチャンスでもあると発言。文部科学省としては日本人の海外留学を2020年までに倍増することを目指し、留学経費の負担軽減や、大学や高校等の体制整備、外国語教育強化のための施策を推進するとした。 多くの若者が海外留学への関心を高めることができるよう、留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」を展開、11月4日に羽田空港国際線ターミナルにおいてTAKE OFFイベントを行うこととしている。社会全体での取り組みを行いたいとの思いから、来年度留学生概算要求は3倍近くの要求をしているが、広く民間からもファンドを募り、できるだけ多くの日本人の高校・大学生に海外に留学するチャンスを提供していきたいとコメント。・教職員定数削減発言に「国家ビジョンや理念がない」と批判 財務省が発言した小中学校の教員定数削減について、「目先の財政的な議論のみをし、この国が将来どうすればいいかという国家ビジョンや理念がない中での議論をしているとしか思えない」と激しく批判。 財務省は、10月28日に行われた財政制度等審議会で小中学校の教職員定数について今後7年間で1万4千人減らすべきだとする主張をした。しかし学校現場は今まで以上に複雑化し、また多様化・高度化する中、さまざまな教育課題があり、これに対してさらに質の高い教育を実現するためには教職員定数増の改善が必要だという。 日本の教員1人あたりの児童・生徒数はOECD諸国よりも多いというのが客観的事実だとした上で、教員の削減ではなく、少子化によって生じる教育予算の自然減を教育環境の充実に充てることが経済成長を資するためにも必要不可欠だという見解を示した。 2014年度概算要求においては少人数教育の推進のほか、小学校の理科・英語やいじめ問題への対応、特別支援教育の充実など個別の教育課題に対して的確に対応することが求められていることを踏まえ、またさらに主幹教員の配置促進など学校力の向上を目指して、合計3,800人の定数改善を要求している。国家観に立った「これからの日本をどうするか」という視点から財務省には十分な理解をしてもらう必要があると述べた。