肉眼でもチャンスあり…人気理科講師 辻先生に聞く「アイソン彗星」観察のポイント

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辻義夫先生
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  • 近日点通過前後のアイソン彗星の軌道と位置(国立天文台・天文情報センター)
 今世紀最大の天文ショーと言われる「アイソン彗星」の見頃が近づき、期待が高まる。「アイソン彗星」とは何なのか? いつ・どのようにすれば見られるのか? 中学受験 個別指導教室「SS-1」副代表で、理科を担当する辻義夫先生に聞いた。

--「彗星」とは、「アイソン彗星」とはどういうものでしょうか。

 太陽系の外側には「カイパーベルト」とよばれる塵や氷の集まったところがあり、さらにその外側には「オールトの雲」という、やはり塵や氷の集まったところがあります。その塵や氷が、惑星の引力の影響などを受けて軌道を変え、太陽(地球)に近づいてくるものを彗星といいます。

 彗星には楕円軌道を描いて周期的に近づいてくるものと、1回だけ近づいてくるものがありますが、アイソン彗星は太陽系で太陽からもっとも遠くにある「オールトの雲」を起源とするものと考えられており、太陽に接近するのは今回の1回だけです。アイソン彗星のように、太陽すれすれまで近づくものを(近日点では太陽表面から約120万km、太陽の直径は約140万km)「サングレーザー(Sun Grazer)」といいます。

--アイソンの名前の由来は何でしょうか。

 発見者であるヴィタリー・ネフスキーとアルチョム・ノヴィチョノクが所属するチーム「国際科学工学ネットワーク」(Internathional Scientific Optical Network)の頭文字がその名前の由来です。

--今回を逃すと見ることはできないのでしょうか。

 アイソン彗星が発見されたのは2012年です。当初は周期的に近づいてくる彗星かと期待されましたが、観測を続けるうちに、1回だけ太陽に近づく彗星だということがわかってきました。つまり、今後軌道が変わらなければ、今回が最初で最後の接近ということになります。

--いつごろ見られるのでしょうか。

 11月後半からは双眼鏡で見つけられる程度になり、肉眼で見られるほど明るくなる可能性もあります。どんどん太陽に近づいていくので、見える時刻と方角は明け方、東の空です。

 アイソン彗星がもっとも太陽に近づくのは11月29日ですが、この前後数日は太陽と近すぎ、また地平線すれすれになるので、観測には適しません。

--特に条件の良いのはどの時期ですか。

 双眼鏡なら11月17日~19日、乙女座のスピカに近づいて見えます。スピカを目印に探すと良さそうです。肉眼で観測したいなら20日を過ぎてからです。

--肉眼でも見られるチャンスがあるのですか。

 11月24日前後は、明るさ(等級)がマイナスになる可能性があり、チャンスです。また近日点を過ぎ、12月に入るとまた観測しやすくなると予想されています。

 近日点を過ぎてからのほうが尾も長くなるようなので、肉眼での観測のチャンスです。

 ただし、近日点を通過するときには、彗星そのものが蒸発してしまう可能性があります。11月中、近日点通過前に一度は観測しておいたほうがいいかもしれません。地球にもっとも近づくのは12月27日ですが、近日点通過直後ほどの明るさはないでしょう。

--時間帯や方角、観察のポイントを教えてください。

 全般的に時間帯は夜明け頃、方角は東です。太陽に近づいているので、太陽に近い方角です。12月下旬には、日の入り後の西の空でも観測できるようになります。

--観測の注意点を教えてください。

 早朝だと寒さの対策をすること、地平線近くの観測になるので、観測する方角の開けた場所で観測すること、そして双眼鏡や望遠鏡を使う場合は、太陽の出ている時間帯は使わないことです。

--中学入試で、彗星に関する問題が出題されあることがありますか。

 彗星に限らず、このような「天体ショー」は、入試問題で取り扱われることが多いです。ただし、上位校以外では彗星に関しては一般的な知識を問うのみで、他の問題はそれをきっかけとした「普通の天体の問題」となっていることが多く、彗星はあくまでも「話題提起」でしかないことがほとんどです。

 一方上位校、難関校では、実際に彗星の動きや見え方を立体的に考えさせたり、計算させたりといった問題が出題されます。知識がなくても、問題文を読んで理解し、論理的に考えることができれば、正解できるというタイプの出題です。このような出題を好んで行うのが麻布中学校や灘中学校です。

--ありがとうございました。

 国立天文台のWebサイトでは、「アイソン彗星」特集を設置し、各種情報を提供している。また、日本天文協議会では観察した場所や彗星が見えたかどうかをWebから報告する「アイソン彗星をみつけようキャンペーン」を実施中だ。
《田村麻里子》

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