東京都八王子市は、市内の企業に就職した学生らの奨学金返済を支援する制度を新設し、平成27年度から運用を開始する。若者の正規雇用促進や定住化を目指し、奨学金返済の支援金として年額5万円を100人に支給する。 新設するのは「若者雇用促進・奨学金返済アシスト制度」。対象は、市内に住民票があり、市内在住または市内の大学などに在学、日本学生支援機構か自治体の奨学金を利用している者。さらに八王子市が新卒向けに開設した求人情報サイト「はちおうじ就職ナビ」の登録企業(現在約130社)に就職したか、市内で起業したことも条件となる。 平成26年度から周知徹底に着手し、平成27年度から新制度をスタート。年間100人を対象とし、1人年額5万円を奨学金支援金として支給する。支給期間の上限は2年間、計10万円となる。 同市によると、周辺自治体を含め、市内や近郊には23の大学や短大などがあり、約11万人の学生が在籍しているが、そのうち市内の企業に就職する学生はわずか1%。企業側の新卒採用ニーズはあるものの、学生が市内の企業について知る機会が少なく、就職や定住にうまく結びついていない実態にあるという。 自治体が奨学金の返還額の一部を補助する制度としては、このほか香川県や兵庫県加西市でも、就職や移住を条件に導入している。奨学金の返済滞納が社会問題化する中、自治体独自の新しい取組みとなりつつあるようだ。