2.実質無試験化している大学の入試には「達成度テスト(基礎レベル)」を、知識偏重の大学の入試には「丁寧な選抜」を 議論の最後の方で、金子元久委員が発言されたことを元に、ポイントとして表現してみました。皆さんも、報道を見ただけで脊髄反射で感じたことを元に、自分の意見をもつ際に、一度整理してほしい重要な点です。 面接に傾斜した報道に「今でも推薦やAOは面接中心で、結果、学力が不足している生徒を合格させている、それなのに面接重視?」という意見をもたれる方もいらっしゃると思います。 これについては「いや、そういう人を合格させないために、達成度テスト(基礎レベル)を受けさせようとしている。」ということになります。 一方、「5教科の知識偏重の大学入試では、より高いレベルを目指すことのできる人物を選抜しているとは思えない。」という意見に対しては、「いや、それはわかっているので、「丁寧な選抜」(上述)を。」ということになります。 ブログ「大学入試は変わるのか?~教育再生実行会議第四次提言を受けた中教審~」において、「高校教育、大学教育がどうあるべきか、それがあって初めて大学入試のあるべき姿を考える」という順序だ、ということを書きましたが、まさにこの流れであって、・高校教育の(学力の)質の保証→達成度テスト(基礎レベル)の受験・大学教育の質の転換→丁寧な選抜での受験という流れですね。この2つを一緒にし、乱暴にまとめた、大学入試改革の報道とそれに対する意見は、あまり意味を為さないといえます。 安西祐一郎部会長の言葉を2つ補足しておきます。 「各大学がアドミッションポリシーを明確に定めたとき、それにともなって大学入試も多様化するはず、と文脈における“多様な選抜”という意味である。」 「これまでは、大学それぞれの(選抜するという)責任を、1点刻みという試験に押し付けていなかったか。」深く受け止めたい言葉ですね。