発展途上国の小学校卒業率は57%…ユニセフ「世界子ども白書2014」

 発展途上国の子どもたちが小学校を卒業できる割合は57%であることが、ユニセフが1月30日に発表した「世界子ども白書2014」より明らかになった。

教育・受験 学習
世界子ども白書2014
  • 世界子ども白書2014
  • 出産の格差
  • 教育(サマリー)
  • 教育(I~Mの国)
 発展途上国の子どもたちが小学校を卒業できる割合は57%であることが、ユニセフが1月30日に発表した「世界子ども白書2014」より明らかになった。

 同白書は、「だれもが大切な『ひとり』-格差を明らかにし子どもの権利を推進する-」をテーマに格差の詳細を明らかにし、そうした状況を改善するために、データが重要な役割を果たしているという。データは、栄養状態、健康、HIV・エイズ、教育、人口、経済、女性、子どもの保護、思春期、地域格差、家庭環境による格差など多岐にわたる。

 1989年に「子どもの権利条約」が採択されて以来、子どもたちの栄養状況が改善され、1990年時点と比較して発育阻害が37%削減された。また、後発開発途上国を含め、初等教育の就学率が向上し、1990年時点で学校に入学した子どもたちは100人中わずか53人だったが、2011年には100人中81人にまで増加しているという。

 こうした改善の一方、多くの子どもたちの権利が未だに侵害され続けており、2012年に約660万人の5歳未満の子どもたちが、多くは予防可能な原因で命を落とした。また、世界の子どもたちの15%が働かざるを得ない状況に置かれ、「経済的搾取から守られる権利」「学ぶ権利」「遊ぶ権利」が侵害されている。

 格差について、世界のもっとも貧しい国・社会層の人々が訓練を受けた専門家の助けを得て出産する確率は、もっとも豊かな国・社会層の場合に比べ2.7倍も低く、その結果、新生児や母体が出生時の合併症にかかる危険性が高くなっている。また、アフリカ中央部のチャドでは、中等教育に進学する男の子100人に対し、女の子はわずか44人に過ぎない。多くの女の子が、学校が提供する教育や、さまざまな社会的リスク(搾取)からの保護、行政サービスの恩恵を受けられないという。

 教育の表では、幼稚園や小学校の在籍率、小学校の卒業率のほか、子どもの携帯電話の所有率やインターネット利用率などについて、各国の状況が一覧表にまとめられている。小学校卒業率は、日本では100%だが、発展途上国では57%となっている。

 白書では、「データは、世界を変えることを可能にするものだ。ニーズを明らかにし、アドボカシー(政策への働きかけ)活動のツールとなり、進捗状況を測定することで、変化を創り出すことを可能にする」と述べられている。
《工藤めぐみ》

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top