受験方式の多様化など、親の時代から大きく変わってきた大学受験事情。しかし今も昔も変わらず人気の高い早慶上理、GMARCH、関関同立の難関私立14大学の高校別合格者数Top10を、今年度2014年と、親世代の受験期である30年前の1984年で比較してみよう。 早稲田大学合格者の高校では、1984年には私立が3校のみであったが、2014年には6校に増加。84年には皆無だった女子校が、14年には「女子学院」「豊島岡女子学園」と2校Top10入りしている。 慶應義塾大学は、もともと私立高校からの合格者が多かったが、84年には4校あった国立を除く公立は14年には「日比谷」と「西」の2校となっている。 2014年の早慶を見ると、共通しているのは「開成」「浅野」「日比谷」「東京学芸大学附属」の4校。早稲田では女子校2校がランクインしているのに対して、慶應は皆無となっている。【早稲田大学】・2014年1 開成(私)2 女子学院(私)2 豊島岡女子学園(私)4 日比谷(公)5 東京学芸大付(国)6 浅野(私)7 城北(私)8 市川(私)9 横浜翠嵐(公)10 千葉(公)・1984年1 桐蔭学園(私)2 川越(公)2 千葉(公)4 海城(私)5 厚木(公)6 春日部(公)6 船橋(公)8 駒場東邦(私)9 東葛飾(公)10 熊谷(公)【慶應義塾大学】・2014年1 開成(私)2 浅野(私)3 麻布(私)4 海城(私)5 聖光学院(私)6 渋谷教育学園幕張(私)6 日比谷(公)8 東京学芸大付(国)9 本郷(私)10 西(公)・1984年1 桐蔭学園(私)2 開成(私)3 東京学芸大付(国)4 桐朋(私)4 聖光学院(私)6 浦和(公)7 海城(私)7 湘南(公)9 麻布(私)10 青山(公)10 厚木(公) 私立高校からの合格者が目に見えて増加している傾向は「上智大学」「法政大学」にも見られる。特に法政では、84年には私立は「市川」のみであったが、14年には7校となっている。 関東の大学、早稲田、慶應、上智、東京理科大、明治、青山、立教、中央、法政、学習院のすべてにおいて、14年は私立高校が過半数を占めている。84年に私立高校が過半数を占めているのは慶應、理科大、立教、学習院のみであった。また、東京都渋谷区のほか神奈川県相模原市にもキャンパスのある青山学院の2014年では、Top10すべてが神奈川の高校で占められていることも特徴的だ。 大学通信 情報調査・編集部チーフの井沢秀氏は、関東の難関私大の合格者が私立高校に多い傾向について「2002年からのゆとり教育の影響で、首都圏では中学受験熱が高まり、成績上位層の多くが私立中高に進学したことから、難関大合格者には私立高出身者が多くなっている」と説明する。また、早稲田に女子校からの合格者が増えていることは「女子の総合大学志向の高まり。また、早稲田が環境整備を進めていることや、従来のバンカラなイメージが薄れていることから女子人気が高まっている」と分析する。 一方で慶應では女子校が上位に入っていないことは「文系でも数学が課される学部(方式)があるため、英語を武器に上位校を目指す女子が受けにくいこともあり、特定の女子校から多数の合格者を出すには至っていない」とした。 関西の難関私大、関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学を見ると、関東とは逆で、私立高校が同等もしくは減少していることがわかる。また、84年は関関同立のすべてでもっとも多い合格者を出していた清風が、14年では同志社の9位に入るに留まるなど、特に私立高校の顔ぶれが大きく変化している。 井沢氏は、「関西では首都圏ほど、中学受験熱は高くない。また大阪では進学指導特色校などの教育改革の成果が現れており、公立高校から難関大学への合格者が増えている。また、奈良からの合格者が増えていることは、この20年間で交通の便が良くなっていることから受験者数自体が増えている」と分析する。 ランキングデータは、大学通信の協力を得て集計した。