前回、「ペンギンのご先祖さまはニュージーランド周辺にいた」とお話ししましたが、このコガタペンギンは、主にオーストラリアやニュージーランドに生息しており、もっとも原始的な種類のペンギンと言われてます。 ペンギンは、かつては大空を飛ぶ海鳥から進化したと考えられておりまして、コガタペンギンは、海鳥だったころの「ご先祖さまの姿」に一番近いペンギンなんですな。 その後、ペンギンは水中を泳ぎやすいように進化を遂げる過程で、コウテイペンギンのように足が体の下端に向かい、結果としては陸上では「直立姿勢」ということになりはりました。 と、言うても「足が生えてる場所」が変わったわけやないんです。 ペンギンと言えば「短足」って印象ですが、実はペンギンの足は見た目より長いんです。 ペンギンは常にひざを曲げた状態、つまり人間で言えば「うさぎ跳び」、ちゅーか「うさぎ歩き」で暮らしてはるんですな。 ペンギンはいつもペタペタ歩いて、笑いを誘ってはりますが、ちーっと想像してみてください。みなさんが四六時中しゃがんだ姿勢のまま歩いてはる姿を…。 ペンギンたちは、「ペタペタ」どころか「スーパー体育会系」やと思いまへんか? つまりコウテイペンギンは、ひざを曲げる角度がコガタペンギンより深いっちゅーか、より「ガチな体育会系」と言うか…、さすが「皇帝」です。 ちなみに京都水族館にいるケープペンギンの姿勢は、コガタペンギンとコウテイペンギンの中間ぐらい。言うてみれば「通勤ラッシュの駅をうつむき加減で歩くサラリーマン? ぐらい」の猫背。 でも、そんな哀愁漂うケープペンギンの背中に、なんや知らん親近感を感じてしまうのは、私が「ちょっとくたびれた中年サラリーマン」の一人やからでっしゃろか…。<著者プロフィール>下村実1965年大阪府高槻市生まれ。幼少期から魚や水辺の生物に親しみながら育つ。大阪・海遊館の開業時から、ジンベエザメの飼育を中心に20年以上同館で勤務。2012 年の京都水族館・すみだ水族館の開業時から飼育業務全体を統括している。