ペンギンはスーパー体育会系…ペタペタ歩きに隠された秘密

京都水族館にいるケープペンギンは現在47羽。そして彼ら彼女らにはそれぞれ京都の通りからもらった名前が付いとります。たとえば「まる(丸太町通)」、「たけ(竹屋町通)」、「えびす(夷川通)」てなぐあいです。

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京都水族館のケープペンギン
  • 京都水族館のケープペンギン
  • 飼育員の下村実さん
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 前回、「ペンギンのご先祖さまはニュージーランド周辺にいた」とお話ししましたが、このコガタペンギンは、主にオーストラリアやニュージーランドに生息しており、もっとも原始的な種類のペンギンと言われてます。

 ペンギンは、かつては大空を飛ぶ海鳥から進化したと考えられておりまして、コガタペンギンは、海鳥だったころの「ご先祖さまの姿」に一番近いペンギンなんですな。

 その後、ペンギンは水中を泳ぎやすいように進化を遂げる過程で、コウテイペンギンのように足が体の下端に向かい、結果としては陸上では「直立姿勢」ということになりはりました。

 と、言うても「足が生えてる場所」が変わったわけやないんです。

 ペンギンと言えば「短足」って印象ですが、実はペンギンの足は見た目より長いんです。

 ペンギンは常にひざを曲げた状態、つまり人間で言えば「うさぎ跳び」、ちゅーか「うさぎ歩き」で暮らしてはるんですな。

 ペンギンはいつもペタペタ歩いて、笑いを誘ってはりますが、ちーっと想像してみてください。みなさんが四六時中しゃがんだ姿勢のまま歩いてはる姿を…。

 ペンギンたちは、「ペタペタ」どころか「スーパー体育会系」やと思いまへんか?

 つまりコウテイペンギンは、ひざを曲げる角度がコガタペンギンより深いっちゅーか、より「ガチな体育会系」と言うか…、さすが「皇帝」です。

 ちなみに京都水族館にいるケープペンギンの姿勢は、コガタペンギンとコウテイペンギンの中間ぐらい。言うてみれば「通勤ラッシュの駅をうつむき加減で歩くサラリーマン? ぐらい」の猫背。

 でも、そんな哀愁漂うケープペンギンの背中に、なんや知らん親近感を感じてしまうのは、私が「ちょっとくたびれた中年サラリーマン」の一人やからでっしゃろか…。

<著者プロフィール>下村実
1965年大阪府高槻市生まれ。幼少期から魚や水辺の生物に親しみながら育つ。大阪・海遊館の開業時から、ジンベエザメの飼育を中心に20年以上同館で勤務。2012 年の京都水族館・すみだ水族館の開業時から飼育業務全体を統括している。
《京都水族館》

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