【被災地で学習支援】教育ボランティアE-patchが考える民間塾との差別化

教育・受験 その他

岩手県で学習支援活動を行うE-patch
  • 岩手県で学習支援活動を行うE-patch
  • 岩手県釜石市内の建物には、どこまで津波が来たかを表示するパネルが多くみられる
  • スリーデイズ・プロジェクト。都内から来た大学生ボランティアが生徒の宿題を手伝う
  • E-patchのプログラムの一つ「スリーデイズ・プロジェクト」
  • 現在の岩手県釜石市
  • 現在の岩手県釜石市
 東日本大震災から3年半。

 被災地では震災直後から、学ぶ場を失った子どもたちのために教育ボランティアが活動してきた。岩手県陸前高田市に拠点を置く“E-patch”もその一つで、2011年11月より学習支援活動を続けてきている。

 しかし復興が進むとともに民間の塾経営が復活し、“民間の塾とどうやって差別化するか”という課題に直面したという。

 陸前高田市にて学習支援員として活動する戸羽麻美氏と、ボランティアコーディネーターとして活動する浅石裕司氏がインタビューに応じ、“無償で”学習支援を行うE-patchが、どのような考えのもとで運営しているかを語ってくれた。

◆民間ビジネスが提供できない教育とは

 支援員となり2年目の戸羽氏。活動初期から変えていった点について振り返る。

 「わたしが担当する地域はわたし自身の“母校”も含まれていて。すごく愛着がある分、最初は子どもたちに対して“かわいそう”という感情をもっており、甘やかしてしまっていたところがありました。しかし保護者の方から、きちんと勉強させてほしいという要請があり、ただ安心できる居場所では不十分なのだと認識していきました。

 さらに復興が進むとともに民間の塾も再びはじまって“民業との関わり”を意識しはじめました。民間の塾が来てくれることは復興にもつながるので、邪魔したくはなくて。だからボランティアだからこそできることを考えるようにしてきました。」

 具体的には、塾は学習範囲が厳密に指定されるのに対して、E-patchではテキストを提供せずに学校の教材をサポートする。自主性を重んじる学習スタイルに特徴がある。また都内や海外からサポーターを招くことで、さまざまな人との交流の機会をつくっている点でも異なる、という。

 またボランティアコーディネーターの浅石氏も同様に“細かな勉強の内容を伝える場”ではなく、それを超えた精神的支えの場である点を強調した。

◆具体的なスキルを民間塾にゆだねる役割分担

 「ぼくたちの役割は、元気がなくなってしまった子に、また頑張ろうと思ってもらうセーフティーネットのような機能をイメージしています。子どもたちは時に甘えたり感情を露わにできる場を欲している。これは震災直後からそばにいて率直に思うことなんです。」

 この機能を果たすために、プロジェクトの一環に緊急スクールカウンセリングを準備したり、必要な場合に福祉相談機関につなぐことができる体制をつくっているそうだ。

 「正しいかどうかはわからないけど、教育のかたちとしてこういうのがあっていいんじゃないかと思っていて。子どもたちを元気にして、勉強の意味を伝えるところがぼくらの役割。そのあと、スキルの面を民間の塾にゆだねるような役割分担ができれば」と浅石氏。

 もちろん現在のかたちが完成形というわけではなく、今後も子どもたちにとって最適なバランスで無償教育と有償教育が提供されるための協働が模索されて行くようだ。
《北原梨津子》

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