アクティブラーニングに取り組む高校7割以上、国語では実施率53.6%

 河合塾グループの日本教育研究イノベーションセンターと東京大学は12月16日、共同調査「高校におけるアクティブラーニング型授業」結果を特設サイトにて公開した。7割以上の高校で参加型学習に取り組んでいる教科があり、教科別では国語、外国語の実施率が高かった。

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ALの視点に立った参加型授業の実施率
  • ALの視点に立った参加型授業の実施率
  • 教科別の実施率
  • 教科別の実施率(取り組み状況)
  • 参加型学習に関する校内研修の実施率(都道府県別)
  • 参加型学習に関する校内研修の実施率(都道府県別)の一部
  • 「アクティブラーニング」という言葉のイメージ
  • ALの視点に立った参加型授業の実施率と悩み(学校種別)
  • ALの視点に立った参加型授業の実施率と悩み(研究・重点校指定の有無別)
 河合塾グループの日本教育研究イノベーションセンター(JCERI)と東京大学は12月16日、共同調査「高校におけるアクティブラーニング型授業」結果を特設サイトにて公開した。7割以上の高校で参加型学習に取り組んでいる教科があり、教科別では国語、外国語の実施率が高かった。

 調査ならびに特設サイトの開設は、JCERIと東京大学 大学総合教育研究センター 中原淳研究室で2015年4月に始動した「高等学校におけるアクティブラーニング型授業を推進するための高大連携プロジェクト」の一環として行われたもの。調査は2015年7月から9月にかけて実施し、全国の高等学校2,414校(回収率62%)から回答を得た。2,414校の内訳は、国立9校、都道府県立1,676校、その他公立(市立・町立・組合立)81校、私立648校。

 「教科として参加型学習に取り組んでいる教科がある」と回答した高校は75.5%。一方、学校全体として目標を掲げてる高校は22.8%、具体的な計画を策定している高校は13.4%だった。学校全体として推進する体制は整っておらず、各教科・教員が個別に取り組んでいるのが現状のようだ。

 教科別の参加型授業への実施率をみると、国語53.6%がもっとも高く、外国語51.6%、地理公民44.4%、理科43.7%、数学26.0%の順となった。いずれの教科も「独自に参加型授業に取り組んでいる教員がいる」割合が高いが、外国語はそのほかの教科に比べて「教科全体として目標を掲げている」「教科全体として具体的な計画を策定している」「実施について、教科の会議などで呼びかけを行っている」割合が高い傾向にある。ただし、各教科の特性等により、あてはまりやすさには違いがあり、一概に改善が進んでいると示すものではないとしている。

 参加型学習に関する校内研修の実施率を都道府県別にみると、群馬県77.1%、広島県66.2%、石川県56.0%が上位となった。東京都は39.3%、神奈川県は44.2%、大阪府は30.6%だった。

 「アクティブラーニング」という言葉のイメージを聞くと、学校代表者の68.0%、教科主任の54.9%が「生徒の力の向上に効果的な学習」と回答。このほかでは、学校代表者は「積極的に取り組むべき学習」「以前から取り上げてきた学習」というイメージが多く、教科主任は「積極的に取り組むべき学習」「教員の時間的な負担が増えそう」というイメージが多かった。

 学校種別の「教科として参加型学習に取り組んでいる教科がある」と回答した割合をみると、国立100%、その他公立79.7%、都道府県立76.2%、私立72.6%だった。参加型学習に関する校内研修の実施率でも、国立55.6%、その他公立40.5%、都道府県立29.3%、私立27.4%の順となった。また、実施上の困難や課題、不安について聞くと、都道府県立や私立では「私語が増える」「集中力が下がる」「なじめない生徒がいる」という回答が相対的に多かったという。

 また、文部科学省などから研究指定や重点校の指定を受けている高校(校内研修実施率47.5%)では、「予算が足りない」「施設・設備が足りない」といった悩みを抱える傾向にあり、指定を受けていない学校(校内研修実施率25.2%)では「私語が増える」「集中力が下がる」「なじめない生徒がいる」「教員が必要性を感じていない」などの悩みを抱える傾向にあった。

 調査結果の詳細は、特設Webサイト「未来を育てるマナビラボ:ひとはもともとアクティブ・ラーナー!」から閲覧できる。高校の先生はもちろん、高校生、高校の授業に関心をもつ多くの人に「マナビラボ」を見てほしいとしており、今後さまざまな記事・コンテンツを執筆していくという。なお、今回の調査は速報値としてとりまとめたもので、分析が進み次第、順次結果を公開。2017年には研究専門書としてまとめる予定となっている。

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調査結果の出典:木村充、山辺恵理子、中原淳(2015). 東京大学-日本教育研究イノベーションセンター共同調査研究
高等学校におけるアクティブラーニングの視点に立った参加型授業に関する実態調査 2015:第一次報告書
《黄金崎綾乃》

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