◆“施設一体型”の春日学園の試み このほか、市原氏は施設一体型の学園として、2012年に開校したつくば市立「春日学園義務教育学校」を紹介。春日学園はつくば市では唯一となる施設一体型の小中一貫校で、生徒数は1,800名というマンモス校ながら、不登校者数は0であるという。 また、中学3年生にあたる同校の9年生での成績を国語・数学の2教科で全国の学校と比較したところ、全国1位の県より高い成績となったことを市原氏はあげた。特に、応用問題に強い傾向があり、この理由のひとつとして「ICTを活用した協働学習のアクティブ・ラーニングや、家庭でも学習できるオンラインスタディの活用の効果が大きい」と語った。 40年間におけるICT教育の効果の例を紹介しつつ、同時に「ICTはあくまでツール。使い方次第で、無限の可能性を秘めている」と氏は話す。そのためには情報モラルを確立する必要性と、行政と教育委員会、そして学校どうしの連携が重要だと語った。 「世界にはばたくために、これからは学力だけでなく人材の育成としてもICTは大きな力になる」と、市原氏は結んだ。 つくば市では、2015年に開催した「つくば市全国ICT教育首長協議会」をはじめ、ICT推進のために全国に向けたイベントを行っている。学力の向上だけでなく、生徒の学習への意欲向上、不登校問題の解決といった効果が期待されるつくば市のICT教育は、今後日本が向かうICT教育へのひとつの指針となっていくことが期待される。