【高校受験2017】都立高校入試、学力検査のグループ問題見直しへ

 東京都教育委員会は7月28日、「平成29年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書」を公表した。平成28年度入試の結果をもとに平成29年度入試以降の改善策を示しており、学力検査のグループ作成問題の見直しなどが盛り込まれている。

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推薦に基づく選抜に関する高等学校長アンケート
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 東京都教育委員会は7月28日、「平成29年度東京都立高等学校入学者選抜検討委員会報告書」を公表した。平成28年度入試の結果をもとに平成29年度入試以降の改善策を示しており、学力検査のグループ作成問題の見直しなどが盛り込まれている。

 検討委員会は、平成28年度入試の検証を通じて入試方法の成果と課題を明らかにし、平成29年度以降の改善策を検討することを目的として、5月から計5回にわたり審議を重ねてきた。報告書では「推薦に基づく選抜の改善」「学力検査に基づく選抜の改善」「その他の制度」の3項目について検証結果と改善策を取りまとめている。

 具体的に、「推薦に基づく選抜の改善」については、平成25年度入試の改善から4年が経過したことで推薦に基づく選抜の目的が周知され、中学校での授業改善や生徒の姿勢に良い変化を与えていると評価。高校には、引き続き自校の特色に合致した受検者をより適切に選抜できるよう、各検査のテーマ設定や内容について一層の工夫と改善を図るよう示唆した。

 「学力検査に基づく選抜の改善」については、平成28年度入試から選抜方法の共通化・簡素化を図ったことを検証し、制度変更により実技教科については生徒の学習に取り組む姿勢に加えて、教員の評価に対する意識にも変化が表れたとした。全体的な応募状況については、制度変更による大きな影響は見られなかったが、選抜方法が統一化されたことで中学生が高校の特色で志望先を選ぶようになり、一部商業科などで志望倍率に影響が表れた学科も見られた。

 検討委員会では、改善した選抜方法はおおむね適切と判断。さらなる改善点として、高校が面接や作文などの検査を実施できるだけの時間を確保できるよう、採点について一層の効率化を進める必要があると示した。

 また、平成26年度入試から導入した「学力検査問題のグループ作成」については、期待された「中学生の志望校の選択幅拡大」に寄与していないこと、グループによっては学校の特色や求める生徒に合わせて問題の差し替えを行わざるを得ない状況になっていることなど課題が浮き彫りとなったことから、見直しを行うことを決定。具体的に、進学指導重点校グループおよび進学重視型単位制高校グループは、従来の自校作成の形に戻し各学校が求める生徒を選抜できる検査問題を作成するよう改善を図る。ただし、中学生に対する周知期間を確保するため、実施形態の変更については平成30年度入試からとしている。

 今回の報告書を踏まえ、9月には平成29年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目で詳細を定める予定。平成28年度入試は、推薦に基づく選抜、学力検査に基づく選抜の双方が改善後初めて同時に実施された年であることから、平成29年度入試以降もこれらの選抜方法を継続する中で、入学した生徒の実態を把握しつつ改善を重ねていくことが重要であるとした。
《畑山望》

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