中高時代の運動習慣、抑うつやストレス緩和に有効

 明治安田厚生事業団体力医学研究所は、「中学・高校時代に運動やスポーツを続ける習慣は抑うつや疲労感、ストレスの緩和に有効」とする文献研究の成果を発表した。運動部やスポーツクラブでの継続的な活動は、青年期のメンタルヘルスの改善や維持に大きく役立つという。

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 明治安田厚生事業団体力医学研究所は、「中学・高校時代に運動やスポーツを続ける習慣は抑うつや疲労感、ストレスの緩和に有効」とする文献研究の成果を発表した。運動部やスポーツクラブでの継続的な活動は、青年期のメンタルヘルスの改善や維持に大きく役立つという。

 明治安田厚生事業団体力医学研究所は、1962年6月設立。運動とメンタルヘルスに関する研究活動、最新知見の普及啓発などを行っている。

 今回の研究結果は、明治安田厚生事業団体力医学研究所の永松俊哉所長が、国内外で近年発表された青年期のメンタルヘルスと運動・スポーツ活動の関係にまつわる論文の文献研究(レビュー)を実施し、その内容を「青年期におけるメンタルヘルスと運動・スポーツ活動の関係」と題して日本体力医学会学会誌「体力科学」に8月1日付けで公表したもの。

 論文によると、運動やスポーツのトレーニングを長期に継続すると、疲労に対する馴化(じゅんか)が生じ、身体だけでなく、精神的な疲労も感じにくくなる。運動部やスポーツクラブにおける積極的な活動を通して、ストレス対処能力の獲得や情緒の安定化が進むという。

 中学・高校時代に運動やスポーツ活動を続けることで、ライフスキル(現在の生活を管理・統制し、将来のライフイベントをうまく乗り切るために必要な能力)やストレス対処能力が向上し、抑うつ感やストレスを軽減する効果も高まり、メンタルヘルスの改善や維持につながるという。

 研究結果では、体罰やバーンアウト(情緒的消耗状態)など部活動におけるネガティブな要因、運動部やスポーツクラブに携わる教師や指導者の過重負担など、社会的な問題にも触れ、「適切な指導体制のもと安全面に留意した組織運営が行われることが肝要」と前置き。そのうえで、「青年期における積極的な運動・スポーツ活動の継続的な実施は、不安定な精神状態の健全な成熟に寄与し、メンタルヘルスの維持改善に有効な方策になりうるものと思われる」とまとめている。
《奥山直美》

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