入学金・塾代・授業料はいくら必要? 教育費ピークの乗り切り方を解説

教育・受験 中学生

ファイナンシャルプランナー 有田美津子氏
  • ファイナンシャルプランナー 有田美津子氏
  • 教育費セミナー(主催:日本政策金融公庫)
 日本政策金融公庫(共催:日本学生支援機構・日本FP協会)主催による教育費と家計に関するセミナーが1月22日に開催された。家計における教育費の考え方、やりくりのヒントに加え、奨学金、学費ローンに関する案内、相談会も開催され、多くの保護者が参加し熱心にセミナーを聞いていた。

◆ライフステージごとの三大資金を調べる

 CFP認定のファイナンシャルプランナー 有田美津子氏による「教育費に負けない貯まる家計の仕組みづくり」と題された講演では、まず「家族のライフステージごとのイベントから人生にはどんな費用があるかを把握してほしい」(有田氏)という話から始まった。

 人生のライフイベントは就職、結婚、出産、住宅取得、子どもの進学、相続、退職などが代表的なものだ。これらは「人生の三大資金」と呼ばれる住宅資金、教育資金、老後資金に直結する。最近は晩婚化が進んでいるが、多くの場合、40代が住宅ローンと子どもの入学や受験など教育費の負担の増える時期だと有田氏はいう。

 近年の傾向として、年をとれば自然に給与が上がっていくことはあまり期待できない。そのため、最初の子どもの高校入試あたりから最後の子どもの大学入学あたりまでの期間、収入より支出が上回るかどうかが家計を左右する。それまで住宅ローンでほぼいっぱいなら、教育費が増えたところで「赤字」(支出が収入を超える)になる。その場合、貯金を取り崩すことになり、貯蓄額が減少していく。老後資金の貯蓄は子育てが終わって、子どもを大学まで送り出してからということになる(有田氏)。

◆小学校から大学まですべて私立なら1人2,000万円以上

 たとえば、中学から大学卒業までの10年間で子ども1人にかかる費用は、すべて公立の場合でも510万円必要だという(文科省「子どもの学習費調査」より)。この金額は中高での納付金(入学金、授業料)、塾や制服、行事にかかる費用も含めている(大学は納付金のみ)。中学から大学まで私立理系の場合で同1,223万円、大学のみ私立(文系)の場合で654万円だと有田氏は試算する。

 この試算では、公立中学の総学習費は145万円、公立高校は123万円。私立中学は402万円、私立高校は299万円としている。小学校は公立と私立の差が大きく、公立小学校193万円に対して私立小学校は921万円かかる計算だ。もし小学校からすべて私立で通すと、ひとり2,000万円以上かかることになる。

 もちろん、入学金や授業料は学校ごとに異なる。大学は学部によっても幅がある。塾代もさまざま。部活や学校外活動も子どもや家庭によって大きく変わる。有田氏の試算では、高校受験にかかる費用(小学6年生から中学3年生まで)はおよそ183万円。高校3年間の進学塾は難関私立・国公立を目指すコースで190万円という数字もあるそうだ。

 もうひとつ注意したいのは、受験料と入学前の納付金だ。本命校が難関私立や国公立の場合、第2志望以下、複数の大学を受験することになるが、数が重なると受験料だけで4~50万円払ったという家庭も少なくないという。また、滑り止めの大学に合格している場合、入学前納付金の振込み期日が国公立の発表前に設定されていたりする。

◆教育費と家計のバランスはチェックシートを活用

 上記のような統計による概算、学校や塾のサイトを確認するなどして把握してほしいと有田氏はいう。その理由は、子ども全員の教育費がわかれば、その期間の収入・貯金での過不足がわかるからだ。

 この計算をするため、有田氏はオリジナルのチェックシートを紹介した。子どもの学年と必要な費用をリストにし、一番下の子どもの大学卒業までを一覧表とする。すると、その家庭で必要な教育費の総額がわかる。そこから、預貯金から出せる金額、生活費・ボーナスから出せる金額、可能なら子どものアルバイト代をマイナスすれば、教育費がいくら足りないのか(足りているのか)がわかる。

 教育費が足りていない場合、次に行うのは家計の把握だ。資金が足りないなら、収入を増やす、節約する、預貯金などを運用(投信など)することを考えなければならないが、セミナーでは節約方法にフォーカスして説明が続いた。

◆節約は固定費など金額の大きいものから

 節約するには、家計の収支項目を見て戦略を立てるとよい。費用の科目は細かい必要はなく、通帳の明細でわかるようなレベルでOKだ(有田氏)。家賃や住宅ローン、教育費、保険料などの「固定費」、光熱費や通信費、クレジットカードなどの「変動費」、食費、交際費、ガソリン代などの「家計費」の3つに分けられることが重要だ。

 特に「金額の大きい固定費の見直しは節約効果が高い」と有田氏はいう。住宅ローンなどは、借り替えで月々の支払いを抑えることができる場合もあるそうだ。借り替えが可能か、節約になるのかは専門家に相談する必要があるが、低金利の現在は検討の価値はある。

 変動費でも携帯電話・スマホの通信費は、利用の仕方を見直し格安スマホを利用すればかなり安くできる。私立の場合、寄付金は戻ってこないが、学校債(学債)は卒業時に戻ってくる。これを次の学校の納付金や教材費などに充てる方法もあるそうだ。

 1か月の収支を表にできたら、これにボーナス時の収支も表にする。この2つが揃うと1年分の収支を表にできる。収入と貯蓄+支出がバランスしていればいいが、そうでなければ節約する項目を考える。

 どの科目を節約するかは家庭ごとの相談となるだろうが、前述したように固定費や金額の大きいところから見直すのがセオリーだ。節約項目と金額が決まれば、次の月からは、それを目標(予算)として実践する。

 有田氏が勧める戦略は、必要な教育費を年ごとに把握し、それを家計に当てはめる。赤字になる、もしくは利用できる貯金が足りない場合、固定費を中心に家計の見直しを行うというものだ。講演で紹介したチェックシートはこれらの作業をやりやすくしてくれるものだ。

 なお、参加者に配布された講演資料には、有田氏が紹介したチェックシートの空欄のものが含まれていた。

◆足りなければ奨学金、教育ローンを検討

 家計の節約・やりくりでも足りない、これ以上切り詰められない、といった場合はどうすればいいのか。あるいは、事故、災害、その他家庭の事情で条件が変わり、これまでの仮定が通用しなくなることもある。

 このような場合、有田氏は「どうしても足りなくなたら、まず奨学金の利用を考え、次に教育ローンの利用を考える」とアドバイスする。

 奨学金は、日本学生支援機構が実施しているものが代表的だ。ほかにも大学が実施している奨学金、特待生制度、学費減免制度もある。自治体や育英団体など民間団体の奨学金もある。自治体の奨学金は貸与型が多い。

 日本学生支援機構の奨学金には、給付型と貸与型(有利子・無利子)がある。支給は4月以降で申込み時期の制限がある。政策により給付型が増える動きもあるが、貸与型は子どもが借りて子どもが返すということを注意すべきだと有田氏はいう。

 貸与型は利用しやすい部分があるので、気軽に申し込む場合があるが、奨学金を返済している間に住宅ローンを組むときに、融資枠が制限される場合があるという。ただし、通常の借金とは違うので、融資を断られることはないそうだ。

 教育ローンは、親が借りて親が返すものだ。申込みはいつでも可能で、AOや推薦入試にも利用できる特徴がある。Webでも可能であり、返済期間は5~15年という設定が多いそうだ。

 日本政策金融公庫の教育ローンの場合、子どもの人数と年収により利用制限(年収の上限)がある。融資額は350万円(子ども1人あたり)までで、最長15年の返済期間が設定される。金利は固定(1.81%)。これに対し、銀行などの教育ローンは、年収に下限があるのが公的ローンとの違いだ。金利は変動ものが多く、金融機関ごとの違いもある。

 有田氏のセミナー終了後は、日本学生支援機構による奨学金の案内、日本政策金融公庫による教育ローンの案内が行われ、最後に事前予約した参加者の個別相談会が行われた。
《中尾真二》

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