高層マンションに住む子は才能が開花しないってホント?

教育・受験 小学生

高層マンションに住む子は才能が開花しない
  • 高層マンションに住む子は才能が開花しない
  • 「頭のいい子の育て方」(西村 則康 著/アスコム)
 子どもの学力を上げる方法に限らず、より広い「子育てのヒント」を名門指導会代表 中学受験相談局主任相談員 塾ソムリエ 西村 則康氏が伝授。名門難関中学に2,500人以上を合格させてきたカリスマ家庭教師の最強の子育てのノウハウ、理系脳を育む秘訣とは。

五感への刺激の積み重ねの重要性



 近年、都心の高層マンションが大変な人気ですね。景色を一望できる上階に住むというのが、憧れのライフスタイルとして盛んにもてはやされています。

 でも、私は高層マンションの上階に住む子どもは才能が開花しづらい傾向にあると感じています。比較的、教育熱心な母親が多いためでしょうか、子どものレベルの平均値そのものは高いのですが、「この子はスゴイぞ」という子どもの割合は低いように感じます。

 それは、高層マンションという住環境を完全にコントロールされたなかで育つと、刺激が少なすぎるからだと思っています。

 タワーの上階に住んでいると窓を開ける機会も少なくなりますし、風が吹く音や雨が降る音、鳥の鳴き声といった自然界の音もまったく聞こえません。廊下にはカーペットが敷かれていて、靴音などもしないのです。

 上手に刺激を与えれば与えるほど成長する子どもの時期に、こういう環境で育つのはあまりよくないのではないかと感じています。いろいろなものを触った、見た、匂いをかいだというような視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚の五感への刺激を小さな頃から少しでも多く積み重ねてほしいからです。

 でもそれは、高層マンションに限らず、都会に住むすべての子どもが抱える問題だとも言えます。

 土を触れば、そこには香りや温度、湿度があります。その土には雑草が生い茂っていて、季節ごとの野草を知ることができます。掘り返せば、さまざまな昆虫たちがそこで暮らしていることを知るでしょう。

 単に植物の写真を見て「きれいだね」と疑似体験するのと、そういった緑や土の匂いといった五感とともに記憶に刻まれているのとでは大きく違います。

 積み重ねていけば、たとえば国語の問題を解いている時も、五感を使って主人公の心情や情景を理解することができるようになるのです。

炎を見たことがない、身体感覚に乏しい子どもたち



 そういった皮膚感覚や身体感覚をともなった経験の量と質が、その子の将来に少なからず影響を与えていると感じています。

 ある子どもに、理科の「燃焼」の単元を教えている時のことでした。
「木炭って、何かわかるか?」
と私が聞くと、
「わからない」
という答えでした。その後、このようなやり取りになりました。
「炭だよ。バーベキューの時に使う真っ黒いやつ。知ってるかな?」
「バーベキューしたことないもん」
「そうか、炭を見たことがないんだ。じゃあ覚えておいてね。木炭のように個体がそのまま燃える場合は、炎をあげずに赤くなって燃えるんだよ。炎は気体が燃えるから出るんだ。キッチンのガスコンロは、都市ガスという気体が燃えるから、炎が出るんだよ」
「わからない。だって家のキッチンのコンロは火が出ないもの」

 そういえば、この家はオール電化でした。

電車が電車を追い越す感覚がわからない



 もう一つ、身体感覚に乏しい例を挙げておきましょう。

 小学5年生で通過算の問題をやっても、なかなか理解できない子どもがいます。

 それは、列車に乗ったり車窓を眺めたりという経験が少ないために、「列車が別の列車に追いつき、やがて追い越す」という感覚がわからないのです。

 さらには、通過算の苦手な子どもの多くは、時計算も苦手な傾向があります。

 短針はゆっくりと動き、その短針を長針が何度も何度も追い抜いていく、ということが理解できないのです。

「1時と2時の間で、時計の長針と短針が90度になるのは何時何分でしょう」
という問題があります。1時の短針を書かせたあと、
「90度になる長針を、だいたいの位置でいいから書いてごらん」
と言ってもそれができません。

 近ごろの時計はとても性能がよくて、時刻が狂ったから針を回して合わせるという機会がほとんどありません。デジタル時計も多いですから、
「短針を追い抜いたあと、この場所まで長針をまわせばいいんだ」
と、ほんの少し先の状態を予想しながら針を動かし、止めることができないのです。

 そういう子どもを見るたびに、体験というのは本当に大切なことだと、近ごろますます強く感じるようになっています。

御三家・灘中合格率日本一の家庭教師が教える 頭のいい子の育て方(西村 則康 著/アスコム)より「最強頭脳のベースをつくる23の法則」

御三家・灘中合格率日本一の家庭教師が教える 頭のいい子の育て方

<著者プロフィール:西村 則康(にしむら のりやす)>

名門指導会代表 中学受験相談局主任相談員 塾ソムリエ.。30年以上、難関中学・高校受験指導を一筋に行う家庭教師のプロフェッショナル。一つの解法を押しつけるのでなく、その子に合った方法を瞬時に提示する授業で毎年多数の生徒を最難関中学の合格に導く。これまでに男子御三家の開成、麻布、武蔵、女子御三家の桜蔭、女子学院、雙葉をはじめ、灘、洛南高附属、東大寺学園、神戸女学院などの難関校に合格させた生徒は2,500人以上にものぼる。受験学習を、暗記や単なる作業だけのものにせず、「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込んでいく「名門指導会」の授業は、いずれの講師も翌年まで予約が殺到するほどの人気を誇る。また、授業を通して親子の絆を深めてほしいと、父母と子どものコミュニケーション術や声かけ法についてもアドバイスしている。家庭教育雑誌や新聞などに頻繁に登場し、情報発信も積極的に行う。特に16万人のお母さんが参考にしている中学受験No.1サイト「かしこい塾の使い方」では、保護者の質問一つずつに丁寧に答えることをライフワークとしている。


《リセマム》

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