経済的理由による中退、私立高で3年ぶり増加

 2017年度の1年間に経済的理由で中退した私立高校生の割合が0.03%となり、3年ぶりに増加したことが、全国私立学校教職員組合連合の調査結果より明らかになった。

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  • 1年間に経済的理由で中退した私立高校生の数と割合
  • 2018年3月末現在で3か月以上の学費滞納の生徒数の推移
  • 私立高校生・中学生の学費滞納・経済的理由による中退調査(1999年3月~2018年3月)
 2017年度の1年間に経済的理由で中退した私立高校生の割合が0.03%となり、3年ぶりに増加したことが、全国私立学校教職員組合連合の調査結果より明らかになった。

 調査は、2017年4月から2018年3月末の1年間における経済的理由による中途退学と3か月以上の学費滞納の状況を調べたもの。全日制私立高校と私立中学校の教職員組合を中心に調査用紙を配布し、高校は34都道府県303校(生徒数26万1,184人)、中学校は25都府県の129校(生徒数4万9,531人)からの回答を得て、全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)が集計した。1998年度以来毎年同様の調査を実施しており、今回で20年目となる。

 2017年度の1年間に経済的理由で中退した私立高校生は90人で、調査した全生徒に占める割合は0.03%となり、3年ぶりに増加した。1998年の調査開始以降、2008年のリーマンショック時の513人をピークに全体として減少傾向が続き、2016年度は50人、2015年度は47人と2008年の10分の1程度まで減少していたが、2017年度は増加に転じた。

 中退した生徒のいる学校数は18都道府県33校(全体の11%)で、1校平均では2.7人にのぼる。前年度(2016年度)の1校平均1.5人と比べて増加し、学校によって偏りがある傾向が続いている。

 2018年3月末時点で3か月以上学費を滞納した生徒は630人。滞納生徒のいる学校数は128校と42.2%を占める。生徒数割合(滞納生徒数/対象生徒総数)では0.24%と1998年の調査開始以来最低の水準だった。

 就学支援金の拡充と各自治体での減免制度の拡充により、これまで経済的な理由で私立高校進学を断念していた生徒が私立高校へ多く入学してくるようになった。経済的な理由で中途退学した私立高校生が再び増加したことについて、全国私教連は「施設設備費(平成29年度全国平均額16万9,611円)や入学金(同年度16万2,356円)など自己負担する学費が多額に残り、これに対応しきれなかった」と、公的支援制度の不十分さが要因の1つだと分析している。
《工藤めぐみ》

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