【夏休み2018】教育関係者が選ぶ、親子社会科見学のすゝめ「工場見学編」予約なし・事前登録など関東中部関西を紹介

 教育・受験情報サイトの「リセマム」は、大学教授、学校教諭、塾・予備校やその講師、教育業界関係者の協力を受け、2018年の夏休みに行きたいオススメの「工場見学」を紹介する。夏休みの自由研究や社会科見学に最適だ。

教育・受験 小学生
JAL工場見学 (写真は2017年4月9日に行われたリセマム読者限定の工場見学時のようす)
  • JAL工場見学 (写真は2017年4月9日に行われたリセマム読者限定の工場見学時のようす)
  • 鈴廣かまぼこの里 体験プログラム
  • ガトーフェスタ ハラダ 本社工場案内
  • ガトーフェスタ ハラダ 本社工場
  • JR東海「浜松工場 新幹線なるほど発見デー」
  • 六甲山牧場 体験教室
  • 吹き戻しの里
  • 赤城乳業
 2018年の夏休みまであと少し。家族旅行や帰省の予定でいっぱいの家庭も多いだろう。長期休暇は、普段は行けないエリアまで足を伸ばすチャンス。せっかくなら、子どもの学びを豊かにする旅を計画したいものだ。

 教育・受験情報サイトの「リセマム」は2018年6月14日、大学教授、学校教諭、塾・予備校やその講師、教育業界関係者の協力を受け、教育関係者オススメの子どもの学びに役立つ「観光地」や観光名所を紹介した。続く今回は、社会科見学や自由研究の題材にも役立つオススメの「工場見学」情報をまとめて公開する。

 教育関係者への質問事項および回答は、(1)その工場見学を選んだ理由(2)学びに生かせる見学のポイント・見どころ(3)保護者の「声がけ」のヒント(4)事前学習に役立つヒント・教材の4つ。特に(3)については、実際に現地を回りながら子どもにかけるとよい質問やアドバイスをまとめてもらった。なかには中学受験や高校受験、大学受験で頻出のエリア・キーワードもあるため、受験を考える親子にはぜひ、活用していただきたい。

 なお、工場見学の多くは事前予約制を採る。よって、夏休みは数か月前から予約を受け付け、すでに締め切っている場合もある。しかし、キャンセル待ちを受け付ける工場もあるため、諦めずに予約タイミングを見計らいたい。

教育関係者がオススメ!
親子で行きたい夏休み社会科見学
「工場見学」編 目次

◆JAL工場(宮路秀作氏)
◆鈴廣かまぼこの里(河本貴大氏)
◆ガトーフェスタ ハラダ本社工場(鈴木邦明氏)
◆東海旅客鉄道浜松工場(毛谷村英治氏)
◆六甲山Q・B・Bチーズ館、まきば夢工房(重野陽二郎氏)
◆吹き戻しの里(増田乃美氏)
◆グリコ/日清/赤城乳業(上田宏樹氏)


JAL工場(JALメインテナンスセンター1)


場所:東京都大田区羽田空港
推薦者:宮路秀作氏(代々木ゼミナール 地理 講師)
(1)推薦理由:
 経済のグローバル化、旅行の多様性などを背景に、航空機を利用する機会が増加しています。最終的な組み立てはアメリカやフランスで行われますが、航空機は数百万点の部品から製造され、その一部は日本でも製造されています。また航空業界で働く人たちは、整備士、運行乗務員、客室乗務員、空港スタッフなど多岐にわたっています。特に子どもたちには、「世の中にはまだまだ知らない仕事がたくさんある!」ことを気づかせるためにも、良い機会と捉えます。
(2)見学のポイント・見どころ:
 子どもたちにとって必要なことは、選択肢を増やしてあげることです。そのためにも、業務が多岐にわたっている航空業界の日常を見ることは、自らの未来像を描くための材料にもなります。
(3)保護者の声がけのヒント:
 「パイロット」や「キャビンアテンダント」以外にも、航空業界で働く人たちがいることを知ってもらうことが重要ですので、そこに気づかせるためにも「こういう人たちも一緒に働いて飛行機を飛ばしているんだね!」といった問いかけが必要だと思います。
(4)事前学習のヒント:
 「経済は地理から学べ!」(著・宮路秀作/ダイヤモンド社)の中に、「ブラジルとヨーロッパを結ぶ意外な産業とは?」というトピックがございますので、その部分をお読みいただくだけでも航空業界に対する見方が変わると思います。
 --以下、2016年東大入試突破直前テストの解説より抜粋
 フランスのトゥールーズではエアバス社の工場があり、航空機製造が行われている。航空機製造は、エアバス社やボーイング社などの航空機製造会社が市場調査を行い、航空機製造で採算が獲れる機数となって始めて製造を開始する。航空機の開発は、大型旅客機で6000億円から1兆2000億円くらいかかるといわれており、開発費の採算を取るために多くの受注が必要となるからである。製造が決まると、サプライヤーと呼ばれる部品供給部門で、部品製造が始まる。部品数が数百万点にも及ぶため、サプライヤーはアメリカ合衆国や日本、イギリス、イタリア、オーストラリアなど複数の国に及ぶ。日本は部品数の7割近くを製造している。各国で製造された部品は航空機製造工場に集められて組み立てられ、1年掛かりで製造される。さらに航空会社に受け渡すために1年かけて試験を行う。このように航空機の製造には長い年月と多額の資金が必要なため、部品製造から組立までを1社で行うことはない。フランスはEU域内で製造された部品を輸入して、航空機を組み立てる。
(編集部注:JALの工場見学は、2018年の夏休みにあたる7月・8月の予約は6月20日時点ですべて満席。キャンセル待ちは受け付けておらず、キャンセルが出たタイミングで予約できる)
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鈴廣かまぼこの里


場所:神奈川県小田原市
推薦者:河本貴大氏(中学受験グノーブル社会科)
(1)推薦理由:
 おせち料理など、さまざまな料理に使われているかまぼこ。どのように作られているのか、また何が原料になっているのか知っていますか?実は、魚からできているのです(鈴廣のかまぼこは、グチや金目鯛などが原料です)。私たちの身の回りには「意外なもの」が原料となっている商品が多くあるのです。実際に手に触れて、ことができます。また実際にものづくりをすることによって、理解だけではなく関心や“愛着”がわくものです。併設される博物館「かまぼこ博物館」では、かまぼこの歴史やその素材一生懸命作ることによって、理解が深まります。
(2)見学のポイント・見どころ:
 工場見学に行くと、どのように商品が作られるのかを知る、栄養を展示を見ることで知ることができます。見て、作って、遊んで、身の回りのことへの理解を深めましょう。
(3)保護者の声がけのヒント:
・どんな魚が、どのくらい使われているのか
・原料の魚はどこからやってくるのか
・かまぼこの板って何のために付いているのか
 もちろん勉強も大切ですが、作ったかまぼこやちくわを一緒に食べて、「手作りはやっぱりおいしいね」と、コミュニケーションをとることが大切だと思います。
(4)事前学習のヒント:
 「中学受験グノーブル」の教材ですと、3年生夏期「01」、4年生夏期「02」から「04」が対応しています(編集部注:「中学受験グノーブル」は中学受験生が対象の少人数制集団指導学習塾。指導はオリジナル教材を用いて行っている)。
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ガトーフェスタ ハラダ本社工場


場所:群馬県高崎市
推薦者:鈴木邦明(帝京平成大学講師、元小学校教諭)
(1)推薦理由:
 ラスク「グーテ・デ・ロワ」で有名な、ガトーフェスタ ハラダの工場です。休館日は毎週日曜日と1月1日のみとなっており、長期休業中(夏休み・冬休み)に見学しやすいです。個人での見学の場合(9人まで)は、予約が不要です。工場見学は無料で、工場敷地内に直営店舗もあり、帰りにお土産を買うこともできます。見学の最後には、市販されていない特製のラスクを食べることができます。
(2)見学のポイント・見どころ:
 衛生管理された食品工場を見学できる点が最大のポイントです。機械化された最新鋭の製造ラインで、1日120~130万枚のラスクを生産しています。
(3)保護者の声がけのヒント:
 「なぜ、見学コースと工場の間がガラスで仕切られているのかな?」「働いている人の服装などはどう?」→食品工場のため、衛生に気を配っているという点に気づきを与えましょう。
 「なぜ、工場としては手間がかかるのに、わざわざ工場見学を実施しているのだろう?」→きちんとした所で作られていることを見てほしい、という気持ちがあることに気づく質問です。商品に親しみをもってほしい、という工場見学主催者の気持ちにも気づけそうですね。
(4)事前学習のヒント:
 ガトーフェスタ ハラダの公式Webサイト内「本社工場案内(ガトーフェスタ ハラダ)」が参考にできます。工場見学ギャラリー情報も掲載されています。
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東海旅客鉄道浜松工場


場所:静岡県浜松市中区
推薦者:毛谷村英治氏(立教大学観光学部観光学科 教授)
(1)推薦理由:
 “モノづくり日本”を代表する工業製品に、超高速鉄道車両の新幹線がある。これらの高度な製造技術によって作り出された精巧な新幹線車両は、運行によって狂いや消耗、劣化が進むので、適宜メンテナンスをしなければ安全な運航を維持することは難しい。モノはただ作るだけでは、限定的な時間の中でしか十分に機能を発揮できず、適切な管理を継続的に行わなければならない、ということを理解し、使い捨ての蔓延している現代社会で育ってきた子どもたちにモノを大切に使い、そのモノに期待される性能を十分に発揮させるためのメンテナンスの大事さを学ばせることができる。
(2)見学のポイント・見どころ:
 時刻表通りに運行するために、各車輌が問題なく動き止まることが必要ですが、機械は何もしないで放っておいても人間の思うままに動くものだと信じているところがあります。多数の部品が組み合わさっていて、走行距離も自家用車の比ではないほどに酷使される車両は、鉄の車輪でもゴムタイヤのように磨り減り、少しでもいびつに変形してしまうと乗り心地が極端に悪化するなど問題が生じます。いかに正確に正円に削り出すか、目に見えない小さな傷や亀裂をどのように見つけるのか…など、大事故につながるトラブルの発生を回避するために行われている多様な整備の大切さを学んできてください。
(3)保護者の声がけのヒント:
 高速で走行する新幹線に安心して乗車できるのは、乗客の見えないところで定期的に実施されている点検・整備作業において故障がないかチェックし、不良箇所を整備して正常な状態が保たれているからですが、目視だけでは見つけ出せない故障を発見するための技術、道具が開発され使用されています。どのように不良箇所を見つけ出すのか、その技術にも着目するようにお声がけください。不良箇所をその状態に応じて調整や修正したり、修理、交換などをするわけですが、安全性を最優先に考えつつコストや時間なども勘案して対応策が選択されていることも学べるとよいでしょう。
(4)事前学習のヒント:
 時刻表通りに正確な運行を実現するには、予備の車両や乗務員を常に投入できるようにして不測の事態に対応できるようにしておく必要があります、また、定期点検を確実に実施するためには、車輌の数はさらに余裕がなければなりません。安全や乗り心地を維持するためには、車両だけでなく、線路の状態を保つ保線作業や架線の保守作業も不可欠です。実際の運行のためには列車同士の衝突や脱線事故を防ぐ信号システムが不可欠になっていますし、営業運転するためには乗車券・特急券の予約販売システムなども必要です。乗客として利用する新幹線を安全に走らせるための基本中の基本である車両の安全整備の場を見学する“だけ”ですが、新幹線はトータルなシステムとしては私たちが安心して快適に利用できる交通機関であるのです。「どんな仕事をする人たちに新幹線は支えられているのか」を考えてから、整備工場を見学してください。
※編集部注:浜松工場は通常、一般公開されていない。2018年の工場見学可能日にあたる「浜松工場 新幹線なるほど発見デー」は9月6日に開催予定。詳細はWebサイトなどで公開される見込み。
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六甲山Q・B・Bチーズ館、まきば夢工房


場所:いずれも神戸市立六甲山牧場内
推薦者:重野陽二郎氏(代々木ゼミナール 日本史 講師)
※下記、料金はすべて2018年6月18日時点のもの
(1)推薦理由:
 兵庫県神戸市にある六甲山牧場は、市街地からそれほど遠くはないところにあり、車・バス・ロープウェー・ケーブルカーなどを使って登ることができます。その六甲山牧場内に、「六甲山Q・B・Bチーズ館」と「まきば夢工房」という牧場体験ができる施設があります。「Q・B・Bチーズ館」では、神戸チーズ(カマンベールチーズ)がどのようにして作られていくのか、その製造工程が回廊小窓より見学できます。また、チーズ館展示ホールではウールクラフト教室が開かれていて、六甲山牧場の羊から刈り取った羊毛を使い、羊のマスコットやフェルトのクラフト作りができます(羊のマスコット人形 820円など)。そしてQ・B・Bチーズ館横にあるまきば夢工房では、アイスクリーム作り(料金820円、所要時間約30分)、バター作り(料金820円、所要時間約40~50分)、フローズンヨーグルト作り(料金820円、所要時間約30分)、クリームチーズタルト作り(料金1,030円、所要時間約45分)ができます。紹介した体験は小学校4年生以上が対象で、4歳から小学校3年生の子どもは、保護者が作るのを前提に、お手伝いとして参加できます。自然に触れつつも実際に手作り体験ができるスポットであり、“おいしい”体験もできるところとしてもオススメです!
(2)見学のポイント・見どころ:
 Q・B・Bチーズ館・まきば夢工房は、ともに牧場内にありますので、牧場内で飼育されている動物から何を作ることができるのかを学ぶことができます。日ごろ、スーパーやコンビニで手軽に手に入り、なにげなく口にしている牛乳やアイスクリーム、チーズなどがどのような工程で作られているのかがわかります。まきば夢工房は、「触れて・遊んで・学んで・知って」という牧場体験ができる施設ですので、牧場に関するさまざまなことが体験できる貴重なスポットです。牧場全体は大変広いので(甲子園球場約6個分)、牧場内のいろいろな動物に触れる機会もあり、人と動物の関係についても考える機会を与えてくれる場所でもあります。
(3)保護者の声がけのヒント:
 動物がどのように飼育され、どのような工程をたどると羊毛がマスコットになったり、乳製品の食品になっていったりするのかを問いかけてみてください。特に、食品になるまでの過程がどのようになっているのかを親子で確認していくといいでしょう。体験教室では、材料をどのようにすると製品化(食品化)するのかを問いかけながらやっていくと、その工程を理解しようとしますので効果的です!
(4)事前学習のヒント:
 六甲山牧場のWebサイトからで結構ですので、広い牧場のなかにどのような施設があるか、まずは全体的な把握をしたうえで、Q・B・Bチーズ館・まきば夢工房を探してみてください。牧場には多くの動物がいて、実際に触ることでもできます(ただしペット同伴は不可です)。また、牧場は市街地より約4~6度気温が低いため、夏でも少し寒い時もあります。どのような動物だと牧場で飼育できるのか、そうした点についても事前学習しておくとより動物に対する理解も深まります!
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吹き戻しの里


場所:兵庫県淡路市
推薦者:増田乃美氏(日本青少年育成協会理事・主席研究員)
(1)推薦理由:
 「吹き戻し」と聞いても、多くの方はイメージがわかないと思います。調べてもらうとわかると思うのですが、小さいころにお祭りで口にくわえながら遊んだ“アレ”です。最近はこの「吹き戻し」で遊んでいる子どもも少なくなってきたなと感じていますが、この「吹き戻しの里」にはさまざまな「吹き戻し」があるうえに、製作体験もできるおもしろい工房です。今年の夏は、親子で作った「吹き戻し」をくわえて、地元のお祭りに繰り出してみてはいかがでしょうか。
(2)見学のポイント・見どころ:
 食品の工場見学とは違い、製作体験もあるため、工作の勉強にもなります。最近の子どもは昔と異なり、スマートフォンやテレビゲームなどで遊ぶことが増え、「ものを作る」という遊びをしている子どもが少なくなっているように感じます。そんな子どもが作ることの楽しみを学ぶことは、新しい楽しさを知るきっかけになるかもしれません。
(3)保護者の声がけのヒント:
 一緒に製作体験をしながら、「作ってみてどんな気持ち?」と感情をたずねたり、「作ってみてどんな学びや気づきがあった?」と学びのリフレクション(振返り)をする機会を作ってみてください。
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グリコ「グリコピア」/日清食品「カップヌードルミュージアム」/赤城乳業 本庄千本さくら「5S」工場


場所:全国/神奈川県横浜市/埼玉県本庄市
推薦者:上田宏樹氏(放課後等デイサービス「あいだっく」運営 アイダックデザイン代表)

(1)推薦理由:
 子どもたちはやっぱりお菓子やおやつが大好きです。就学障がい児童を対象に、絵、音楽、リトミック、ダンスなどを取り入れた預かりサービスを提供している「放課後等デイサービス あいだっく」でも、おやつの時間はみんな元気よく楽しそうに食べています。好きだからこそ興味を持てるということもあることから、見学の最後にはお楽しみの試食や持ち帰りがある点から、通常の工場見学ではなく、お菓子工場の見学なら、子どもたちもがんばれるのではないかと思います。
(2)見学のポイント・見どころ:
 やはり、いつも食べたり使ったりしているものがどうやって作られているのか、という工程をきちんと見ることが大切です。疑問に思ったことはどんどん質問させるようにしましょう。工場にはそれぞれ特徴的な機械を使っていることが多いです。変わった動きをしている機械やおもしろい形をしている機械を、子どもに見つけさせるように促すといいかもしれません。
(3)保護者の声がけのヒント:
 たくさん褒めてあげることがもっとも大切です。子どもと一緒に親も同じように楽しんで見学するようにしてください。
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 教育関係者ならの視点で選ぶ工場見学のすゝめはいかがだったろうか。リセマムはこのほか、「教育関係者がオススメ!親子で行きたい夏休み社会科見学『観光地』編」も掲載中。夏休みの自由研究にも役立つポイントとあわせ、アツイ親子旅案内をお届けしている。
《編集部》

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