小学生が惑星探査に夢中、富士通×千葉工大のプログラミング教室

 富士通ラーニングメディアが運営するプログラミングスクール「F@IT Kids Club(ファイトキッズクラブ)」と「千葉工業大学」とのコラボで実現した、小学生向けのプログラミングサマースクールに密着した。

教育・受験 小学生
F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす「ロボットプログラミング」集合写真
  • F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす「ロボットプログラミング」集合写真
  • F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018「スクラッチ」集合写真
  • F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす
  • F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/ロボットプログラミングに挑戦
  • F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/大学の教室を探検して惑星の謎を解く
  • F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/カードには惑星の説明も書かれていて自由研究にも役立つ工夫が
  • F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/いざ、プログラムを送信
  • F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/ランチも大学生と一緒に学食で
 2020年から開始される小学校でのプログラミング教育の必修化を目前にして、今夏(2018年)は各地で小学生向けのプログラミングスクールが開催された。リセマム読者のなかにも、参加した方が多いのではないだろうか。今回密着取材したのは、富士通ラーニングメディア(以下、富士通LM)の運営するプログラミングスクール「F@IT Kids Club(ファイトキッズクラブ)」と「千葉工業大学(以下、千葉工大)」とのコラボ企画。

 ベテランのスクール講師の助けを受けながら、大学生が主体となって、ロボットプログラミング、スクラッチプログラミングを各1日ずつ小学生に教えたプログラミングサマースクールだ。当初の予定日が台風で延期になるというアクシデントに見舞われながらも、「楽しかった!」という小学生たちの笑顔とともに、それぞれの立場で「学びの新しい価値」を追求できた企画となった。

ループプログラムにも挑戦、ロボットプログラミングコース



 台風で延期になっただけに心配された天候も、雲ひとつなく、千葉県の津田沼駅近くにある千葉工大のキャンパスには朝から親子が集ってきた。小学生にとって大学キャンパスは未知の世界。少し緊張気味のようすだったが、赤いお揃いのポロシャツを着た大学生たちに導かれて机に座り、自己紹介をしあうとリード役の大学生をあだ名で呼んで、すぐに打ち解け笑顔が見られた。年齢が近いだけに、まるで親戚のお兄さん、お姉さんに接するような人懐こさだ。

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす
まずは子どもたちと千葉工大の学生たちが自己紹介

 ロボットプログラミングコースの対象は小学3年生から6年生。教育版レゴマインドストームEV3(※)を使い、ロボットに付いている超音波センサーやカラーセンサーを使って障害物などを避け、目的地に到着させるプログラムを作る。プログラミングをしたことがない子が多いようだったが、大学生やF@IT Kids Clubの講師による操作説明を受けると、すぐにクリック、ダブルクリック、ドラッグといったマウス操作や簡単なプログラム作りの基本操作ができるようになっていた。子どもたちの“のみこみの速さ”には驚かされる。
(※) 教育版レゴ(R)マインドストーム(R)EV3は、LEGO社とマサチューセッツ工科大学の共同開発によるロボット製品。

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/ロボットプログラミングに挑戦
ロボットプログラミングに挑戦

企業×大学のコラボだからこそ生まれたオリジナル教材



 大学生たちが考えた教材のシナリオは、ロボットを惑星探査機にたとえ、宇宙で壊れてしまった探査機をプログラミングによって修理し、地球にロケットで戻すというミッションをクリアするというもの。子どもたちは探査機を修理するスペースレスキュー隊のみならい隊員として、4~5人のグループに分かれ、それぞれに大学生のキャプテンとサブキャプテンがついて活動する。プログラミングをする教室を宇宙ステーションに見立て、総司令官(千葉工大のはなちゃん)の指示を受けて、ときには木星や土星など地球以外の惑星(ほかの教室)にも出かけてプログラミングの修行を積んでいく。

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/大学の教室を探検して惑星の謎を解く
大学の教室を探検して惑星の謎を解く

 ゲーム性のある楽しいシナリオだが、学生が教材を考えていた当初は、こうした内容ではなかったようだ。「F@IT Kids Club(ファイトキッズクラブ)」のスタッフから「千葉工大ならではの特徴を取り入れた方がよい」「1つの教室だけでなく、ほかの教室も使ってはどうか」などのアドバイスがあり、学生たちがいろいろな角度から考えた結果、宇宙を題材に、惑星探検をしながらプログラミングを学ぶというストーリーを考えついたのだという。豊富な経験から教育イベントを成功させるポイントを知っているベテランと、新しい発想をもつ大学生とのコラボによって、楽しいオリジナル教材が生まれたわけだ。

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/カードには惑星の説明も書かれていて自由研究にも役立つ工夫が
カードには惑星の説明も書かれていて自由研究にも役立つ工夫が

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/ランチも大学生と一緒に学食で
ランチも大学生と一緒に学食で

 時間を経るごとに、子どもたちは同じグループの子どもや大学生とも親しくなり、笑い声であふれていった。最後には、全員がミッションをクリアして地球に帰還。大人が考えると難しく思えるループプログラムも使うことができるようになり、自由研究にも使える惑星カードをもらって、嬉しそうに帰路についていた。

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/いざ、ロボットを走らせる
いざ、ロボットを走らせる

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/コードをしっかり確認
コードをしっかり確認

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/プログラム通りに動いてこの笑顔
プログラム通りに動いてこの笑顔

惑星に行くことが楽しかった…6年生の陽己(はるき)くん



F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/ロボットプログラミングコースに参加のご家族
ロボットプログラミングコースに参加のご家族

 6年生の陽己(はるき)くんは、お母さまに誘われてロボットプログラミングコースに参加。最初は難しかったようだが、「ミッションがあって、惑星に行くことが楽しかった」と話してくれた。同じグループに友だちもできて、夏の良い思い出になったようだ。お母さまは、「習志野市の小学校で配布されたチラシを見て、今後はパソコンが使えないといけないと思って申し込んだ」という。「大学生は年齢が近く接しやすかったようで、お昼も一緒に食べたと言っていました。私が申し込んだイベントでしたが、本人も楽しくやっていてよかったです。今後もこうしたイベントに参加したい」と笑顔で話してくれた。

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/ミッションがあって、惑星(他の教室)に行くことが楽しかった
ミッションがあって、惑星(他の教室)に行くことが楽しかった

夏休みの自由研究にも使える内容を考案



 今回、小学生たちにプログラミングを教えた大学生たちは、ソーシャルアクティブラーニングという卒業単位の認定制度に基づいて参加した。担当は、情報科学部 情報ネットワーク学科の仲林 清教授で、企業や市町村と提携して、実際のビジネスの場を体験するというコースである。

 総司令官のはなちゃんは、千葉工大の3年生。仲林教授の授業でこのコースを知り、参加した。ロボットプログラミングのテキスト作りのリーダーを務めた流れで総司令官になったという。

 「4月終わりからスタートして、水曜の午前中、木曜の午後に集まって活動しました。富士通LMの方に大学に来てアドバイスをしていただいて、訂正を繰り返してきました。テキストの内容には悩みました。自由研究にも使えるように宇宙の研究を取り入れることにしました。ロボットを使うからこそ、カラーセンサーや超音波センサーを使う箇所や、プログラムでは大切なループも取り入れました」と、苦労と夏休みならではの工夫を教えてくれた。最初は緊張してガチガチだったというはなちゃんだが、子どもたちが惑星から帰ってきたらハイタッチするなど、アドリブを入れて盛り上げていた。現在は講師のバイトもしていて、教育系の職業につきたいと考えているそうだ。

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/1日目の総司令官はなちゃん
1日目の総司令官はなちゃん

個性が出て面白いスクラッチコース



 2日目は、スクラッチを使ってプログラミングを学ぶコースが行われた。プログラミングをしたことがある子どもは10人以上で、約半数はすでに経験をしていたようだ。対象は小学1~6年生で、1、2年生組、3~6年生組でいくつかのグループに分かれ、スクラッチプログラミングの基本操作を教わるのだが、さすがに経験者が多いだけあって、すぐにできる子どもが多く、オリエンテーションから盛り上がっていた。

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす
2日目はスクラッチコース

 スクラッチコースのリーダーは、前日の総司令官のはなちゃんに代わり、総隊長として、しばっちゃんが務めることに。マイクと地声を使い分けながら、子どもたちを引き込むようにミッションを紹介していた。スクラッチコースの教材のシナリオは、エイリアンからの「夕方に地球を襲いにいく」とのメッセージを受け、侵略をしてきたエイリアンを倒すプログラムを作って地球を救う、というもの。前日同様、惑星(ほかの教室)の探索をしながらプログラミングを学んでいき、最終的にエイリアンを倒すゲームプログラミングを行った。

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/ミッションクリアごとにまたカードを探しに行く!
ミッションクリアごとにまたカードを探しに行く!

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/謎が解けるとカードをもらえる!
謎が解けるとカードをもらえる!

 1日で作るプログラムは短いながら、できたものにはそれぞれに個性が出ていた。たとえば、デフォルトでは1つしかないエイリアンを、2つも3つも登場させるなど、同じミッションでも、できあがるプログラミングはさまざまだ。だからこそ、教える大学生は大変だ。その子の考えるプログラムに合わせてアドバイスをしなくてはならない。それでも根気よく一緒になって考え、アドバイスを続けていた大学生たちに拍手を送りたい。一方で、それぞれの個性を活かしたプログラムを作ることができるだけに、子どもたちからは歓声があがり、とても楽しそうだった。

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/宇宙人の侵略から地球を守る!
宇宙人の侵略から地球を守る!

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/全員ミッション達成!
全員ミッション達成!

2020年開始のプログラミング授業を見据えて参加…小学2年生の杏紗(あずさ)ちゃん



 お父さん、お母さんに見守られながらスクラッチコースに参加した小学2年生の杏紗(あずさ)ちゃんは、お母さんが夏休みだからこその体験をさせたいと「夏休み 体験」で検索して見つけて参加したそうだ。「2020年から始まるプログラミングの授業がどういうイメージの授業になるのかを知りたくて」検索をしたのだという。

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/スクラッチコースに参加のご家族
スクラッチコースに参加のご家族

 もともとゲーム好きの杏紗ちゃんは、来る前に自主学習で太陽系の勉強をしてきたというだけに意欲的。惑星探検をしながら勉強をしていく内容に、どんどん楽しくなっていったようだ。「惑星に行ったり、宇宙の勉強もして、プログラミングもわかるようになってきて楽しくなった」と話してくれた。3年生になったら、スクラッチを勉強していきたいという。

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/3年生になったらもっとプログラミングをやりたい!
3年生になったらもっとプログラミングをやりたい

卒業後、教育という進路も考えたい



 スクラッチコースの総隊長を務めた千葉工大3年のしばっちゃんは、当初から今回のイベントのまとめ役として参加。台風で日程が延期になったときにはとてもがっかりしたそうだが、気持ちを立て直し、本番までに台本を頭に叩き込んで臨んだという。

 しばっちゃんも含め、参加した大学生メンバーは、ほとんど講師経験がなかったそうだが、F@IT Kids Clubに見学に行き、必死にメモをとって、子どもたちとのコミュニケーションの取り方を学んだそうだ。「何もない状態から何をするか、題材を決める」ことが一番大変だったというしばっちゃん。最初のころは、メンバー同士での話し合いもあまり活発ではなかったが、富士通LMからのフィードバックをもとに練り上げていき、小学生の子どもたちが夢中になるオリジナルの教材を作り上げることができた。

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/2日目の隊長しばっちゃん
2日目の隊長しばっちゃん

 今回のイベントを終えて、しばっちゃんは「千葉工大に入学したのは、SEかプログラマーになろうと思ったからですが、教育方面に進むのも良いかもと考えるようになりました」と話してくれた。新しい進路の選択肢も見えてきたようだ。

大学だけではできないことを企業とやる…千葉工大・仲林教授



 「反省点もありますが、基本的にはスムーズに進行できましたし、参加者にも集まってもらえ、大学だけではできないことをやれました」と、笑顔で語ってくださったのは、千葉工大の仲林教授。ソーシャルアクティブラーニングという単位認定コースの担当教授として、学生たちの活動を見守ってきた。

 「今回の教材は、私もよくできていると思いました。進行しやすいように設計されていましたね。学生だけでなく、富士通LMの方に新入社員のようにご指導いただき、ダメ出しを受けながら作りこんだからだと思います。最後まで破綻なく進行できたのも、最初から台本があるわけではなく、自分たちで考えて抜いて作ったからこそです」と、大学として初めての企業コラボに、手ごたえを感じていた。

 「私は学生にネットワークやテクノロジーを教えていますが、身に付けた知識で何をするのか?ということを常に学生には考えてほしいと思っています。今回のように、企業との取り組みから学べることはとても多い、ということが学生に伝わったと思います。」(仲林教授)

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/仲林教授
「企業との取り組みから学べることはとても多い」(仲林教授)

サマースクール成功の裏にコミュニケーションの積み重ね…富士通LM・大木氏



 イベントが終了し、最後にお話を伺ったのは、富士通ラーニングメディア ナレッジサービス事業本部 第一ラーニングサービス部 プロジェクト部長 大木 宏昭氏。F@IT Kids Clubにとっても大学とのコラボは初めてで、当初は戸惑いもあったようだ。「最初は学生たちにどこまで指導すれば良いのか、どこまで見守ればいいのか、接し方に苦労しました。しかし、学生たちがよく頑張ってくれました」と2日間のサマースクールを終えてほっとしたようす。

 「コミュニケーション手段はおもにメールで、ときにはスカイプなどでテレビ会議を行いましたが、十分に意見が伝わらなかったり、認識の違いがあったり、齟齬が生じたこともありました」と苦労を語ってくれた。しかし、そうした努力のなかで、富士通LMのヒントに学生が素敵なアイデアで応え、子どもたちも喜ぶシナリオとなったわけだ。

 「小学生や親御さんにとって、将来を感じることができる大学に来ること自体がとても良い機会なのだと思います。また、2日間のようすを見ていて、子どもたちからすると大学生は身近な存在なのだと改めて感じました。我々にとっても大学生とともに新しい価値を提供することができたと思いますし、今後も、こうしたイベントやコラボ企画を考えていきたいです」(富士通LM・大木氏)

F@IT Kids Club×千葉工業大学プログラミングサマースクール2018のようす/大木氏
「大学生とともに新しい価値を提供することができた」(大木氏)


 プログラムを学んだ小学生たちはもちろん、大学側、企業側にとってもさまざまな気づきや成果のあったイベントだったようだ。2020年、どのようなプログラミング教育を取り入れた授業が行われるようになるのだろうか?今後も試行錯誤は必要だろうが、産学連携での教育もその1つの形として効果的だと感じた2日間だった。

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体験会開催日:
2018年9月2日(日)、9月16日(日)、9月23日(日)、9月30日(日)
※10月以降も日曜日開催予定
開催時間:
10:00~11:30 定員20名
13:30~15:00 定員20名
体験コース:
・スクラッチを体験したい(小学1~6年生)
・ロボットを体験したい(小学3~6年生)
・スクラッチ、ロボット両方体験したい(小学3~6年生)
・Python(パイソン)を体験したい(小学5~中学生)
※Python(パイソン)コースの体験については、スクラッチなどのビジュアルプログラミングの経験があること、パソコンでキーボード入力ができることを前提としている
場所:品川ラーニングセンター12階
参加費:500円(税込)※会場でお支払い

《渡邊淳子》

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