【大学受験2021】東北大、英語外部試験利用せず…公平公正な扱いを危惧

 東北大学は2018年12月5日、2021年度入試の基本方針を公表した。大学入学共通テストで利用される英語民間検定試験の受検は出願要件とせず、その成績も合否判定に用いない。新たに導入される記述式問題の成績は、数学のみ合否判定に使う。

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 東北大学は2018年12月5日、2021年度入試の基本方針を公表した。大学入学共通テストで利用される英語外部検定試験の受検は出願要件とせず、その成績も合否判定に用いない。新たに導入される記述式問題の成績は、数学のみ合否判定に使う。

 2021年度入試では、大学入試センター試験に代わって大学入学共通テストを実施。英語4技能を測る民間検定試験が活用され、国語と数学で記述式問題が出題される。

 東北大学では、英語4技能の修得を重視していることから、一般選抜入試では「CEFRにおけるA2レベル以上の能力を備えていることが望ましい」ことを出願基準とするが、志願者全員にCEFRのA2レベルの成績を求める出願要件とはしない。英語外部検定試験の受検や結果提出は求めず、CEFR対照表に基づいて点数化して合否判定に用いることもしない

 東北大学が実施した高等学校調査によると、英語外部検定試験を受験生に一律に課すことに対し、「賛成」が8%と少数であった一方、反対は4割を占め、「高校を取り巻く環境で十分準備が整っていないと理解される」という。

 英語外部検定試験の受検体制や成績評価などに対して問題が指摘されていることにも触れたうえで、今回の基本方針の決定について「2021年度入試で志願者に対し出願要件として英語認定試験の受検を一律に課すことや成績を合否判定に用いることには無理があり、逆に受験生の公平公正な扱いを損ねる恐れがあると判断した」と説明している。

 一方、大学入学共通テストで導入される記述式問題については、「同程度およびそれ以上の高度な問題が一般選抜の個別試験やAO入試の筆記試験ですでに出願されており、思考力・表現力などの評価は現状でも十分可能」と判断。

 記述式問題の活用には「段階別評価を点数化すること自体が段階別評価の理念に整合しない恐れがある。また、点数化した場合の点数の開きが本来の成績差を合理的に反映したものとは考えられず、受験生の不公平な扱いとなる恐れもある」と慎重な姿勢を示した。

 2021年度の一般選抜と総合型選抜(現行AO入試III期)では、数学の記述式問題は点数表示の成績を合否判定に活用する。国語の記述式問題は段階別評価を点数化して合否判定に用いないとしたが、合否ラインに志願者が同点で並んだ場合は、記述式問題の成績評価が高い志願者を優先的に合格とする。
《奥山直美》

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