【EDIX2019】今「探究=キャリア教育」がスタンダード…注目の教材4選

 2019年6月19から21日に開催された「第10回学校・教育総合展(EDIX)」の展示から、探究×キャリア教育の授業のヒントになるツールやサービスを紹介する。

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 2022年度から年次進行で実施される高校の新学習指導要領では、「探究」を名前に含む科目が多数新設される。かつて「総合的な学習の時間」と呼ばれていた科目も「総合的な探究の時間」へと置き換えられた。これにともなって、小学校・中学校でも探究的な活動を重視する動きが見られる。

 アクティブラーニングが世の中に浸透して以来、その手法を用いることで各教科における探究活動は、比較的実施しやすくなったように思う。しかし「総合的な探究の時間」をはじめ、科目横断的な学びにおいて、まず探究するためのテーマ設定で苦慮する先生方も多いだろう。

 2019年6月19から21日の「第10回学校・教育総合展(EDIX)」で目立ったのが、自分自身をテーマに据えるキャリア教育と探究を掛け合わせるという提案だ。とりわけ昨今の社会の動きと照らせば、その必然性は明らか。選挙権年齢が引き下げられ、2022年からは成年年齢も18歳へと引き下げられる。少なくとも高校卒業までには、自らの生き方に即して、世の中を捉え、判断する力を身に付けておかなければならない。かつての大人たちが、大学入学後にゆるゆると始めていた「自分探し」は、今や高校での学びの中核になりえるものである。

 「第10回学校・教育総合展(EDIX)」に出展していたサービスから、そのヒントになるツールをいくつか紹介したい。

大手教科書出版が無償提供する情報サイト&ワークシート



 副読本や新しい教材の採用にかかるコストは、極力減らしたいのが本音だろう。そんな先生方の強い味方になりうるのが、大手教科書出版社・東京書籍が提供する「EduTown あしたね」。すでに全国7,000校で110万人が利用するというキャリア教育・職業調べサイトだ。さまざまな職業の「仕事人インタビュー」の記事が豊富で、仕事内容や苦労話、自己紹介や出身の学校まで丁寧にまとめられている。ルビも振られていて、対象年齢は小学校高学年から。


 非ログインの状態でも利用可能だが、学校申込みのうえ、児童・生徒に配布するIDでログインすると、マイページにお気に入りの仕事人を「ファン」としてコレクションできる。


 さらに申し込んだ学校には、授業で活用できるワークシートと先生向けアドバイスシートもデータで提供される。教育のノウハウを知り尽くした教科書会社だからこその教材だ。ページの閲覧、ワークシートの利用など、すべてのサービスが無料で利用できるのも魅力。

求人サイトがはじめた体験サービスで、課外授業をさらに充実



 仕事現場を体験させたい、社会科見学や体験学習と関連付けてキャリア教育をしたい。「シゴトチャンネル」は、実際の仕事現場でその道のスペシャリストから、仕事内容を学び、体験できるサービス。提供しているのは、建築・建設業、運送・警備業などを中心とした求人サイトおよび同名の求人誌「POWER WORK」も運営するWINNERS。


 児童・生徒個人での申し込みも可能なため、夏休みの自由研究で活用されることもあるという。「学校様からの依頼で、理科の授業内容と関連付けながらコンクリートの調合設計から実際の施工体験をアレンジしたこともあります。リケジョブームの流れからか、女子校や女子生徒の間でも『建設現場での仕事を体験させたい/してみたい』というニーズが高まっているように感じます」とブース担当者は話す。

教師向け授業案も!35コマの授業でデザイン思考も身に付けるキャリア教材



 1年間を通じた学びを形のあるものに残したい。週1コマの授業で積み上げた成果を思い入れのあるものにしてほしい。年度はじめの年間指導計画づくりで、どの先生も考えることだろう。


 テキスト教材というアナログなスタイルながら、スタイリッシュでデザイン性あふれる装丁。EDIX展示会場内で目に入ったのが、ENAGEEDの探究型キャリア教材だ。2012年の会社設立以来、有名私立中高や学習塾を中心に100以上の導入実績を積み上げている。


 7冊のテキストには、それぞれテーマが設けられており、1冊につき5コマの授業で完成する内容で構成されている。「AI・ロボットには奪われない力」「あらゆる視界を手に入れる」「距離を把握し、挑戦を始める」「自分が選んだ道を正解にする力」。偉人と呼ばれる人物のアイデアも実は日常生活のちょっとした疑問がきっかけだったことや、挑戦して目標とする進路を手に入れたあとにもそのモチベーションを継続するためのスキルを身に付けておく必要があることなど、従来の進路指導の隙間を埋めてくれるようなトピックスが盛り込まれている。

 補助教材としてムービーや、電子版教材などのオプションも用意され、授業の幅を広げてくれるのも嬉しいポイント。

eポートフォリオはこう活用する!進学指導のその先のキャリア教育へ



 じわりじわり学校現場にも浸透してきたeポートフォリオ。学びの記録を電子化し、教員と共有することで進学や就職に活用するものだ。学習や活動履歴の管理や成績評価、進学指導までは想像できても、その先に広がる児童・生徒のキャリアを見越した取組みまでの発展は難しい。


 ベネッセホールディングスとソフトバンクの合弁会社が提供する学習支援プラットフォーム「Classi」も、eポートフォリオ機能を備えている。プラットフォームだけあって、さまざまな外部サービスとも連携しており、今回のEDIXでも連携サービスも含めた活用事例が提案されていた。


 ブース内セッションのひとつ「社会で活躍する大人たちのビジョンから自分の人生を探求するキャリア教育プログラム~The Vision~」では、教育と探求社が提供する「QUEST EDUCATION」とのサービス連携が解説された。「Classi」のオプションとしてサービスに申込むことで、学校向けのキャリア教育ソリューションを提供してくれる仕組みだ。

 今や偏差値や学歴だけで進路を選択する時代は変わりつつある。eポートフォリオを単なる情報の集積で終わらせないために、児童・生徒の学びや活動の実績をもう一段階、次のステップに進めてあげたい。そのひとつの突破口になるのではないだろうか。

 自分の生き方をテーマに学びを極める。あるべき自分の姿を描きながら、周辺にある物事を関連付ける。高校進学・大学進学だけをゴールに据えた旧来型の進路指導では成し得なかった未来へ続く学びが、「探究」の新たな枠組みにおいてはのびやかに実現できそうだ。

 重ねて、かねてから言われてきた「主体的な学び」も、主体的に学ぶ姿勢を育成することに加え、主体である自分自身について学ぶを究めるという新たな視点を加えて、次のフェーズへと移行したように感じた。
《野口雅乃》

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